ミャンマーのIT・オフショア事情

先日、約10年ぶりにミャンマーを訪問した。
ことITに関しては、驚くべき変化があったので、報告したい。

まず、10年前のミャンマーという国は、国がインターネットを厳しく制限していて、ネットはほとんど不可能に近く、ネットカフェもほとんどない状況であった。当然外国のIT企業からの投資もなく、IT鎖国に近い状況であった印象だった。

ところが、今回行って驚いたのは、インターネット開放のレベルである。あのお国柄を考えると、Webサイト閲覧などはよくて中国レベルの検閲かと思っていたのだが、 facebook, twitter, skype, youtubeどれも全く問題なく接続でき、(政治的なサイトはアクセスしなかったが)非常にオープンになっている。民主化推進は少なくともITに関しては、着実に推進されているようである。ただし、いまだにPOP,SMTPは許可されておらず、Webメールしか使えない。出張に行かれる際などは要注意である。

そして、もう一つの驚きが、オフショア開発事情である。ミャンマーという国は、全くノーマークだったのだが、中国・ベトナムに次ぐITオフショア拠点としての可能性を秘めていると強く感じることができた。その理由を以下に述べたい。

・日本とのビジネス
現時点でIT業界における外国からの投資は、意外にも日本が一位である。日本の民間企業からのアクセスも増えてきているようで、ミャンマーのIT系業界団体も日本を見ている。 ただし、日本のIT企業で進出している企業が数社あるが、まだまだ収益というよりはパートナー育成としての投資段階という印象を受けた。

・人材、人件費
中国を1とすると、ベトナムが0.5、ミャンマーは0.3程度のようであり、価格競争力は非常に高い。ただし、その給与の安さから、優秀な人材はシンガポールなど外国に出てしまう現状がある。この状況を克服するためには、外国からのオフショア開発を着実に進めることで売り上げを伸ばし、給与レベルをあげていく他に道はないため、時間はかかるだろう。

・国民性
親日家が非常に多く、日本に興味を持っている人が多い。性格もまじめ。日本人の気質に近い。言語体系も日本語とビルマ語は文法的に似ている。

個人的にも、ミャンマーは自分が国際協力を志したきっかけになった国であり、非常に思い入れがある。ぜひ日本からの民間レベルでの投資によってこの国の発展に寄与できる形ができあがることを期待する。

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コメント

  1. M Miyazaki より:

    すごい、ミャンマーに行かれたんですね。国民性が日本人にとても合う気がして私も好きです。
    昔Myanmer Computer Federationという業界団体があり、ここをうちはcounter partにしていましたが未だあるのでしょうか?

    ご指摘されていたオフショア拠点としては中国、ベトナムの次に続く国というと…..インフラ、政情不安、IT政策の力の入れよう等状況を踏まえると、モンゴル、ミャンマー、etc…どこもどっこいどっこいの様な気がしました。
    今、ラオスにいらっしゃる専門家の井出さんなどその辺にお詳しいと思います。

    一部日系企業さんにお聞きしたところ、オフショア進出先を選ぶ際にはかなり慎重で「市場としての魅力の有る国」も重要なポイントのようで、中国に次ぐ魅力的な市場はなかなかない、と言ったことも聞いたことがあります.

    ご参考:以前、前勤務していた会社が、毎年アジア19カ国の基本データ(インフラ状況、IT政策、)、を一覧にして無料で公開していましたが…….今はなく、これぐらいでした↓
    http://www.cicc.or.jp/Prg/pdf_ppt/china_softwarepark_060629.pdf

    何か過去の資料で参考になりそうなものをみつけたら送りますね。

  2. Kanot Kanot より:

    >M Miyazakiさん
    コメントありがとうございます。
    確かに中国の次にってのはなかなかないですね。
    ミャンマーも有望とは書きましたが、中国と比べるのは無理です。
    モンゴルよりは将来性あると個人的には思いますが・・・

    そして、MCFはまだありますよ。ミャンマーのICTを仕切っています。

  3. […] ユニクロがミャンマーに生産拠点を設置するなど、このところミャンマー関連のニュースが目に付きます。このICT4Dブログのアクセス傾向を見てみても、昨年10月にKanotが投稿した「ミャンマーのIT・オフショア事情」へのアクセスがこのところ急増しています。ミャンマー・フィーバー凄いなぁ、と思っていたら、先日の日経コンピュータでは、「ミャンマーでオフショア開発」っていう特集が組まれていました。 […]

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