クラウドサービスの可能性

KDDIが出している「TIME & SPACE」という雑誌に、“災害復旧をサポートするICT”というテーマで、去年1月のハイチ地震後の復旧に利用されたICTサービスについての記事があった。「国境なき医師団」のICT版ともいえる「国境なきテレコム」という支援活動があり、電話回線復旧や太陽電池式の携帯電話を供与したりという活動をしており、日本からも支援チームが派遣されたという。

災害時にICTを活用したサービスが人命救助や復旧に役立つという話は良く耳にする。ケニア選挙に伴う暴動時に開発されたUshahidiが良い例である。そして、このUshahidiはハイチ地震でも利用され、人々の投稿によって、Webの地図上に誰がどんな支援を必要としているかや被害状況が反映されることで、援助団体がより効率的な支援が出来るようになったという話は別の媒体でも目にしたことがある。

さて、この記事で興味深い話はここから。
助けを必要とする人々からの連絡を受けるためのホットラインが米国の支援で用意されたという。災害直後の携帯電話回線は帯域が十分でないため、SMSを利用したホットラインだ。しかしながら、ハイチ人はハイチ語のSMSを利用するが、アメリカ人の受付担当者はハイチ語でSMSのやり取りが出来なかった。そこで登場したのが、クラウドサービス。ハイチ語のメッセージが届くと、世界各地に住むハイチ人がハイチ語のSMSメッセージを英語に翻訳して救援隊やNGOへ連絡するという仕組み。これでよりスムーズな支援が可能となった。

この事例にクラウドサービスのこれからの可能性を感じる。以前、このブログでも携帯を活用した現地語翻訳サービスを紹介した。こういうサービスは一昔前には想像できなかったんじゃないかと思う。ICT4Dの話になると、途上国の人々がインターネットによって情報にアクセスできるようになっても、ネット上の情報は多くが英語のため、英語力がないとネットにアクセス出来ても裨益しないという点は、色々な文献で指摘されている。Technology-drivenじゃ駄目で、Socialな要素にもっと目を向けるべきという指摘。しかしながら、こういったサービスが発達していくと、英語力なんてなくてもOKという話になるんじゃないかと思う。Google翻訳の威力もどんどんあがっているし、Technology-drivenでも大丈夫じゃん!と。

今までは識字率上昇、基礎教育が大切という解決策しかなかったけれど、今は、翻訳できるサービスを使えば?というオプションが誕生。これは大きな変化だ。ドッグイヤーと呼ばれるICT分野。ICT4D分野の考え方も同じように変わっていく必要性は間違いなくあると思う。

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コメント

  1. Kanot Kanot より:

    人力翻訳ですか。緊急時などにはありえる話かもしれませんね。
    クラウド化が最近進んでいることで、情報が一箇所に集中される傾向がある気がしています。なので、そこに行けば情報が手に入るので人も集まり、そういった優れたサービスになるのかもしれません。
    一方、言語の壁まで越えてしまうと、極端な話、一つのサービスは世界で一つあれば事足りることになってしまい、競争が進みますね。。大変な未来が待っているような・・・

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