エチオピアのICT事情

3年ぶりにエチオピアに来ています。驚いたのは、ICT事情が大きく変わっていたこと。

到着した日に、偶然アジスアベバにいた日本人の友人(彼はテバブというエチオピア名を持つエチオピアマニアな友人の一人である)に、最新ICT事情を聞くことができてビックリ。今、インターネットは家の電話線でやるのはもはや時代遅れで、USBモデム端末を利用して接続するのがモダンな方法になっているという。そして、料金チャージは携帯同様のプリペイドカード方式。かなりイケてる。

早速、いくつかお店を回ってみた。3種類位の端末が市場にあって、どれも中国製で1100~1400ブル。SIMカードを入れて使うCDMA方式と端末自体を登録して使う3G通信のEVDO方式という2種類の通信方法が選択可能。料金はというと、CDMA方式はプリペイド携帯同様に使う分だけチャージする方式、一方、EVDOは毎月定額をチャージする必要があり、300ブルで1GBの通信、500ブルで2GBの通信、700ブルで4GBの通信という3種類がある。(1ブル≒5円)

今回、近所にインターネットカフェなどがない田舎に滞在する期間が長いこともあり、とりあえず買ってみることにした(正直、衝動買い)。お店でいろいろと聞いてみると、利用するには端末を購入後、エチオピアテレコムへ行ってSIMカード購入もしくは、端末のコンフィギュレーションが必要とのこと。「CDMA方式は速度が遅いぜ!買うならEVDOにしときな!」というお店のおばちゃんのセールストークに釣られて、EVDO用端末を購入(実際、SIMでも使えるハイブリット端末でしたが)。そして、途上国のお役所仕事にうんざりする覚悟を決めてエチオピアテレコム事務所へ向かった。

11時50分、エチオピアテレコム到着。待つこと10分。窓口へ行くと、「今からお昼休みだ。13時半に出直して来な」という予想通りの回答。隣の窓口に並んでいた中国人女性も同様の回答をされていた。13時半ちょっと前に再度訪問。西洋人が窓口で対応を受けている最中だったので、その列に並ぶ。さきほどの中国人女性が二番目に並んでいた。西洋人(←超アムハラ語が上手くて驚いた)の対応後、中国人女性が窓口へいくと「今からお昼休みだ。別の列に並びな」との回答!シフト制だったのか・・・。しぶしぶ別の列へ並ぶ。

窓口に到達するまでのハードルを何とかクリアし、申込書を書いてパスポートコピーと230ブルともに提出すると、「端末のコンフィギュレーションのため、あっちの列に並びな」と言われ、アシスタントテクニシャンと書かれた窓口に並ぶ。また、さっきの中国人女性も並んでる。自分は5番目位。しばし並んでいると、一向に列が進まないことに気づいた。このアシスタントテクニシャン、客からのUSBモデム端末をPCに接続し、専用のソフトで登録設定作業をしているようだ。しかし、「私のノートPCで接続できないんだけど!」という自身のノートPCを持ち込んでいるエチオピア人女性の対応やら、「これ数日前に購入したけど使えない」という先ほどの中国人女性の対応を同時にしているものの、気がつけばPCを何度もカチャ切りで再起動しているではないか!どうもPCの調子が悪いらしい。さらにビックリしたのが、PCの再起動中とかに、客からの持込ノートPCを利用してUSBモデム端末のチェックをしているではないか・・・。待つこと1時間、割り込みしたきたエチオピア人に対し、並んでいた西洋人が「ちょっと、俺は数日前に来て、そのときに作業完了しなかったから、また来てこうして並んでるんだけど」とのコメント。聞いてビックリ。やべー、今日中に終わらんかも・・・。

こんな感じで待っていると、いくつかおかしな点に気づいた。

  • USBモデム端末が3種類位しかないのに、複数人の対応を同時にやってるため、どれが誰の端末かわからなくなったりしている。一人で3個とか4個の端末を持ってくる客もいるのでなおさら。端末のキャップがなくなりそうになったり。
  • USBモデム端末に偽者があるようだ。さんざん色々と登録設定作業を試みた挙句に、担当者が客に対して「これはフェイクだから使えない。ここにXXXという番号が書いてない」とコメントしていた。それに対して、客も納得。まぁ、ありえない話でもなさそうなのか?
  • どの窓口で何の業務をしているかの説明書きなどが張り出されていないので、客からちょくちょく初歩的な質問(新規登録はここで良いですか?みたいな)があり、時間をとられている。
  • トラブルに対してどこで見切りをつけてエスカレーションするかの基準が曖昧すぎる(と思われる)。自分のノートPCを持込んだりしてくる客のトラブル対応まで真剣にやってる。個別ケースじゃ、明確なトラブルシューティング方法がわからないだろうに・・・。(注:かなり主観的な見解です)

