何度かこのブログでも地デジについての投稿をしていましたが、最近、また地デジ日本方式採用国が増えました。5月20日の総務省プレスリリースによると、スリランカが地デジ日本方式採用を決定したとのこと。2010年時点ではスリランカは欧州方式の採用を決定していたものの、日本方式の技術的な優位性を考慮して、「やっぱり日本方式」と方針を変えたようである。
日本方式の優位性は、同じアンテナで携帯端末と固定テレビの両方の放送が可能な点や、緊急警報システムがスムーズに使える点など。あとは、データ放送についても実際に色々と実践しているという点も考えられる。
総務省のWebサイトには、以下の総務大臣コメントも掲載されている。
「我が国と同様、島嶼国であるスリランカにおいて、どのようにして災害情報を提供するかという社会的課題の解決に、地デジ日本方式をはじめとするICTが活用できます。地デジ日本方式は、スリランカの放送方式をデジタル化するだけでなく、他のICTと組み合わせることで、スリランカにおける防災・減災に威力を発揮し、データ放送と連携して遠隔医療・教育を充実させ、国家の基盤である通信・放送、医療、防災、国土管理、国民融和といった様々な分野で貢献できます。日本方式を採用することで、緊急時には命を守り、平常時においては便利な暮らしをつくる、放送に加えてICTを複合化させることで新しい暮らしを実現できる、スリランカに対してそのように提案してまいりました。」
テレビがデジタル化するだけだと、視聴者としてみるとそれほどメリットは感じない(少なくとも自分は、アナログテレビをデジタルテレビに買い替える際に、なんでアナログのままじゃダメなんだろうか・・・と思ってました)。まぁ、勿論、電波の有効活用という大義名分があるのはわかっているものの。。。
特にこういう思いはお金にシビアな途上国ならなおさらのことと思う。上記のコメントは、そんな自分のような「えー、別にアナログでもいいじゃん」と思いがちな人々に対して、「なんだかデジタル化することで、すごい色々とメリットがありそうなぁ」と思わせる内容に思える。
単なる地デジ放送インフラ整備という文脈でなく、ICT4D全般の支援ということをアピール出来たのは、スリランカを心変わりさせた一因と考えられる。
ICT4D全般の可能性をアピールしてきた日本としては、地デジ放送にからめてどれだけICT4D支援をしていけるのか?が問われるこれからが正念場だろう。
これで日本方式採用こくは17ヶ国になり、日本の技術標準がワールドスタンダードとなりえる分野。南アジアやアフリカなど途上国でこれだけ日本方式が採用されているのだから、「日本の経験を途上国へ」という視点だけでなく、「途上国仕様、途上国発の技術、途上国発の活用方法」といった視点での発展を狙って、幅広い支援が出来れば、本当に日本初&途上国育ちの実践的なICT4D好事例が生まれるのでは?と期待したい。
コメント
[…] 前回の投稿で総務省の進める地デジ日本方式の海外(途上国)展開について触れたが、今回の「変な人」の10名には是非、途上国でのICTの利活用についての取組・研究をする方を入れて欲しいと個人的には強く願ってます。 […]