ブロックチェーン、あなたはPositive派 or Negative派?(ネガティブ編)

ども、Tomonaritです。前回の「ブロックチェーン、あなたはPositive派 or Negative派?(ポジティブ編)」に続き、今回はネガティブ編です。「ブロックチェーン・レボリューション  〜ビットコインを支える技術はどのようにビジネスと経済、そして世界を変えるのか〜」という本から、ブロックチェーンの課題や懸念を抜粋してみました。この本の第10章に課題がまとまっているのでそこからの抜粋になります。カッコ内は私のコメントです。

注意点としては、どんな視点からの課題があるのか?を整理する意図で、あえてネガティブな点だけ拾っていますが、本の中ではそれに対する解決策が提案されてもいます。詳しく知りたい場合は、是非、本を読んでみて下さい。凄い面白いです。

【Negative編】

課題1:未成熟な技術

  • ギリシャの経済危機のときに国民がビットコインのことを知っていたなら、人びとがいっせいにビットコインを買おうとして大混乱になっていたことだろう。状況は現在もあまり変わっていない。国レベルで人びとが通貨をビット コインに変えはじめたら、今のネットワークでは対応できないはずだ。
  • 一般のユーザーに対するサポートやインターフェースはまだ十分ではない。難解 な専門用語や、数字とアルファベットの羅列を見て、普通の人はやる気をなくし てしまうだろう。(いずれも、今のテクノロジーの発展のスピード感からすると、すぐに解決される課題な気もする)
  • (秘密鍵をなくしてしまったりすることについて)ブロックチェーンでは、高度なプライバシーやセキュリティが手に入るかわりに、何かが起ったときの責任を自分ですべて負わなくてはいけない。(それはそうだ)
  • 記録を消去することもひとつの伝統です。なぜなら、人は10年以上も前の行動で責められ続けるべきではないからです。人生はやり直しがきくものでなくてはいけません。(「10年前はこうだけど、それからの10年はこうだから信用しよう」と、判断する人が過去も含めて判断すれば良いのでは?
  • (スマートコントラクトでは一旦決定がなされると、やり直しがきかないという点について)、例えば、役人が間違った人の名義で土地を登録してしまった場合、後から本当の持ち主が出て来ても登録を取り消すことが出来ない。(これ、ありえる。そして、「正しい名前で登録するから、賄賂よこせ」という役人も出て来る)

課題2:エネルギーの過剰な消費

  • ビットコイン・ネットワーク全体の電力消費量は、低く見積もってもアメリカの家庭700世帯分、場合によってはキプロス島全体の電力消費量に匹敵するともいわれている。
  • ビットコインの価値が上がれば、新たなビットコインを獲得するためのマイニング競争も激化する。競争が激化すればプルーフ・オブ・ワークの難度が引き上げられ、必要とされる計算量はますます増える(つまりますます電気を食うってことだが、他のコインが、プルーフ・オブ・ワークという認証方式以外を使えば解決する)。

課題3:政府による規制や妨害

  • 中国では、すでにビットコインを規制する動きが始まっている。(途上国はどう出るか?)
  • アメリカ国税庁は、ビットコインの定義を通貨ではなく資産として規定している。ビットコインの価値が上がって利益が出ると、株式のように課税される。

課題4:既存の業界からの圧力

  • インターネット初期の懸念の多くは現実になった。巨大企業が技術やユーザを囲いこんでいる。デジタル体験はみんなのものでなく、大企業の私物と化した。
  • 大企業や政府が大量のマイナーたちを買収してビットコインに悪意ある攻撃をしかけてきた場合、それを防ぐ方法はあるのだろうか。理論的には、全マイナーの計算能力の過半数を手に入れると、任意の取引を承認してブロックチェーンに登録することが可能になる(51%攻撃)。好きなだけ不正ができるということだ。さらに仕様変更への発言力も強まり、自分たちに有利な使用変更を加えることが出来るようになる。
  • 独裁者から逃げ出す方法はないという。ネットワークの過半数を握られたら、もうどうしようもないのだ。
  • 多額のテクノロジー投資で大がかりな社内システムを整えた企業は、新たな技術に乗り換えることを拒み、古いシステムに今以上に金をつぎ込むだろう。そしていかにブロックチェーン企業をつぶすかということに全力を注いでくるはずだ。

課題5:持続可能なインセンティブの必要性

  • マイナーが一カ所に集中していると政治や金で支配されやすくなる。
  • ビットコインのマイニング報酬は、約4年ごとに半減する仕様になっている。報酬がゼロになっったらどうするのだろう。また、ビットコインの価格が下がったら、マイニングに見切りをつける人も出てくるのではないだろうか。
  • (解決策として)サトシ自身が次のように述べている「取引手数料という形の報酬を設ければ、すべての取引をブロックチェーンに含めるためのインセンティブになる」。ただし、ブロックのサイズには上限があるため、マイナー達は手数料の高い取引を優先し、手数料の低い小額取引を後回しにするかもしれない。すると次のブロック、また次のブロックへと処理が先送りされ、小額送金者がいつまでも待たされることになってしまう。
  • プルーフ・オブ・ワークにおける51%問題はマシンの処理能力の問題だが、ブループ・オブ・ステークの場合はコイン保有量の集中が問題になる。圧倒的なコイン保有量を利用して、ネットワークを乗っ取ることも不可能ではない。(銀行が圧倒的なコイン量を保有するとかありそう)

