AMP Music

AMP Musicという音楽レーベルをご存知でしょうか。AMP Musicは、アフリカ発のインディーズ音楽を世界で販売する音楽レーベル。以前から自分もネットやTwitterのつぶやきを通じて、AMP Musicの試みについては知っていたのですが、先日、SVP東京のイベントで代表の梅本さん&斉藤さんのお話を実際に聞くことができ、すごい良かったので紹介します(ちなみに、SVP東京のイベントでは自分も登壇させてもらい、エチオピアの青年海外協力隊時代の話やICT分野に期待する点などについて話をさせていただきました)。

AMP Musicの試みは、ケニアのスラムに住む若者がつくる音楽をiTunesなどネットを通じて販売し、彼らの収入を向上させるもの。ケニアのスラムの若者達は、日雇い労働などで日々どうにか食いつないでいる生活ながら、「俺はミュージシャンになる」的な夢をもっていて、年に一回とか、コツコツ貯めたお金でちょっとしたスタジオを借りて自作CDを作ったりしているそうです。でも、そんなCDはスラム片隅の売店の店先に並ぶものの、勿論買う人はあんまりいない・・・というのが現実。そんな彼らの音楽を、世界に売ろうというのがAMP Musicのビジネス。

彼らがマイケルジャクソンのようにミリオンセールスを上げるのは無理。でも、世界中の100人とか1,000人とかの人は彼らの音楽を良いと感じるかもしれない。彼らの作品にもそれくらいのクオリティや価値はある。無いのは、その100人、1,000人に彼らの音楽を届ける仕組み。なら、その仕組みを作ってしまおう。

というのが、AMP Musicの試み。既に数名のミュージシャンの作品を販売しており、自分もCDを1枚買いました。なかなか気持ちよい音楽でドライブ時に聴いてます。 ICTがなければ実現しないこのビジネスに、ICTの可能性をすごく感じた。途上国には同じような商品が眠っている気がする。今は埋もれているいるけど、世界中にはニーズがあり、そのニーズを集めるとそれなりの需要になるという商品。特に音楽のように形のないものなら、輸送費の問題もなくネットで簡単に販売出来る(小説とか詩なんかもその類か)。そして、そういう商品が世界中で売れることが、収入面だけでなく精神的にも途上国の作り手にポジティブな影響を与える。ケニアのスラムの若者が、自分の音楽が世界で販売されることに感じる充実感は計り知れない。アイデア次第でそんなことを実現出来るICTの可能性は、凄いなと。そして、それを実現しているAMP Musicの試みはさらに凄いなと。

先日、玄葉外務大臣が日本の援助方針について講演をした記事を見ました。「人間一人一人が力を発揮できる国際社会に向けて(人間の安全保障)」、「世界の災害 へ の抵抗力強化」、 「紛争からの脱却 へ の支援」 、「世界全体のグリー ン成長促進」の4つが、日本が重視する国際協力と説明されています。、AMP Musicのビジネスは、まさに一番最初の「人間一人一人が力を発揮できる国際社会に向けて(人間の安全保障)」の実現にダイレクトに寄与するものだと感じました。興味をもった方は、是非、AMP MusicさんのWebサイト見てみて下さい。

ニュースレターはじめました。テクノロジーと国際開発(ICT4D)に関する新規ブログ記事・海外ニュース・イベント情報などを月1〜2回発信しています。以下フォームからご参加ください。詳細はこちら

フォローする
3. その他
ICT for Development .JP

コメント

  1. kazu より:

    初めまして。突然のメール申し訳御座いません。
    エチオピアの恩師とテレビ電話出来ないかと検索していて、たどり着きました。
    幼稚な質問と思いますが。出来たら教えて下さい。大阪で2012年4月29に同窓会を開催するのですが、恩師がエチオピアに滞在しています。同窓会会場でテレビ電話を使い先生と会話をしたいダメな場合はビデオ撮影して頂いてメールで送って下さいと、伝えると以下の様な返信が来ました。

    (残念ながらエチオピアでは、携帯電話のEVDOというのを使って通信するので、通信事情が良くなくてスカイプは無理なんです。
    ビデオもあっという間に携帯のお金が無くなってしまうのでむりなんですね。
    やはり途上国の実情は大変です。)  との回答でした。

