エチオピアのOLPC

昨日のブログのコメントで、マンチェスター大学の同級生だったChirsが、エチオピアのOLPCプロジェクトについてのプレゼンテーションのことを書いていたのでリンクを見てみると、Africa gatheringのイベントで、David Hollow(ロンドン大学ロイヤルホロウェイ校の博士課程の学生)がエチオピアのOLPCプロジェクトについてプレゼンをしていた。

プレゼンによると、エチオピア政府は5000台のOLPCを購入し、5000台を寄付でゲットしたとのこと。PCを獲得したものの指摘された問題は、XO用の教材不足と教師への訓練不足だ。英語のデジタルテキストをエチオピアの公用語であるアムハラ語に変えなくてはいけない。これが教材不足の原因。児童はXOでデジカメ代わりに使ったり、音楽を聴いたりといった用途で使うことを自分自身で覚えていったようだが、アムハラ語の教材不足も影響して、どうも勉強というよりは遊びにちかい使い方が主だったと言える。また、授業中にXOを使うと、児童が教師の話を聞かなくなるという問題も。さらに、児童は家でもXOを良く使用していたが、親達は「オモチャで遊んでいる」と見ており、XOのせいで以前よりも勉強時間が減ったという不満の声も親からは上がった。

なるほど色んな問題があったようだ。

昨日の話題に戻ると、Educational Technology DebateのコメントでChrisは、「家で児童が教わりもしないのに独りでXOの使い方を習得していったことは、Constructionism(構造主義)の目指すところであり、この点においてエチオピアのOLPCは成果があったのではないか」と述べている。ニコラス・ネグロポンテのOLPCプロジェクトの目的は、児童が独りでも学習することが出来る環境を作ることにある。PCを配るのが目的ではなくて、その環境を作るための方法が100ドルPCなわけだ。だから、エチオピアの例でいけば、期待した結果が出ているともとれる。

しかしながら、Scott Kippは、PCの使い方を習得するのがConstructionismの目指すところではなく、考える力を養ったり、創造力を高めるといった、日本語でいうところの所謂「地頭の良さ」を独りでも鍛えられるのがConstructionismである。だから、エチオピアの例はまだまだ期待した成果とは考えられないといったことをコメントの返答に書いていた。

やはりプロジェクトの成果を図るには、「目的がなにか」という点をクリアにしておかないと評価が難しいと改めて感じる。OLPCの成果も評価もこれからだと思うけど、どの視点から評価するかがキーになりそう。ITスキル向上じゃなくて、やっぱ教育の質・教育へアクセスの向上が上段に位置する目標だから、上記の議論はScott氏に軍配が上がるかな。。。

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コメント

  1. abee より:

    はじめまして。私はすこしOLPCのお手伝いをしていました(Squeak Etoysのところをちょっとだけ)。とても参考になる記事をありがとうございます。私もScottさんに分があると思いますね。”Learning learning”すなわちConstructioismはOLPCの柱だったはずなのですが、最近のネグロポンテさんの話を聞くと、単なるデジタルデバイド解消にシフトしてしまっている気がします(特にXO-2, 3の開発は理解しにくい)。その点、原理主義的な(それゆえに分裂した)SugarLabsのウォルター・ベンダーさんの話には頷けるところが多いです(どのPCでも動くUSBメモリ起動のSoaS)。しかしながら、ポルトガルのIntel Classmate PC大量導入やペルーのWindows選択からも分かる通り、台数が増えない限りOLPCの活動も立ち行かなくなるのも事実だし、今日の魚が欲しい人に釣りを教える暇はないという話もあります。ネグロポンテさんはトロイの木馬のように、まずは入りさえすればよいと言うのですが…。
    あと、細かいことですが、OXではなくてXOだと思いますので、よろしくお願いします。

  2. tomonarit より:

    コメントありがとうございます。OLPCのお手伝いをされていた方とは!
    XOを間違ってOXと連発してました。ご指摘ありがとうございます。訂正しました。
    Abeeさんのブログも読ませていただきたいと思います。宜しくお願いします。

  3. […] Laptop Per Child ・OLPCは失敗例の見本なのか ・エチオピアのOLPC調査結果 ・エチオピアのOLPC 評価: 共有:TwitterLike […]

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