課題6:ブロックチェーンが人間の雇用を奪う

  • 自動化によって労働者の仕事が奪われるのは今に始まったことではない。インターネットは旅行代理店やCDショップの仕事を奪った。UberやAirbnbも正規雇用を奪っている側面がある。空き時間や空き部屋をお金にかえられるのはすばらしいことだが、安定した給料や福利厚生がついてくるわけではない。(福利厚生はテクノロジーとは別の話という気がする)
  • 新たな雇用が生まれるとはいえ、職を失う人の数もけっして無視はできない。(テクノロジー VS 雇用の議論は、新たな雇用が生まれる論が優勢な気がする。ベーシックインカムの話も興味深い)

課題7:自由な分散型プロトコルをどう制御するか

  • インターネットの場合、ICANNやIETF、W3Cなどの団体がニーズを予測し、開発の方向性を調整している。ところがビットコインのコミュニティにはそういう団体は存在しないし、管理されることを好まない気風がある。なんらかのガバナンス機構がなければ、コミュニティはいくつもの派閥に分裂して崩壊してしまうかもしれない。

課題8:自律エージェントが人類を征服する

  • ブロックチェーンを使えば、アノニマスの資金調達は今よりずっと簡単になるだろう。クラウドファンディングでビットコインを調達し、その資金を使ってテロの容疑者を暗殺するということも考えられる。そうなった場合、事件の当事者は誰になるのだろう。資金を1ドルだけ出資した人は、暗殺の法的責任を問われることになるのだろうか?(「ブロックチェーンだから」という懸念ではない気がする)
  • スマート自動販売機に利益率の高い商品を仕入れるようプログラムしておいたら、違法な商品やドラッグを売るようになるかもしれない。(飛躍している気もするけど、こういう視点も必要だと思う)

課題9:監視社会の可能性

  • ブロックチェーンは匿名性の高いネットワークだが、情報はオープンにされている。人びとの情報を収集したい企業や、サイバー戦争に勝利したい国家は、血まなこになってブロックチェーンの情報を分析するだろう。
  • 電子通貨、特許、採掘権、土地や所有権。これらがインターネットに解き放たれれば、悪用しようとする人が出てくることは避けられない。(これは今でもそうだろうけど、よりリスクが高まるということと理解)

課題10:犯罪や反社会的行為への利用

  • 分散型でP2Pの決済手段があったら、犯罪者が利用しないわけがない。実際、シルクロードというサイトではドラッグの売買にビットコインが使われた。1万を超える数の違法商品が並び、顧客はビットコインで代金を支払った…。
  • でも、ビットコインやブロックチェーン技術が、その他の技術よりも犯罪に向いているというわけではない。明確な記録が残るので、むしろ取り締まりしやすいという意見の方が多いくらいだ。
  • テクノロジーのあるところには犯罪の可能性がひろがっている。「一人が多数に対して及ぼしうる影響力は指数関数的に大きくなっています。いい方向の影響もあれば、悪い方向の影響もあります」
  • 犯罪者はテクノロジーの影響を駆使して、人を傷つけようとするかもしれない。でも逆に、ブロックチェーンがそれを阻止してくれる可能性もある。(これはそのとおりなので、敢えて解決の方向性まで記載しまし)

そして、量子コンピューター時代の到来!

  • 量子コンピューターの計算能力を前にして、現在の暗号はまったく役に立たなくなるかもしれない。量子コンピューターは、極めて大きな数字の素因数分解を極めて高速に実行できると考えられています。そして、公開鍵暗号の大半はそいういった素因数分解で解ける性質のものです。量子コンピューターが実用化されれば、世界中の暗号インフラは根本的な変化を迫られることになります。(なるほど…。)

以上です。

どんな課題があるか?を知るには良い情報だと思い、ちょっと長過ぎでもすべて書いて見ました。ブロックチェーンの課題とビットコインに特化した課題の両方があるという点は、ご注意ください。

総じて言えるのは、「ブロックチェーンだから」というブロックチェーンに特化した課題というよりも、インターネット誕生時代からあった課題やAIやIoTなどテクノロジー全般に共通する課題が多いという点。それをブロックチェーンが加速させたり、リスクを拡大させる可能性がある、という点。

でも、結局、テクノロジーはツールであってそれ自体が世界を良い方向や悪い方向のどちらかに向かわせる力をもっている訳ではなく、それをどう使うか次第。この本でも、以下のようなメッセージがちりばめられています。

  • ブロックチェーンは経済の万能薬ではない。結局のところ、豊かさを作るのはテクノロジーではなく、人間だ。

政治、経済、社会、文化など、テクノロジー以外の領域がテクノロジーの功罪を決めるということ。ICT4D分野でも昔から言われていることです。影響力が強いテクノロジーの活用には、より一層の広い視点が必要ですね。ありきたりな言葉ですが、「未来は予想するものではなく、創るもの」。良い方向に向かうようにどうするか?を議論して行きましょう。

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