    この投稿を拝読させて頂いた所テレビ電話が意外と簡単に出来るのかなと想うのですが、いかがでしょうか。
    余り通信に詳しくないので、宜しければ素人に分かる様に教えて頂けませんか。先生に金額の負担を掛けないで(日本から商品を購入して出来るので有れば送ります。)済む方法が有れば一緒に教えて頂けないでしょうか。
    勝手なお願い本当に申し訳御座いません。

    先生とは20年振りの再開で同級生一同楽しみにしています。

    何卒宜しくお願い致します。

    • tomonarit より:

      Kazuさん

      こんにちは。Tomonaritです。以前書いたこちらの投稿についてのご質問と思いますが、自分はEVDOでもスカイプ出来ると思います。
      http://ict4djapan.wordpress.com/2011/09/23/%E3%82%A8%E3%83%81%E3%82%AA%E3%83%94%E3%82%A2%E3%81%AEict%E4%BA%8B%E6%83%85/

      実際に自分もEVDOでスカイプやってみましたが、映像はカクカクするものの、会話が出来ないとか動きがサッパリ・・・ということはなく、ちゃんと意思疎通は出来るレベルでした。
      また、EVDOは月額定額制なので、10分位スカイプをやっても金額も月内定額に収まると思います。
      ただ、停電や断水が時々ある国なので、なにごとも不安定でもありあます。その時々で通信速度や安定度はまちまち。。。こればっかりは、やってみないとわからないですね。

      また、もしも別の方法を提案するなら、ホテルやカフェのWifiスポットを利用するのも手です。先生がアジスアベバにご滞在されているなら、アジスアベバ市内の外国人が泊まるようなホテルでWifiが使えます。自分のノートパソコン(Wifiでの無線通信機能が付いているもの(←最近のノートPCなら付いています))を持っていき、ホテルのロビーなどでコーヒーでも飲みながらスカイプするってのは可能です。Wifiなんで通信料金もかかりません。(ただ、会話をするなら、やはり静かな自宅の方が良いかもしれませんが)

      念のためですが、ノートパソコンにはカメラやマイク機能がない場合もあります。先生のノートパソコンがそのタイプだとしたら、Webカメラ(マイク機能付き)を購入する必要がありますが、アジスアベバ市内のパソコン屋さんや携帯電話を扱っているお店には商品は豊富にあり、2000〜5000円位で購入出来ます。

      いずれにしても、同窓会当日を迎える前に試しでスカイプやってみることをおすすめします。上手く行くと良いですね。
      では、懐かしい再開が実現することを祈っています。

  2. […] 5月29日にJICA地球ひろばでICT4Dに関連した面白いイベントがあります。以前このブログでも紹介したICT4Dが学べる修士コースを今秋から開設する神戸情報大学院大学とハバタク株式会社が主催です。ICTを活用し途上国ビジネスを展開しているAMP Musicの梅本優香里さんもスピーチしますよ。会社帰りに参加出来る時間帯なので、この分野に興味のある方は是非! […]

  3. […] そういえば、以前このブログでも紹介した「AMP Music」の取り組みは、「モノのロングテール」とアマゾンドットコムのような流通業のロングテールとを組み合わせているのだと思います。ケニアのスラムで若者が音楽を作る(CDを作る)のは、「モノのロングテール」的な要素を含むし(大規模な録音・編集スタジオがなくてもPCで編集もCD作成も出来るようになった)、それをiTunesで販売するというのは、流通・販売のロングテール的な要素を含んでいるのだと。 […]

  4. […] 勿論、テクノロジーによって途上国の人達も先進国の人達と対応に競える同じ土俵には立ち易くはなった。AndroidやiPhoneが普及したからこそ、途上国の人達も簡単に自分達で作成したアプリを世界市場に向けて販売出来るようになったし、AMP Musicの取り組みのように、途上国発のプロダクトが世界市場にアクセス出来るようになった。 […]

  5. […] 勿論、テクノロジーによって途上国の人達も先進国の人達と対応に競える同じ土俵には立ち易くはなった。AndroidやiPhoneが普及したからこそ、途上国の人達も簡単に自分達で作成したアプリを世界市場に向けて販売出来るようになったし、AMP Musicの取り組みのように、途上国発のプロダクトが世界市場にアクセス出来るようになった。 […]

タイトルとURLをコピーしました