エチオピアの遠隔教育 その後②

アフリカ

昨日の続きです。

マムラカロード外観

2003年から2年間、青年海外協力隊で活動したデッセイという地方都市の学校(上の写真)に訪れました。全然ボロくなっておらず、きれいなままでなんだか安心しました。早速、通称「プラズマ」と呼ばれている遠隔教育について、元同僚の先生に聞いてみました。

マムラカロード1

上記の写真の左上に移っているのがプラズマディスプレイのケース。鍵がかかってて、使うときだけあのケースから横にスライドさせてディスプレイをもっと中央に持ってきて使う。「今も活用されている?」という質問に対しての返事は、「Yes」でした。コンテンツが配信されている科目ではちゃんと使われているとのことで、故障して使われていないとう雰囲気はなかった。とはいえ、IT教科は、この遠隔教育を使わない数少ない教科の一つであり、自分が質問したIT教科の先生がどこまで現状を把握しているかは?ですが、それでも「故障して使ってない」という回答でなかったのは嬉しい。

さらに、「Plasma Control Room」なる部屋(下の写真)に訪問。

プラズマコントロールルーム

「この部屋で校内の遠隔教育のシステムを管理しているんだ」との説明。2003~2005年の自分がいた当時はなかったなぁ。具体的に何しているのかを聞いたところ、首都アジスアベバから配信される授業をダイレクトで各教室で見ていると、停電やこの学校や地域特有の理由で授業がなかった場合、その日の授業が受けれないまま次の授業を受けることになるので、そうでなく、この学校内ではPlasma Control Roomから授業を配信するように試みているとのこと。下の写真のような授業DVDを使って配信することで首都からの配信スケジュールに左右されない授業進行が可能になる。

遠隔教育DVD

この学校は先進的な取組としてこういったことをしているそうで、他の学校ではここまでやっているわけではないという。モデル的にこの学校で上手くいったら、他の学校にも展開出来るという話でした。確か、5年前くらいに他の地域の学校でも、首都から配信されたコンテンツをハードディスクに保存して同じようなことをしていると聞いたが、それはどうなったのか・・・?とか、なんでもっと早く(むしろ当初から)DVDでコンテンツ配らなかったのか・・・?と疑問に思いつつも、活用されていて良かった。

そしてついでにということで、インターネットルームも見せてもらいました。British Councilの支援で教員向けインターネット環境が構築されて、数名の教員がケニアでの研修に参加したという。ちなみに、自分の元同僚(写真)も参加してました。

インターネットルーム

インターネットをどう使うか?(以前、先生達はゲームをダウンロードしてハイスコアを競うことに熱中したり(ハンパなく真面目に競ってました・・・)、転職情報を入手したり、と教育の質の向上とは無関係なことにネットを使っていた・・・)という課題はありますが、なかなかこの学校はICT環境は恵まれている方なんだろうと思います。

最後に、昔自分が教えていた懐かしのコンピュータルームへ(下の写真。椅子が散乱しているのは、PCを使わない別の会議で使ったため)。それなりに当時のPCもまだ現役で残っていたものの、砂埃がすごい。二階建ての二階だけど、みんな土足なので結構砂ぼこりが。PCルームに入るときはスリッパに履き替えましょう的なことが出来れば良いが、そういう習慣はない(お掃除のおばちゃんは結構頻繁に来てくれるけど)。

PC教室1

PC教室2

先日の遠隔教育は上手くいっていないとの話とは異なり、この学校では遠隔教育が活用されている点は嬉しい発見でしたが、それでも改めて日本から来てPCルームを見ると、こんなに埃っぽかったことに驚き。機器が故障しないように管理出来るかなぁという点は不安が残ります。遠隔教育とかインターネットとかのコンテンツの議論の前に、まずは精密機械の管理方法を徹底しないといけないという、非常に初歩的な点が最も気になりちょっとモヤモヤしつつ、懐かしの学校を後にしました。

