バングラデシュのIT産業の可能性

先日バングラに出張し、IT産業関連の出張をしてきましたので、問題ない範囲で共有したいと思います。

皆さんバングラとITってイメージありますでしょうか?
中国、インド、ベトナムと来てその次のオフショア先を探している皆さん、ダークホースかもしれませんよ。

まず、非常に親日。大学生にとった好きな国アンケートでは、日本が過半数を取りダントツ1位だったそうです(意外ですよね)。そして人口は1億5千万人と世界第7位。ソフトウェアの企業団体の登録社数だけで500社。毎年5千人以上がIT系の学校を卒業するそうで、急拡大しています。もちろん大国インドにはまだまだ及びませんが、民間企業もいくつか見せていただいたところ、とても可能性を感じさせるものでした(そういう所を見た、という言い方もできるかもしれませんが)。

参考までにそのうち2社だけ紹介します。

1. BJIT (Bangladesh Japan Information Technology)
 バングラのIT企業で数少ない日本にも拠点を構えている会社です(ということで、日本語でオフショア出せます)。創業者のアクバル社長(http://www.sailing-master.com/?p=470)は日本での駐在経験が長く、日本語堪能。バングラ人だけでインドのInfosysのような企業を作るのが夢だ、と語っており、例え多少遠回りとなろうとも、現地で採用したバングラ人を日本市場で活躍できるレベルまで育成しようとしていると語るその目は非常にキラキラしていました。日本にもよくいらしてるようですので、ご興味あればご紹介します。

2. Graphic People / Software People
 ソフトウェア企業というよりは、Webデザインなどを中心に業務を行う会社ですが、驚いたのはオフィス環境。「Googleか?ここは?」と見間違うような先進的なレイアウト・内装(ちなみにビルの外見は普通のバングラのビル)、とてもバングラにいるとは思えない空間を作っていました。社長は留学経験がない中このような先進性をどう身につけたのか、興味は深まるばかりでした。日本語ができないのが残念ですが、ご興味あれば紹介することは可能です。

いい企業もある、規模もある、じゃあ一気に日本のオフショアが伸びるか?というと、そう簡単には見通せない状況です。ネックはずばり、日本語とインフラ、でしょう。

まず、日本語については、これができないとオフショア先の検討はできない、と考える日本の企業は多いでしょう。ベトナムがフィリピンに比べ伸びているのはこの日本語への親和性があるものと思います。逆に英語だけでいいのであれば、現在のバングラのIT取引の過半数はアメリカですし、すぐにも投資は可能と思います。
次に、インフラについては、遠い日本と仕事をするのであれば、ブロードバンドは必須ですが、まだまだですし、停電も頻発しているようで、IT企業のスタッフの机にはほとんどUPSが設置されていました。

バングラへの日本企業の進出としては、IT企業以外ですがUNIQLOが進出し、先日は和民も出店を発表しました。
勢いがあるのは間違いなく、今後の発展が楽しみな国です。

<おまけ1>
バングラに赴任している青年海外協力隊のコンピュータ技術隊員が、日本のIT資格制度である「基本情報処理技術者試験」のコンテストをバングラで実施しました。
先方政府の大臣、日本大使館からは大使も駆けつけ、非常に盛り上がったようです。
この資格制度を本格的に取り入れたら、日本企業が進出する一つのきっかけになるでしょうか??
ITEEコンテストに関するコンピュータ隊員のブログです。

<おまけ2>
SOFT EXPOという大きなイベントをやるので、日本からの投資を考えている会社があったらぜひ来てほしい!と業界団体(BASIS)の代表が言っていましたので、宣伝しておきます。来年の2月だそうです。場所はダッカです。

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コメント

  1. M.Miyazaki より:

    すごいですね、バングラデシュで情報処理試験を実施なんて。。。

    一度首都に標準関係の仕事でしか行ったことないのですが、すごい爆破テロとか多くて、セキュリティ検査が何重と多かったことが印象に残っています。
    5年くらい前ですが、VistaのLanguage Interface Programのテストかなにかをバングラデッシュの会社にオフショア(ベンガル語のみでなく他言語も)していたので、既に欧米系の企業はバングラデッシュの企業にアウトソースすることは当たり前なのですかね。
    ちなみにマイクロソフトは現地大学に寄付を行って人材育成プログラムなども実施しているようですね。
    http://www.microsoft.com/bangladesh/Citizenship.aspx

