ITスキル標準であるITSSとECDL

各国のIT人材育成といったことを調べたりしていると、どういった標準を使っているのかという話題になったりすることがある。

そこで、ちょっと趣きは違う2つの標準なのだが、日本で使っているITSS(ITスキル標準)と、欧米でよく使われているECDLについてちょっと比較してみる。皆さんはこの違い、ご存知だろうか?ちなみに私は恥ずかしながらECDLというものは今年になるまで知りもしなかった。

まず、ITSS(IT Skill Standard)は経済産業省(およびその傘下の情報処理推進機構)が定めているITスキル標準であり、ITのレベルごとに求められる技術・知識などをまとめたものである。
ITSSのサイトはこちらWikipediaはこちら
日本のIT業界ではもっとも有名な試験である、情報処理技術者試験などは各試験のレベルがITSSのレベルとマッピングされていて、自分がどのレベルの試験を受けているのかがわかるようになっている。また、最近は日本だけでなくアジアへの導入を目指した取り組みも行われている。

一方のECDL、こちらはEuropean Computer Driving Lisenceの略で、欧米を中心に導入されているITのリテラシーを測る資格である。
ECDLサイトはこちらWikipediaはこちら

詳しくは両者の各リンクを見ていただき、ここでは詳細は省略するが、一見似たようにも見えるIT技術水準についてだが、大きく違うと感じる点がある。

ECDLは実践的で、ITSSは理論的ということである。

EDCLは一般的な情報技術知識のみならず、ワープロソフトや表計算ソフトの使い方などのテクニカルな部分に注力していて、資格は様々あるのだが、「この資格を持ってると、具体的にこういうことがソフトを使って出来ます。」といいやすい資格である。つまり、仕組みよりも使い方重視。

一方、ITSSは結構理論的という印象である。情報処理技術者試験を受けたことがある人はわかると思うが、例えば高度(ネットワーク)に合格したとしても、すぐネットワークを組めるかというとそういうことではなく、ネットワークの仕組みを理解しているという証明に近い気がする。当然こちらのほうが応用性は高い(が即戦力とは限らない)。

まぁどちらがいいというわけではなく、日本という限られた中で、いかにIT技術を体系化するかに特化してきたITSSと、欧米以外への戦略的進出も視野に入れて、よりわかりやすく実践的にしたものがECDLというイメージか。

というわけで、 特にどうこうという意見があったわけでもなく、自分の知識の整理としての投稿でした。

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コメント

  1. tomonarit より:

    なるほど、実践的と理論的か。納得です。
    自分も情報処理技術者試験の資格はいくつか持ってるけど、実践的なとこはあまり分かってないので、非常にうなずけます。
    履歴書なんかを書いてると、いつも感じるのですが、日本の資格は、外国でも評価されるのでしょうか?どうなんだろ?
    ITILみたいに、世界標準になるような資格が日本から出てくると、有難いなあと思います。

  2. […] 前回のKanotの投稿「ITスキル標準であるITSSとECDL」を読んで、日本のITスキル標準と欧米のITスキル標準に明確な違いがあることを知った。先日、情報処理技術試験の結果発表があり、資格試験についてIT業界の方と話していたら、面白いことを言っていたので、書いてみる。 […]

  3. Ozaki Yuji より:

    情報処理技術者試験やベンダー資格は、資格というよりも能力認定試験に近い位置づけですね。それがなきゃ特定業務ができない、って訳でもないですし。
    情報処理技術者試験やISO取得を通じて得たベンダー非依存の知識は、むしろ公共調達の仕様書を作成する際に使える、と感じています。

    ITILはISO20000のベースになり、日本の情報処理技術者試験(ITサービスマネージャ)はISO20000を参照しているので、実際には強い相関があるのですが、それが日本語でしか説明されていないから外国人はわかんねー、というのが現状でしょう。

    ベンダー非依存の代表的な能力認定試験である、CompTIA A+/Network+と、日本の基本情報技術者(FE)の大きな違いは、前者が他のベンダー資格(MicrosoftやCisco)から前提知識条件として参照または推奨されていることです。
    翻って、日本の情報処理技術者試験は、網羅的であることに加え、受験費用や受験のための学習コストが非常に安いことがアドバンテージなので、学校教育向けかもしれませんね。

    なお、特定非営利法人スキル標準ユーザー協会は、各種ベンダー資格や能力認定試験をITSSにマッピングした資料を公開しています。ご参考までに。

    • Kanot Kanot より:

      皆さんコメントありがとうございます。
      世界標準になるには、日本語でやってる以上難しいのかもしれませんね。
      そして日本の資格が、資格というより能力認定試験というのも納得です。
      最近、この日本語という壁が、日本の世界進出を阻んでるのか、海外から日本企業を守ってるのとどちらが大きいのかよく考えます。

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