Skypeを使ったオンライン英会話

以前tomonaritが紹介したWAKU-WORK ENGLISHの投稿にインスパイアされたわけではないが、昨年からこの類のフィリピン人講師とのオンライン英会話を実践している(WAKU-WORKではないサイトにて)。
ICT4Dというよりは、ただの感想に近いが、せっかくなので書いてみようと思う。

一応簡単にビジネスモデルを書くと、英語が標準語の一つであるフィリピンと先進国の物価・人件費の差に目をつけて、skypeを通じて英会話を行うスクールを作ることで、日本人にとっては格安、フィリピン人にとっては高給?な価格で英会話を行うことができるというものである。

現在、こういった学校はかなり増えていて、果たして本当にビジネスとして成り立ってるのか?と疑ってしまうほどの数である。
<講師がフィリピン人の英会話>
http://eigokoryaku.com/school/school_50_philipteacher.html

で、感想は?ということなのだが、
これまた実に面白い。フィリピン人の明るい人柄もあり、楽しい。
音声レベルはフィリピン側の講師によって差が激しいが、音声のよい先生は本当にクリアに聞こえ、日本国内の電話よりクリアに聞こえるくらいであり、英会話をするには申し分ない。インターネットの進化、おそるべしである。英会話学校が国境を越えるとはさすがに想像できなかった。

そして価格も毎日30分マンツーマンで月5,000円程度であり、ありえないくらい安い。
30分あたり160円くらいと考えると、講師の給料は30分でせいぜい80~100円といったところか。
(フィリピンで時給150円~200円というのはどうなんでしょう?)

内容も、講師によりけりではあるが、フリートークからWebのニュース記事などを使った議論までなんでも対応してくれて、その日の気分に合わせて学習できるのがとてもよい。
私のように、留学経験などがなく、もう基礎はわかったからとにかく数をこなしたい、慣れたいという人には最適と思われる。

以前から、ITの進化により国境の垣根がなくなり、中国などのオフショア開発が増え、それにより日本のソフトウェア開発企業の仕事を取られてきたという意識は持っていたのだが、本件もその例で、ITの進化により、日本の英会話スクールが海外に顧客を取られている。

消費者(私)と提供者(フィリピン人講師)にとってはお互いWin-Winであり、フィリピンへの投資にもなるすばらしいビジネスモデルではあるが、国内の英会話産業にとっては非常に頭が痛い話であろう。

このように、ITや機械化により、これまであった仕事がなくなる。もちろんこれらにより生まれる新しい仕事もあるのだが、どうも減る仕事のほうが多いと感じる。
はたして先進国の失業率が改善する日は来るのだろうか・・・

皆さんもフィリピンの発展に寄与できて、英会話の勉強になるこの仕組み、いかがですか?

ニュースレターはじめました。テクノロジーと国際開発(ICT4D)に関する新規ブログ記事・海外ニュース・イベント情報などを月1〜2回発信しています。以下フォームからご参加ください。詳細はこちら

Kanot
フォローする
ビジネス
ICT for Development .JP

コメント

  1. Ozaki Yuji より:

    お金の面では(1ペソ=2円くらい):
    現時点でのメトロマニラにおける、非農業従事者一日あたりの最低賃金は、404ペソです。
    IT系の新卒エンジニアでは、月給が15000ペソをこえると「まあまあイケてる」とされます。
    2006年頃、様々な世帯あたりの可処分所得に関する資料を、フィリピンの携帯電話キャリアに見せてもらったことがありますが、そこそこな大学生で平均120ペソ/日くらいだったと記憶しています。
    (格差が大きい国なので、平均値にどれくらいの意味があるのかは何とも言えませんが)

    フィリピン側の先生が固定給か歩合給かはわかりませんが、学生の立場からすれば、そこそこのお小遣いになっていると思います。
    先生の選抜については、国内7ヶ所にキャンパスがあって学生数も多く、学力・人間レベルもそこそこ高い(でも富裕層の子弟は少ない)フィリピン大学の学生に絞り、さらに口コミを利用できればリクルート費用を最小化できますね。
    何より業務内容が違法ではなく、喋るのは大得意・教えるのも大好き、というフィリピンの人たちの特性にも合ってますし(笑)。

    ビジネス提供側からすると、ピークとオフピークの差が大きい方がキツイので、単価を下げても、稼働率を確保して限界費用を低く抑えた方が何かとラクなんじゃなかろうか、と想像しています。
    ビジネスモデルに特段の新規性はなくても、優れたオペレーション品質がキモ、というところが、何とも日本っぽいですね。

    なお、(私の乏しい経験ではありますが)日本国内の対面型英会話教室に来る生徒さんは、アジア系の先生に難色を示すことが少なからずあります。また、生徒さんの入学動機も本当に様々なので、需要の多いグループレッスンを組むのが大変です。
    オンライン英会話の場合、利用の目的が「リスニングと会話力の向上」とはっきりしており、さらに生徒となる人に対して、レッスン時間の確保と一定のITスキルを必須条件としていますね。この種の顧客は、TOEICやTOFEL等で学習効果を自身で判定できる人たちでもあるのでしょう。
    うまく顧客を選別できているのかも、と感じています。

    • Ozaki Yuji より:

      たびたびすみません。
      安価なサービス提供は、それを壮大な広告と見なし、企業さんからのカスタマイズ英会話研修を請け負って収益に、というテもありますね。

      ちょうど今、「ロングテール」で有名な、クリス・アンダーソン氏の「フリー〈無料〉からお金を生みだす新戦略」を遅ればせながら読んでいる影響です。

  2. Ueda より:

    オンライン英会話のような健全なビジネスはどんどん広がって欲しいと願っています。

    約1~2年前のフィリピンのローカルニュースですが、”エロい”ビデオチャットをフィリピンから海外の外国人相手にしていたグループが地元の警察に捕まりました。

    残念ながらこの手のアンダーグランドの市場は確実に成長していると思います。

    フィリピンに限らず東南アジア諸国でも同様と思いますが、手遅れにならないうちに日本から喚起していきたいですね。

タイトルとURLをコピーしました