【本紹介】アフリカビジネス入門

最近、仕事環境が変わったため、なにかと忙しくブログ更新をサボっておりました。久々の投稿です。
アフリカビジネス入門」という本を読んだ。著者は以前このブログでも紹介した東アフリカ・ソーシャルベンチャー・プロジェクトを展開している芝陽一郎氏。Rising Africaというアフリカの今を伝えるWebサイトもやっている方です。昨年実施したオフ会でお会いしたときに、そのうちアフリカビジネス本を出版すると言っていたので、発売後、早速買って読んでみました。

アフリカ滞在経験があり、さらにアフリカビジネスに興味がある自分にとっては非常に面白くためになる内容でした。特に、ICT分野に関する情報が多く、
“IT大国インドのインターネット利用者数8100万対して、アフリカは1億1093万人と、利用者数はアフリカ全土の方が多く、利用者の成長率もインドを上回っている。(p47)” とか、
“情報通信分野については民間資金からの流入も相次いでおり、同分野の民間の投資割合は46%と他業種に比べて圧倒的に大きい。(p158)”
といった分かりやすい記述で、様々なデータを用いてアフリカの可能性を説明しているところが素晴らしい。色々なメディアで、アフリカの可能性や携帯電話の急速な普及に代表されるアフリカのICT分野の可能性といったことを耳にしているけれど、まとまったかたちで裏付けとなる最近のデータとともに分かりやすく説明されている本は日本語ではなかなかないんじゃないだろうかと思った。

もう一つ読んでいて共感出来た&勉強になった点としては、アフリカでビジネスをやる「厳しさ」についてだ。ケニアナッツカンパニー創業者からの「絶対に騙されると思え!」という言葉や、著者自信がケニアでのビジネスに取り組むなかで経験した厳しい現実(→“アフリカで投資をする場合に考慮しなければならないのは、貧しさゆえの底なし沼的な恐怖だ。(p192)”という表現が印象的だった)についての内容だ。

自分はビジネスをしたことはないけれど、エチオピアにいた頃にエチオピア人にお金(現地人にしては高額)を貸したり(勿論、まだ返ってこない)、土地を購入したり(役所への賄賂や前地主との交渉で揉めたり)、家(現地的な家ですが…)を立てたり(仕事を依頼した現場監督と揉めたり)、とお金に絡む難局(本に書かれているような規模と比べれば、かなり小さな話ですが…)を経験したことから著者の主張に非常に共感出来たし、そこで成功をおさめるためには相当の覚悟が必要なのだと改めて感じた。

この本を読んで、もっと考えさせられたことは沢山ある。例えば、(この本のオビにちょっと前に読んだ「援助じゃアフリカは発展しない」(ダンビザ・モヨ著)という本の紹介が書いてあったこともあり、)アフリカの発展にとって援助とビジネスのどっちが重要かやそれぞれの役割、関係性などについてなど。でも、自分のなかでも整理が出来ておらず書くととりとめがなくなってしまうので、この辺で。

最後に、援助でも全く同じことが言える点が2つあったので、ご紹介。
“相手とは前提を共有していないという事実を理解し…(p228)”
“自国のサービスモデルを持ち込むのではなく、徹底的に顧客の声に基づいたボトムアップでビジネスをデザインすることが重要(p224)”

大変ためになる本でした。

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コメント

  1. アベバ より:

    私もこの本買いました。まだ、読書中なので感想までは書けないけれど、中部アフリカを中心とした資源に恵まれた国々に比べ、比較的資源が乏しいにも関わらず、高い経済成長率を示す東アフリカにフォーカスした視点には、ハッとさせられました。

    アフリカ=資源、今は埋蔵される資源が発掘されていないだけで、いつか見つかれば飛躍的な成長が望めるはず・・・などというステレオタイプなシナリオを描いていた自分には目からウロコの発想でした。

    ケニアとエチオピアをいっしょくたにはできないけれど、著者の視点からエチオピアの経済成長率を見ると、ついつい期待が膨らみます。

    • tomonarit より:

      >アベバさん
      個人的には、統計データとかの分析よりも、アフリカビジネスの厳しさが書かれているところのほうが、生々しくて面白かったし、心にグッと来ました。途上国とかアフリカに関する本というと、学者や援助関係者の視点が多く、身銭をきって自信でリスクを負って活動している実務者によるものは少ない気がするので、その点が凄い説得力があると思いました。エチオピアにも期待は膨らみますね。、

  2. Yoichiro Shiba より:

    感想有難うございます。アフリカビジネス入門を書いた経由は1昨年から当方でケニアでのITベンチャーに投資を始めたことがベースとなっています。また書く過程で実に多くの方にお会いし、1冊の本に纏めさせていただきました。

    ケニアナッツの佐藤氏にも原稿をチェックしていただき、アフリカのダイナミズムにいまの日本経済が見なければならないところは多いと考えています。アフリカに限らずですが、新興国のICTの動向は目が離せないですね。

    • tomonarit より:

      コメント、どうもありがとうございます。
      Rising Africaもちょくちょく拝見させてもらっています。今後も、アフリカビジネス、アフリカICT関連の情報発信、期待しています!

  3. […] そういえば同じようなことが「アフリカビジネス入門」にも書いてあった。勿論、単体の国と54カ国の大陸を比べることの乱暴さはあるものの、この地図を眺めていて改めてアフリカのICT分野がどうなるか楽しみだなぁ、と期待がもてた。 […]

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