Modi首相のアメリカ訪問に見るインドの存在感

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アメリカのIT分野におけるインドの存在感が増している。そしてインド側もそれを強く意識している。それを象徴するイベントが、2015年9月のインドModi首相のアメリカ訪問であった。(写真中央はModi首相、右がPichai Google CEO。AP/Photoより)

まずModi首相について簡単に触れると、現在インドのIT化政策である「Digital India」を強く推し進めている人であり、首相自身がTwitterなどで積極的にフランクな発言をするなど、国民と新しい形のコミュニケーションを取って人気を博している。そのModi首相が2015年9月にアメリカを訪れたのだが、その訪問先はワシントンではなくシリコンバレーとニューヨークであった。

主要訪問先の一つであったGoogleでそれを迎え入れたのもCEOのSundar Pichai氏(インド人)。政治的な繋がり以上に産業界におけるアメリカとインドの繋がりを強く意識した訪問であり、インドのIT分野における存在感を強く感じた訪問であった。

その存在感の内訳としては非常に双方向なもので、一つはオフショア開発先としてのインド、一つはシリコンバレーで多くのインド人が働いているという現状、そしてもう一つは今後のマーケットとしてのインドの大きさである。

実際に私の大学でも驚くほど多くのインド人留学生が理系を中心に学んでいて(アメリカへのインド人留学生数は13万人(2014年)、[参考]日本人留学生は2万人(2012年) )、その多くはシリコンバレーでの就職を目指しており、優秀な人材供給源としてインド・アメリカで対等なパートナーとなりつつあると感じる。

一方の日本では、海外のSEを取り込もうといった動きはあるものの、あくまでアウトソーシング先や、現地法人運営に向けた人材育成といった面が強く、対等なパートナーシップではない企業が多い。もちろんインド人が英語がネイティブなので語学のハードルが低いというのはあるだろうが、アメリカで主要スタッフとして働ける可能性(実際にGoogleではCEOまで上り詰めた例がある)と比べると、日本のIT企業を目指すというのはあまりに魅力的でなく、優秀な人材がアメリカを目指すのも頷ける。

世界中の頭脳を集めて(アメリカ人ではなく)アメリカという国を強く保とうとするアメリカ、日本人を強く保つために外国のエンジニアを使おうとする日本、どちらがいいかという話ではないが、産業の発達という観点ではどうしてもアメリカに分があるように感じてしまう。

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コメント

  1. tomonarit より:

    インドは面白そうな国だよね。超上流のICT技術者が活躍出来る場もありつつ、且つ、田舎でテレセンターを!みたいなICT4Dど真ん中の現場もある。いわゆるリバースイノベーションとかが生まれ易い土壌な気がする。そういう意味では中国も同じかも。

  2. Kanot Kanot より:

    そうですね。良くも悪くも全てが揃っている国ですね。おそらくこれからは留学などで学んだ若者がインドに戻ってくる時代になりつつあるはずなので、これからどう発展していくのか楽しみです。

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