    日本語できる人たちというと、バングラデッシュのAOTSの同窓会がしっかり組織化していたという印象があります。そこを通じて、何かできないかなと、当時は思いました。

  2. Kanot Kanot より:

    >M.Miyazakiさん
    実は結構、欧米企業はバングラに進出しているんです。ポストインドとして。日本はポスト中国をベトナムに求めてますよね。この違い、なんなんだろうと考えていたら、現地で会った方が言っていたことが印象的でした。
    「インド・バングラは欧米から見て一番近いアジア(西アジア除く)。インド・バングラは日本から見て一番遠いアジア。この差でしょ。」
    言い得て妙だと思いました。

    AOTS同窓会などは日本ファンの予備軍でもあると思うので、ビジネスパートナーとしても大事にしたいところですね。

  3. […] BOPビジネスなどを含めて企業の途上国進出が進むと、このようにIT産業分野もそれに付随して現地での体制やサービスを拡充していくことになる。これまでの単純作業のアウトソース先としての途上国IT産業から、その位置づけが変わっていく可能性を感じた。途上国のIT産業振興を考えたときに、ITだけでなくその他の産業における先進国からの企業進出や企業誘致がIT産業を刺激するという視点も大切。前回のKanotの投稿「バングラデシュのIT産業の可能性」との関連でいけば、ユニクロやワタミといったIT企業意外の日系企業がバングラに進出することで、日系IT企業にとってのバングラ市場の見方が変わってくるのだろう。途上国のIT産業振興を考えるうえでは広い視野が必要だと改めて感じた。(とはいえ、BOPやCSRより、むしろこっちの視点のほうが、IT企業の途上国進出の一般的な理由だろうなぁ) […]

  4. M.Miyazaki より:

    途上国ICT支援というマイナー分野を話せる貴重な数少ないサイトですので、楽しみにしてます。かげながら応援してますので頑張ってください。

    私見ですが、アジア市場で、ソリューションビジネス等提供する日系IT各社は対日系企業ビジネスが主でローカル市場を対象としていません。
    理由として、既に日本国内にある程度規模の市場があり、アジア各国の日系企業を対象にすれば商売が成り立ってきたたから。
    そのため、途上国ICT開発を専門に勉強しても民間にニーズがなく就職先がない状況が起きているのだと思います。
    逆に、欧米企業、韓国企業等は既に現地ローカル企業を対象に商売しており、それを現地でみている日本からの駐在員などこの点に危機感を持っているものの、現地の声が本社経営方針に反映されることなく、日系企業だけを対象としたビジネス方針が続いてます。

    ただ、最近(通信分野ですが)KDDIなど本社経営方針を現地ローカル市場も商売の対象に変えてきている企業も出てきて、今後このような動きが大きくなれば、民間の就職先も増えるのではと推測してます。

  5. Kanot Kanot より:

    >M.Miyazakiさん
    応援ありがとうございます。マイペースにがんばります。
    そして確かに、日本企業はローカル企業を顧客とするところまでなかなか踏み込めませんね。駐在員を置くと非常にお金もかかるので、利益率の低いローカル企業はなかなか対象になりにくいかもしれません。
    そんな中、ご記載いただいたKDDIなどは、確かに面白い動きをしていますね。私も興味もってみています。
    いやぁ、ほんと「頑張れ、日本企業!」です。

  6. M より:

    ITの中でもスタートアップ界隈ですと、現状まだバングラ国内にスタートアップの土壌がないため、バングラ人の起業家が環境の良いシンガポールで事業を足固めし、その後インドや中国等の大きなマーケットにバイアウト…という流れも最近でき始めています。

    このあたりに話、日本語の文献では少ないですが、英語の文献探すと資料はあるかと思います。

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