現在イスラム世界で、アメリカ人の作ったムハンマド冒涜映画の影響で大きな抗議活動が行われているはご存知だろうか
この映画がYouTubeで流れ、そしてYoutubeの親会社のGoogleが削除を認めなかったため、各国政府は事態沈静化に向けてYoutubeへのアクセスを遮断するという対応をとっている。そのため、ここバングラデシュでも数週間Youtubeへアクセスできない状態になっている。
そして今度は、仏教徒がコーランを焼いている写真がFacebookにアップされたという事件があり、仏教徒寺院が焼き払われるということがここ数日起きている。
これら一連の事件から感じるのは、宗教を愛する気持ちはわかるが、ちょっと過敏で、政治や外交に利用されかねないということだ。そしてそのツールとして選ばれるのがソーシャルメディアとなる。
噂では仏教徒コーラン焼却事件は、反政府勢力が政治を不安定にする目的で、仏教徒のFacebookアカウントを乗っ取ってアップしたという噂もある。その真偽も定まらないまま、焼き討ちに発展してしまっている。
現在のメディアもかなりのバイアスがかかっているが、ソーシャルメディアは誰のチェックも裏付けもなく世に出せるわけで、情報を受け取る側のリテラシー向上も今後重要になってくると思われる。そもそも今回の両事件に関するデモ参加者や焼き討ち実施者のうち、その動画や写真を見た人はどれだけいるのだろうか。。
Facebookをきっかけにしたアラブの春など、既に政権転覆に発展しているケースもあるが、そのうちソーシャルメディアを悪用して戦争や外交問題を仕込む事件が起きてくるんだろうな。。
コメント
ソーシャルメディアはリアルタイムで情報を拡散するので、悪用されるとひどいことになりますよね。9月に起きたリビアのアメリカ大使館襲撃では4人の方が亡くなりましたが、Youtubeの動画に対抗した反米デモがエジプト大使館周辺でも同時発生していたため、事態把握に大きな混乱がありました。
そういえば3.11の地震のときも虚偽情報がツイッターで拡散してましたよね。誤った情報や悪意のある情報にどう対処していくのか、政府・ソーシャルメディア企業は今後問われるでしょうね。表現の自由の問題があるのでブロックはしないにしても、ユーザーが惑わされないようにすぐにスクリーニングして注意喚起できる仕組みをつくるなり。
JICAの事業だったか他ドナーのだったか忘れましたが・・・以前ラジオプログラムをコミュニティ支援の一部に組み込んでいる開発プロジェクトがあったのですが、選挙の時期だったので特定の候補者の選挙活動に利用されそうになってラジオプログラムは中止したといったものがありました。プロジェクト側はそんなところで躓くとは予期しておらず、対処にとまどったようでした。開発プロジェクトでもソーシャルメディア等をコミュニケーションツールとして使うことがますます増えると思いますが、メディアの役割・ルールというものを事前に議論・確認しておくことが大事と思います。
>Usaminさん
善意のスクリーニングと、情報統制は紙一重ですよね。というか自分にとっては善意のスクリーニングのつもりでも、人によっては情報統制に取られてしまう。メディアの在り方、情報の在り方というのは一つの面白い研究テーマかもしれませんね。