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コメント

  1. […] 上記の貴重な話を聞かせてもらった翌日。自分はかつて協力隊時代の任地デッセイへ行きました。当時の配属先の学校では遠隔教育としてプラズマディスプレイが20~30台くらい導入されていたので、もし同じ状況だとしたら、とても残念だと心配しつつ、当時の配属先の学校へ行って見ました。故障中なのか、それとも活用されているのか・・・?(「エチオピアの遠隔教育 その後②」へ続く) […]

  2. Ozaki Yuji より:

    エチオピアもホコリがすごいんですね。
    西アフリカのガーナでも、ハルマッタン(ハマタン)と呼ばれるサハラ砂漠からの季節風が強い時期は、乾燥した微粒子の砂塵に悩まされます。ラップトップPCのラッチや光学ドライブ・キーボード、各種コネクタや接点・電極などが殺される事が多いですね。
    工場や建設現場で使われるような産業用コンピュータは高いんで、安いコンピュータを使い捨てする方がいいのかも、という話に。

    利用者側のリテラシ(落とさない、水に濡らさない、電源に気をつかう、力づくで扱わない、パームオイルでベタベタな手で扱わないなど)については、機器操作リテラシを決定づけるリファレンス、つまりは最も身近にある電子機器が、携帯電話や携帯ゲーム機になりつつあると感じています。つまり、携帯電話が壊れたり不調になるような操作・保管方法は、他の電子機器についても忌避しているっぽいですね。
    でもゲームボーイは無闇に丈夫で困っちまう(苦笑)。

    • tomonarit より:

      「安いコンピュータを使い捨て」という言葉にふと思いました。昔から、「コンピュータ=高価なもの ⇒長期間使うべし ⇒維持管理が大変なのでODAの途上国支援には向かない。」という考え方があったと思います。自分が以前、草の根無償に関わったときも、コンピュータ系の案件はほとんど通らないと聞いていました。
      しかし今となっては、価格もグングン安くなり、タブレットならもはや高価とは言わなくても良い価格帯のものも沢山ありますね。昔からの上記の固定観念を変える必要性も出てきているのだと感じます。

      • Ozaki Yuji より:

        機器への支出を経費とするか投資と見なすか、の問題もあるような気はしますが….。

        2004年3月10日に実施された、外務省の無償資金協力実施適正会議(第10回会合)の議事録をご参照ください。

        上記議事録から、委員からの「一般論として無償資金協力によるコンピューターの供与について如何に考えるか。」という問いに対する、外務省無償資金協力課からの回答を引用します。
        ———————-
        コンピューターの供与に関しては、大学のみならず多くの要望が寄せられており、実際は悩みの種である。というのはIT技術は日進月歩であり、コンピューターは3年もすれば陳腐化する。一旦供与するのはいいが、更新は誰が行うのか。更新の際にも援助することは援助依存体質を生んでしまうし、援助し続けることはできない。プロジェクトの一部としてコンピューターを供与することはこれまでも行ってきているが、何十台、何百台の供与となると、陳腐化が早いという問題がある。
        ———————–
        [引用者からの注記]
        供与台数と陳腐化の速度に直接関連性はありません。「供与台数増加に応じて、陳腐化に対応するための経済的負担が大きく増加する」と解釈するところでしょう。

        んでもって、携帯電話は暗黙的にBYOD(Bring Your Own Devices)なんで、陳腐化とは関係ないって発想なのかな?

  3. Kanot より:

    まさにICT4Dの典型プロジェクトのBefore After調査のような里帰り、楽しく読ませていただきました。
    ところで、プラズマとしての活用は書いていただいた通りですが、これまた結構な投資をしたと思われる衛星施設はどうなってますか?
    そしてこれを読みながら南太平洋大学がどの程度ホントに活用できてるのか、気になり出しました。

  4. […] 今回のエチオピア帰国時に2回ほど協力隊時代の同僚の弟さん(ゲタチョウ君)に会いました。彼はバハルダール大学のコンピュータサイエンス学部を5年前に卒業して、今は政府系のサイバーセキュリティ対策機関に勤務しています。そんな彼に色々と聞いてみました。 […]

  5. […] す」とは確かに・・・。It depends on the contextってことでしょう。ふむふむ。じゃ、じゃ、もっと具体的な質問をしてみよう。私のエチオピアネタにからめてこんなふうに聞いてみました。 […]

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