というような状況でしたが、自分の番が回ってきた。ちゃんと終わるか不安でしたが、不安的中。「なんかおかしい。途中まで登録設定作業をしたが完了しているかは不明。あっちの窓口で確認してもらって」とのこと。テクニカルマネージャーとの肩書きの窓口へ行く。しばし並んだ後、対応してもらうと、問題なしとのこと。ホント?と思いつつも、1時間後でないと使えないというので、その場でチェックできない。まぁ、信じるとしよう。

夜、使えるか試してみたらちゃんと使えた!テレコム事務所で半日つぶした甲斐があった。これで、日本とのスカイプもやってみました。いやー、すごいなぁテクノロジー。水が来ていない妻の実家で日本にいる妻の妹とスカイプ出来ました。

2003年に青年海外協力隊で赴任した地方都市では、電話を引こうとおもったら、テレコム事務所で「番号がいっぱいで無理です」といわれ、2年間家電話なしだったことを思い返すと、すごい発展したなぁと思う。「ブロードバンド契約月額400ブル」という広告もあったし、思っていたよりエチオピアのICT事情は進んでいたんだとビックリ。フランスがエチオピアテレコムの経営を始めたことなんかも影響しているのだろう。今後、どんなサービスがでるのか楽しみだ。

これ以外にも、町の写真屋では、マックを使って顔写真の修正(しみそばかすの補正とか)をしていた点にもスキルUPしたんだなぁと感じた。また、違法コピーソフトの価格が5年前と比べて安くなっていた点も驚いた。物価がどんどん上がっており、大抵のものが5年前と比較すると2倍以上になっているのに、コピーソフトは逆に値が下がっている。昔は30ブル位だったのが、今は15ブル。町の違法コピーソフト店も昔に比べて増えた気がするので、それだけ競合他社が増えて価格競争により値下げされたのかもしれない。

やはり現地に来ると色々なことがわかって面白い。

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コメント

  1. Kanot Kanot より:

    面白いですねぇ。中国人は商売上手なので、そのあたりはうまく捌きそうな気もしますが、そこもエチオピア式なんですかね。
    水も来ていないところでインターネット、、すごいですよね。さっきよんだ雑誌だとモンゴルの遊牧民も携帯などを使っているなど、いつか書いた気もしますが先進国の順を追って発展している形と大きくことなりますね。
    こういうところから我々が思いもつかないイノベーションが起きるんでしょうね。

  2. tomonarit より:

    いやはや、エチオピアの写真屋にUSBメモリで写真データを持っていったのですが、写真屋のPCからウイスルもらって来てしまった。
    我が家のPC2台とも感染。1台は初期化する羽目に。やられた・・・。
    もう一台も、いくつかのデータが変なデータに上書きされてしまった。
    ウイルス対策はしっかりやろうよ、エチオピアの写真屋さん・・・

  3. Ozaki Yuji より:

    コンピュータウイルスについては、日本国内でも「気をつけているから、そんなもん関係ないよ」という方もいらっしゃるので、あまり強く言えないかもです(笑)。

    2008年頃のフィリピンでも、違法コピーの音楽ファイルを介して、スマートフォンがコンピュータウイルスの頒布手段になるケースが多くありました。そのスマートフォンをコンピュータにつないだり、他の人に頒布することでさらに感染が広がります。
    加えて、フィリピンではコンピュータウイルスのローカル亜種が多く、その多くがアンチウイルスソフトウェアのスキャンをすり抜けるため、苦労させられました。

    個人的には、USBメモリには書き込みロックスイッチが必須であると考えています。

  4. […] ちなみに、WoredaNetは、2009年にUNECAの”Technology in Government in Africa Award“というのに選ばれてるし、2011年にも共通一次試験の登録システムが選ばれている。やるなぁ、エチオピア。携帯電話インフラもかなりよくなったし、ICT4Dプロジェクト成功の可能性は自分がいた頃(2003〜2007年)より、格段に上がっている気がする。 […]

  5. […] しかし、こういうデータに結構アフリカが入っているってことに、勢いを感じます。9月に2年ぶりにエチオピアへ帰省するので、どんな変化があるのかネットカフェとか言って見てきたいと思います。ちなみに2年前の帰省では、USBモデムの普及にビックリしました。今度は何があるか楽しみです。 […]

  6. […] ついでに妻の携帯電話も購入。iPhoneとかGALAXYなんかも売ってたけど、安いのでOKってことで写真のものを買ってみた(ホントは50~100ドルの怪しいスマホを買いたかったのですが、それらしきものをすぐには見つけられず断念・・・)。当たり前のようにSIMカードは2つ入るようになってる。そして、SIMカードもVodafoneのものを購入。以前このブログでも書いたように、エチオピアでSIMカードやらUSBモデムを買ったときには、エチオピアテレコムのオフィスに行って約半日がかりの作業でしたが、ガーナでは超簡単。パスポートとか身分証明書(自分はiPhoneのなかに写真データがあったので、それ見せたらそれでもOKでした)見せたら、それでOK。上記のwifiルーターも含め、その場でチャッチャっとやってくれて、すぐに使えるようになった。混んでたので待ち時間入れても30分かからないくらい。 […]

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