ICTWorksとWayan.comに興味深いICT4E関連のトピックがあったの紹介。どちらもOLPCやインドのAakash(35ドルのタブレット端末)に代表される、いわゆる「ハードを生徒に配ること」=「教育の質の改善」にはならないという話。
まず、Wayan.comに、「The $35 Aakash Tablet Will Fail Education Just Like the $100 OLPC Laptop Did」(Aakashの35ドルタブレットは100ドルのOLPC同様に失敗する)というタイトルで、ハードを配っても、それをどう活用するかの教育手法のトレニーングを教師に対して行なったり、教育用ソフトやコンテンツを充実させないと、ハードだけでは意味がないということがストレートに書かれていた。なるほど、その通り、と納得出来る。基本的に自分もこの考えだ。でも、コメントの書き込みを読んでみると、反論もないわけでない。まぁ、ハードだけじゃダメってのは分かっているが、それでも、安くなってきたし、生徒が持つことでそれなりにメリットはあるだろう、とも思える。
しかし、そんな「ハードのバラマキにもそれなりの意味はあるだろう」という思いが、ICTWorksに掲載されているVictor Lyons氏の話を読んだら、ちょっと変わった。以下、VictorsLyons氏の投稿のご紹介。
クイズ:
『貧困ライン以下の生活をしいられている発展途上国の田舎の学校。生徒数は30名。必要な教育用コンテンツやソフトが既にインストール済み30台のタブレットPC(ノートPCや携帯電話に置き換えてでも良い)が学校にあるとしたら、この30台のタブレットPCを、生徒一人に一台ずつ配りますか?』
非常に分かりやすい問いかけだ。「モノあるなら、しかもコンテンツも入っているなら、配ったら良いじゃん」と思いました。が、この記事を読むと、それじゃいけないのか・・・と改めて思える。
Victor Lyons氏が実施しているインドの田舎で成人向け識字教育を行うTara Akshar Literacy Programというプロジェクトの話。まず、先生1人で生徒1人を教えることろから始めたが、これではコストがかかりすぎる。そこで、生徒2人でPC一台を共有し、その2人の生徒を先生が1人で面倒を見ることにした。次に、4人の生徒でPC1台を共有し、先生が1人。次に8人の生徒でPC一台を共有し、先生が1人。このようにどんどん効率を上げていったら、最終的に8人の生徒でPC1台を共有し、先生が1人で、3クラスの面倒を見れるようになった。つまり先生1人が24人の生徒を見れるようになったのだ。
この8:1の割合が上手く機能する理由として、対象となる生徒の生活環境があげられる。田舎の生活は常に誰かと一緒。家族だったり、ご近所さんだったり、友人だったり、常に誰かと行動を共にしたり話をしたり。そんな彼らにとって、8人という人数でワイワイガヤガヤしながら勉強するのが楽しくもあり、やる気にもつながった、という。(→①1人ぼっちで勉強が続かない)
PCの活用とは関係ないけれど、2人組で勉強したり、4人グループで勉強することで、勉強の効率・効果が上がると言われる。「確かにそうかも」、と納得出来る気がする人は少なくないだろう。自分も、大学院では良くグループワークをやってたし、それはそれで楽しかったし、何よりも人と一緒に勉強した方が、議論や考えたことが記憶に残る気がする。(→②1人でPCと勉強するのが本当に良いのか?)
また、Victor Lyons氏は、勉強の苦手な生徒たちに歴史を教える立場になったときに、歴史の話をせずに、勉強の仕方を教えた。マインドマップの活用法とか、多重知性をどう活かすかとか、記憶の方法などなど。そして、生徒を2人組にして互いに教え合うように支持した。すると、その生徒達の成績がぐんぐん伸びたという。(→③コンテンツじゃなくて、勉強法が重要)
以上のVictor Lyons氏の話を読んで、①〜③の理由から、「1人1台のタブレットPCを配っても、それじゃダメだなぁ・・・」と改めて納得。そもそもPCに向かって1人で黙々と勉強するってのが、難しいということに気づくだけでなく、1台のPCを共有して使うことで生まれるグループワークの良さがあるということにも気づいた。
そういえは、エチオピアの高校のIT教育でも、生徒は1台のPCを3人で共有していた。早く1人1台の環境になれば良いなぁと思っていたけど、そうとも限らないのかも。彼らはワイガヤしながら楽しそうにやっていなぁ、と思い出しだ。テストのときには、「こいつと同じグループじゃ嫌だ!」とか喧嘩している輩もいたが、1人でPCに向かって黙々と勉強することでは得られない貴重な勉強をしていたのかも。今後、途上国、先進国を問わず、学校でPCが1人1台に提供される教育環境となっていくとしても、やはり人と学ぶってのが、非常に重要だと改めて感じました。
コメント
同じグループになりたくないからって、小学生じゃあるまいし
それぐらい我慢してほしいですね笑。
日本にもone ipad for one studentのような取り組みが北海道
道北の初山別村であります。
小学校5年生以上中学生全員にipadを村が無償配布してます。
http://www.hokkaido-nl.jp/detail.cgi?id=10671http://www.hokkaido-nl.jp/detail.cgi?id=10671
ちなみに同村は、希望世帯全てに(基本料金は村持ちで!)安否確認や村から配信される
メールを受信するためスマートフォンか携帯も配布してます。
ただし、ばあちゃんたちにはスマートフォンは「なにがスマートだがいみわがんね!」と不評で
もっぱら携帯が人気のようです。
Miyazakiさん
コメントありがとうございます。かなり遅い返信でスイマセン・・・。
3人で1台のPCを使っている生徒を見るのはとても興味深かったです。テストのときなど、「こいつと同じグループじゃ嫌だ」と本気で半ベソかいてる高校生男子などもいましたね((笑)
留学先の大学院でも、グループワークはかなり難義でしたね。いい大人なのに小学生かっ!ってくらいに、色々とモメて・・・。でも、今思い返すと、それがある意味、リアル教育のメリットなんだろうと感じます。ネットや本などで自分一人で勉強出来るようになっても、集合・対面での教育がベターなのは、やっぱしそういうインタラクティブ度合いが違うからなのだと感じますね。
北海道の事例、どんな結果が出るのか、そして、その後どうなるのか?楽しみです!
[…] Endlessの成功を予想するのは結構楽しみである。そこで、関連して過去の投稿「一人に一台、タブレットPCを配りますか?」を紹介したい。この投稿では、以下のクイズについて説明している。 […]
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