ベトナムITオフショア事情

ベトナムに出張に行ってきた。その際に、ベトナムのIT事情に触れ、システム会社もいくつか訪問したので、機密事項に触れない程度に投稿したいと思う。

まず、ベトナム国内のIT市場だが、国内最大手のFPTソフトが、売り上げの6割が日本からのオフショアであるという事実からしても、さほど大きくないと思われる。とはいうものの、日系の企業もオフショアだけでなくベトナム国内に目を向け始めているようでもあるので、今後の伸びに期待というところだろうか。

オフショアについては、中国の次の市場として期待されているだけあり、ベトナム国内のIT企業から日本との合弁、日系企業の支店など多くのIT会社が存在している。それらの企業を訪問し、基本的なスタンスの違いを感じた。

ベトナムの企業は、IT産業を国の重要産業と位置付け、人材育成にも力を入れて語学や技術の研修を行う体制を作っている。
給与も資格や働きに応じて変動幅を大きくしている印象を受けた。
当然ながら経営陣もベトナム人であり、出世の可能性は大きい。

一方、日系企業は進出の目的が経費削減ということもあり、低価格で即戦力となりうる人材を確保することに重きを置いている。そのため、人材の流動性の高さもあり、長期的な人材確保に苦労しているようである。

今回の出張では、ベトナム国内IT企業の勢いを感じることになった。ぜひこの勢いで成長し、日本のIT企業(発注元)といいパートナーシップを持って行って欲しいものである。そして日本としても、日本語で仕事をしてくれる姿勢を持った数少ない国なので、韓国などに出し抜かれないよういいパートナーシップを持って行って欲しい。

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コメント

  1. Ozaki Yuji より:

    FPT社は、2007年1月、ハノイにFPT大学を設立しています。その頃から日本語への注力が話題となっていました(主となるのは英語、その次に日本語)。
    http://www.fpt.edu.vn/en
    http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20071120/287634/
    http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20070216/262196/

    その後も、FPT大学は日本企業、日本国内大学・大学院大学との連携を次々と締結したり、JODC等のスキームを利用したりと、様々なリソースを見つけて活用しているようです。大学経営側に、日本を良く知るいいブレーンがいるのでしょうね。

    ベトナムの企業について「給与も資格や働きに応じて変動幅を大きくしている印象を受けた」については、ベンチャー企業的なコンセプトかもしれません。
    給与自体が低いのではなく、最初の入り口の給与を低く設定しておき、その人の成長に合わせて給与を市場並みにもっていき、さらには市場平均以上に持って行く、というやりかたです。スキルと報酬の比例関係がわかりやすいことが特徴です。
    この方式だと、目先のお金が目的の人はそもそも入ってきませんし、入社後に感じる会社のビジョンや周囲との関係を通じて自然淘汰的なセレクションがかかります。
    最初の給与を低く抑えているので、初期の人材スクリーニングに多大なコストや手間をかけずに、同じ予算なら多くの人が雇えます。どんどんと人材はふるい落とされたりヤメていくという、高い人材流動率を前提とした随時採用なので、それなりに手間はかかるのですが、10-20名くらいなら何とかなるのではないでしょうか。

  2. Kanot Kanot より:

    >Ozaki Yujiさん
    FPTソフトは社長さんが日本留学経験者ですね。確かに中国でもオフショアに成功している会社は経営陣が留学経験者が多かったと思います。
    そして確かに、最初低く後の伸び白を高く、というのは人材流動率の高い国には都合がいいのかもしれませんね。
    それにしても勢いを感じました。ベトナムはただの経費削減先、と考えていると日本企業は痛い目を見ることになるのではと思ったくらいです。

  3. Ozaki Yuji より:

    先週、久しぶりにベトナムに行ってきました。
    ちょっとバブルっぽさが気になりましたが、景気がいいんだろうなぁ、ということが感覚的にわかりました。
    あれ、と思ったのは、Facebookがアクセス制限されていたことです。噂では、「公務員の業務効率・生産性低下を懸念したため」とも。LinkedInはアクセス制限されていなかったので、ソーシャルゲームの規制の一環と言われれば、まあそんなもんかな、と(他に政治的な理由があるのかもしれませんが….)。

    FacebookなどのSNS規制なんて、フィリピンでは考えられないことですが….。

  4. Kanot Kanot より:

    >Ozakiさん
    難しいところですね。こういった最新技術に触れることで、そういう技術者が育つというのもありますよね。といいつつ、政治的な理由が主なもののような気がしてなりませんが・・・

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