本の紹介「グラミンのソーシャル・ビジネス」

アジア・大洋州

グラミンのソーシャル・ビジネス

大杉卓三、アシル・アハメッド著「グラミンのソーシャル・ビジネス」という本の紹介です。大杉先生とは神戸情報大学大学でお会いして、そのときにこの本を頂きました(どうもありがとうございます!)。大杉先生といえば九州大学などで日本でグラミンとの連携を牽引する第一人者として知られていますが、流石、いろいろと「グラミン=マイクロファイナンス」だけじゃない視点から興味深い情報満載でした。

グラミンの取組は、ICTに絡まない活動(例えば、グラミン・ダノン(ダノンヨーグルトの仏ダノン)とか、日本との連携で言えば、グラミン・ユニクロやグラミン・雪国まいたけ等)も多くありますが、自分自身の備忘録的に、この本からICT関連の取組を以下まとめてみました。

  • グラミンフォン

言わずと知れた携帯電話事業。グラミンフォンはテレノール、グラミン・テレコム、丸紅、ゴノフォンが出資して誕生した。この本を読むまで、ノルウェーのテレノール(←最近はミャンマーの通信事業者に参入するって話題で良く耳にします)や日本の丸紅が出資していたということを知らなかった。しかも株式の61%をテレノールが保有しており、グラミン・テレコムは38%だったとは。
グラミンフォンの取組は「ビレッジ・フォン・プログラム」や「ビレッジ・フォン・レディ」、このブログでも以前紹介されている「インフォ・レディ」など良く知られているので説明は不要かと。面白いのは、「ビレッジ・フォン・レディ」の発送は、牛を携帯に置き換えたという点。マイクロファイナンスで資金を借りて牛を購入し、牛乳を売って返済するというモデルの牛が携帯になったということ。ICTを使ったサービスといっても「牛→携帯」の置き換えがアイデアになっている。他にもこういう視点で新しいICTサービスが出来そうな気がする。
その他にも、「コミュニティ・インフォメーション・センター」というテレセンター的な事業もやってる。(グラミン・テレコムとグラミン・コミュニティも共同で「グラミン・インフォメーション・キオスク」ってのをやっている)

  • グラミン・シャクティ

太陽光発電システムなどの販売をしている。1464支店を持ち1万1000人を雇用している。また、グラミン・テクノロジー・センターでは、女性を対象に太陽光発電システムの部品製造やメンテナンス等の技術指導を行い雇用創出を実施している。ソーラーパネルには日本の京セラ製品が使われているという。
知らないところで日本企業の製品が頑張っているんだなぁ。

  • グラミン・インテル・ソーシャル・ビジネス

CPUメーカーの米インテルとの合併企業(2009年設立)。インターネットや携帯電話を使ったソーシャル・ビジネスをインドとバングラで展開。母子保健のプロジェクト等を実施しているという。
インテルといえば、Classmate PCとかOLPCからの撤退(Classmate PCと競合しちゃうからね)といったようにICT4D分野でのアクターの一者であるものの、あまりパッとしないイメージでしたが、グラミンとの合併企業もやっていたとは。

  • グラミン財団テクノロジー・センター

ICTを活用した貧困削減についての研究所。AppLabというプロジェクト(Application Laboratoryの略)をウガンダ、ガーナ、インドネシア、ラテンアメリカ、カリブ海地域で展開。AppLabは、モバイル・アプリやサービスの開発を行って、地域の開発課題へのソリューションを提供しようとしている。以前、このブログでもウガンダのプロジェクト例「Community Knowledge Worker」を紹介してましたが、農業分野以外にも、モバイル・マネー、ヘルスケア、マイクロフランチャイズ(小規模企業支援)、といった4分野でプロジェクトを行っている。
特にヘルスケア分野では、今度自分が行くガーナの例が取りあげられていたので紹介したい。
MOTECというプロジェクトで、妊婦を対象とした情報配信&カルテ情報管理を行っており、USAIDやゲイツ財団などの支援を受けている。また、ガーナでは世銀の母子保健プロジェクト「Every Woman Every Child」の助成金で、携帯を活用した母子保健ソーシャル・ビジネスモデルの開発も行っているという。

以上、本からの情報をICT4D絡みでまとめてみました。
これからガーナに行くので、意外とガーナでも活動されているというのが個人的には最も関心が高いところ。こういう取組がどういう結果になっているのか実際に知ることが出来たら面白そうです。

しかし、知れば知るほどグラミンの凄さをに驚きます。この本を読んでみて、自分もそれになり知っているつもりでいたのですが、それでもかなり知らないのだということに気づかせてもらいました。

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コメント

  1. Kanot Kanot より:

    むむ、読みたい。。。でもバングラにいるのでバングラのことを書いた本が買えない・・・

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