Sensor for Development

3. その他

先日投稿した“Sustainable Development GoalsとICT”のなかで、ここ最近ICT4D分野でも注目を集めている技術がどんどん新しいものになって来たことを感じる、といったことを書いた。ビッグデータとかド3Dプリンタとかドローンとか色々な技術が台頭してきている。ただ、そいうった新しい技術を「実際にどう途上国開発プロジェクトで活用しているのか?していけるのか?」という点は、自分もまだ勉強中。そんな中、センサー技術の活用について具体的な例を使って一定の示唆を示す投稿がICTWorksにあったので紹介したい。

“Sensors for MERL: What Works? What Does Not? What Have We Learned?”と題された投稿では以下3つの事例を取り上げている(以下、同サイトから写真をパクリつつ、「へー」と思った点だけ抜粋して書いているので、詳しくはぜひICTWorksを見てみて下さい)。

1.モンゴルのウランバートルでのストーブ利用状況モニタリング

Mongolia_Stove_lighting

Temperature sensors to measure stove use behaviors in Ulaanbaatar, Mongolia (from ICTWorks)

MCC Energy-Efficient Stove Subsidy Programというウランバートル市で燃料(石炭)節約の型省エネなストーブを普及させるプロジェクトのモニタリングに、温度センサーを活用している例。ストーブと部屋に設置した温度センサーから、各家庭でいつどれくらいストーブが使われているのかがわかる(下の動画がそれです)。取得したデータから省エネストーブと従来型ストーブの利用状況を比較した結果、省エネストーブ利用者がきちんと省エネ機能を活用していない(省エネ機能を十分発揮させるにはストーブ利用開始時には燃料をどんどこ入れない方が良いのに、寒いから早く暖まろうとドンドン入れちゃっていた)ということが分かったそうな。

いやはや、面白い。

2.タンザニア都市部での給水状況モニタリング

Logger_Install

Pressure loggers to measure piped water supply intermittency in urban Tanzania (from ICTWorks)

Millennium Challenge Corporation (MCC) Tanzania Water Sector Projectというタンザニアでの給水プロジェクトの評価・モニタリングとして、水道の蛇口に水圧センサーを付けて、10分おきに水圧を計測するというもの。各水道の水道メーターからは利用した水量しか測れず、水圧が低くて水がチョボチョボとしか出てないとか、断水しているのかなどは分からない。でも、これだとちゃんとそいうことまでわかる。

3.ルワンダの地方でのハンドポンプ利用状況モニタリング

Rwanda_CellPump

Motion sensors to measure monitor hand-pump functionality in Rwanda (from ICTWorks)

CellPump project in Rwandaというこのプロジェクトでは、設置したハンドポンプの稼働状況をモーションセンサーから取得し、壊れて使われていないハンドポンプをタイムリーに見つけて修理部隊がすぐに駆けつけて修理するということをやっている。従来この手の給水ポンプ設置プロジェクトでは、修理部隊が巡回して故障状況を把握していたが、センサーを使った方法を取ることで無駄がなくなる。パイロットプロジェクトでは200個のセンサーを設置し、稼働率が以前の50%から91%に上がったと報告されている。

以上が3つの事例。こうやって実際の例を見ると、どんな風にセンサーが活用出来るのかについてちょっと具体的なイメージが持てる。ICTWorksではこられの事例に基づいて、センサーを使った開発プロジェクトに関していつかの示唆が書かれているが、その中から自分が特に共感出来る点も紹介したい。

  • どうやってローカルニーズをくみ取るか?

現地の人達はセンサー技術を使って何がしたいか?をどうくみ取るのかは課題。ICT4Dプロジェクト全般に言える事だが、技術を知らない人がその技術からどういうメリットを得られるのかを考えるってのは至難の技(インターネットを知らない人に「インターネットから何を得たい?」と聞いても分からん)。でも、現地の人達からのニーズなしにはなかなか成功するプロジェクトは作れない。

  • 評価・モニタリングと実施の境界が薄まる

事例3のようにセンサーを活用することでモニタリングとその対策(この場合は給水ポンプの修理)が同時平行で出来るようになる。うまく言えないけど、これまでのImplementationとEvaluation/Monitoringを融合したようなプロジェクトが出来るような気がする。

  • やっぱり人間が重要

センサーからとれるデータに基づいて支払いをするとか、評価をするとか、意思決定をするとか、そういうことが行われる場合、どんな基準でどんなデータをとるのか?どうデータを分析するのか?といったことが肝になる。「データにおまかせ」ではどっかで道を誤るリスク高し。

以上、自分の勉強も含めて書いて見ました。この分野に詳しい方、是非コメント下さい。

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3. その他
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