ペルー政府による国民ID成功の秘訣は?

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こんばんは、Kanotです。今日は国民IDの話です。世界では約11億人の人が公式なIDを保持していないと言われています。そんな中、マチュピチュで有名な南米のペルー、実は国民ID制度が進んでるってご存知でしたか?恥ずかしながら私は全く知りませんでした。

今回は、世界銀行のID4D(Identification for Development)プロジェクト関連で、ペルーの国民ID・デジタルIDの事例を見つけたのでご紹介します。国民ID普及に必要な条件が少しわかった気がします。(写真も世界銀行サイトから引用)

ペルーでは、国民IDが「機会を与えること」に寄与していて、国民IDを持つことによって奨学金や仕事、そして教育への機会に繋がるなど、多くの国民に恩恵が得れるようになっているようです。ペルーはUniversal ID Coverageをほぼ達成しているとのことで、南南協力(開発途上国が開発途上国に現場の経験を伝える)の事例としてコートジボアールやギニアなどが学びに来ているとのことです。

記事では、ペルーで国民ID制度が浸透した理由として、以下のような点が挙げられていました。

  1. 紛争や内戦の歴史などによる国民IDの必要性
    ペルーでは1990年代の内戦などの影響で、約300万人分の(紙ベースの)住民の記録が失われてしまいました。こういった事への反省点から、国民のID政策への強い同意が得られているようです。
  2. 政府の強烈な後押し
    上記の国民情報紛失の結果、政府はID保持に強く舵を切りました。特に、インカの歴史もあるペルーでは、少数民族についても排除することなく、政府が(むしろ積極的)に少数民族のID登録に協力しているそうです。
  3. デジタル化の恩恵
    ペルーでは2006年からITを登録や記録にに使っており、詐欺の防止や正確な登録・管理に寄与にしているそうです。

この記事を読んだ私の感想としては、皮肉な話ではありますが、やはり1による必要性、そして2による政府の強いイニシアティブがあったからこそ国民もID化の恩恵を十分に理解でき、ここまで進むことができたのだと思いました。そして、国民IDには南南協力が効果的な協力になりうる、という点に妙に納得してしまいました。というのも、途上国では何かしらお互い似たような苦い経験を持っていることが多く(内戦やデータ改ざん、紛失など)、そこからお互い学べることは確かに多いと感じます。

ひるがって日本を見るとどうでしょう?先進国なのにマイナンバー制度、かなりもたついてますよね。これって、情報管理の進んだ先進国だからもたついてるという言い方もできると思っています。どういうことかというと、マイナンバーなんてなくても、ぶっちゃけ何も困らないわけです。銀行口座も自動車免許作れるし、学校もいけるし、さらには外国にも行けてしまう。それだけ整った上での国民IDなんて広まらないですよね。さらに言うと、日本の場合、ペルーが成功した3条件のうち、1も3も満たしてない状況(必要性も感じないし、便利にもなってない)です。うーん、これじゃ流行らないよなぁ・・と思ってしまいました。

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コメント

  1. Ozaki Yuji より:

    日本のマイナンバー、もたついているように見えるのは個人向けカードの普及だと思います。とはいえ、あまり『必要性も感じないし、便利にもなってない、流行らない』なんて煽っていると、「マイナンバーがポイントカード」みたいに「わかりやすい思いつきの機能」を付与されてあらぬ方向へすっ飛んでいきそうなのでホドホドにしてやってくださいな(笑)。
    財務省などのお役所や金融機関の中ではしっかりと使われているのでしょう、たぶん。

    カード絡みで言うならば、日本はクレジットカードの磁気情報→IC決済もだいぶ遅れている模様。これも一般消費者(というより加盟店かな)にとってのメリットが金額として可視化しづらいモノなので状況はにているのかも。
    https://tech.nikkeibp.co.jp/it/atcl/column/14/346926/121101240/

  2. Kanot Kanot より:

    マイナンバーにせよクレジットにせよ、ユーザにとっての明確なメリット、は重要ですよね。
    クレジットカードは加盟店の端末負担金の問題でしょうけど、店側はそこまでセキュリティ気にしないし、それを理由に店を選ぶほど消費者も気にしてない印象ですし、変えるメリットがあまりのかもしれませんね。

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