マンチェスター大学Heeks教授のICT4Dブログから。
途上国開発に資金が使われているのに実際には途上国が発展しないという「Development Paradox」同様に、(企業などで)ICTに投資しているのに生産性が効果が上がらないという「生産性パラドックス」がある。ICT4D分野でも、ICT4Dプロジェクトの多くが失敗と言われているように、この両方のパラドックスがある。その理由として、途上国のICT政策が“なってない”というのが、今回のブログの内容。Heeks教授は以下の点を指摘ている。
- Coherence with Main Development Challenges: ICT政策が、21世紀の途上国が直面する課題(経済、環境、安全などの)との整合性がないものとなっている。
- Coherence with the ICT4D Value Chain: ICT政策が、ICTインフラ整備やアクセス向上といった表面的な課題のみに焦点をあてており、持続性の担保やICTをどう適応するかといった「ICTが実際にインパクトをもたらすまでのプロセス」(=ICT Value Chain)の最後の段階までは網羅していない。
- Coherence with Development Policy: ICT政策が、開発政策の整合性を欠いたものとなっている。
- Delivery of ICT Policy Coherence:ICT政策の中身(What)に対しての支援(援助)だけでなく、その政策をどうやって作成するのかや、いかに実施するのか(How)に関しての支援が欠けている。
上記のように、多くの途上国でICT政策が策定されているのに、足りない点が多く、それがICT4Dの効果が見られない理由の1つという、このテーマに関するOECDのレポートなどが、ICT4Dブログからリンクはられているので、興味ある方は見てみてください。
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