最近のイノベーション for Developmentバブルについて

ども、Tomonaritです。ここ最近、「テクノロジー、イノベーション」と途上国開発を絡めたイベントが多いな、と感じています。単に自分がそういう情報を意図的に拾っているからなのかもしれませんが、実際にここ最近、自分が参加したイベントには以下のものがあります。

ほんの10日間位で、上記のような盛り上がりです。

SDGsは今までと同じ途上国開発をやっていては到底達成不可能。なのでイノベーションが必要!という背景を根幹に、2019年のTICAD7に向け「アフリカ開発×テクノロジー」というテーマも出てきて、「バズってる」感じです。でも、個人的な思いとしては「バズってる」というよりも「バブル」というほうがしっくりきます。

その理由は、上記のSDGsの達成にはイノベーションが必要という理屈はわかるもの、SDGs達成を促進するのは、テクノロジーを使ったイノベーションだけではないのに、どうしてここまでSTI(サイエンス、テクノロジー、イノベーション)が持ち上げられているのか?が個人的には今一つわからないから。

例えば、途上国の経済発展や貧困削減を例にすれば、途上国産の資源や農作物を先進国がもっと高値で買い取る(国際市場での価格を上げる)みたいな方法だって昔から提案はされており、STI以外のそういう解決策だってやまほどあるはず。

それに加えて、STI for SDGsといったときに、援助機関による援助のやり方をテクノロジーを使って効率化しましょうという援助機関の内部手続きの効率化の話なのか(例えば、世銀のBondiやWFPのBuilding Blocks)、そのような話ではなく、テクノロジーを活用して途上国内で開発に資する新たな取組をしましょうという話なのか(例えば、ドローンをつかったワクチン輸送)、があまり明確でない気がしています。正解は「どっちも」なのでしょうが、そのような細かな議論ではなく、「テクノロジー、イノベーション」を使っていこう!ということしか議論されてない気がします(勿論、文献等では議論されているものの、イベントではあまり議論されていないという感触)。

さらに、以前、このブログでも取り上げたテーマですが、「テクノロジー、イノベーション」を途上国で使っていく主体が外国人で良いのか?という点も違和感を感じます。途上国の人達が主体となる手助けをすることが理想ですが、あまりそこの点にはフォーカスがされていない気もします。それよりも、先進国の民間企業が援助機関とタッグを組んで実施することが推奨されている風潮を感じます。民間企業が利益目的でやっていくことには全く疑問はないのですが、援助機関がそれを推すのはちょっと違和感があるのです。なぜなら、援助機関には「途上国の人々(企業)が自らイノベーションを起こせるようになることを目指すべきと思うからです。

こんな風に思いながら、「SGDs達成には〇〇が必要!」という問いに対して「SDGs達成にはイノベーションが必要!」という解が出てきたのかを考えてみました。まず、〇〇には「お金」が入るのはパッと思いつきます。「お金」以外で何か?と考えると、SDGsが17の目標169ものターゲットという幅広い領域をカバーしているため、「電気」とか「水」とかどんな言葉をいれてもしっくりこないのです。一方、「イノベーション」とか「テクノロジー」って、凄いしっくりくる。むしろそれ以外はハマらない感じ。逆にいうと、「イノベーション」とか「テクノロジー」がとても幅広い意味を持つ言葉なので、幅広い領域をカバーするSGDs達成にも「使える・必要」と言えるのだと思います。

うがった見方かもしれませんが、消去法で決められたキーワードだと思うと、その旗振りをするには、もっと具体的な議論が必要なのだと感じます。インターネットが普及してきた2000年、九州・沖縄サミットで「デジタル・デバイド」という用語が使われ、続く2003年、2005年のWSISと、ICT4Dが盛り上がりを見せました。でも、そのブームに乗ったテレセンター等のICT4Dプロジェクトが成功したのか?というと、失敗に終わった傾向が強いと思います(ちなみに、写真はマラウイのテレセンター。世銀Webサイトから拝借しました)。

一周まわって巡ってきた感のあるブームですが、テクノロジーを使うこと、イノベーションを起こすことが目的になっては、当時の失敗を繰り返すことになる可能性が高いのでは、と感じています。

最後に、10月26日(金)18:30から「アフリカと科学技術イノベーション」がテーマのセミナーがあります。

イベント名:AFRI-CONVERSE #5
時   間:10月26日(金) 18:30-20:00  対話セッション
20:15-  懇親会
場   所:国連大学ビル 5階 (東京都渋谷区神宮前5-53-70)
言   語:英語(通訳なし)
参加 費用:無料(但しセッション後の懇親会については実費負担)
参加 登録:登録サイトよりご登録願います。

UNDPがTICAD7をにらんで定期的に開催しているイベント「AFRI CONVERSE」の第5回目です。私の尊敬するJICA国際協力専門員の内藤智之氏や若手起業家の牧浦土雅氏というお二人が登壇されるので、とても行きたいのですが別件があって行けない・・・(涙)

“最近のイノベーション for Developmentバブルについて” への6件の返信

  1. おっしゃること、よくわかります。ようやくイノベーションはなんとくなく定義が(自分の中で)できてきたんですが、STIは依然としてふわっとしてますし、なぜかSTI=テクノロジーという風潮にも違和感を感じます。

    1. だよねー。Ozakiさんのいう「バクチ」に一票!は笑ってしまいましたが、そんな雰囲気も少しある。
      違和感を感じるのは、単に自分が保守的なオッサンになったからなのか・・・?という気持ちもありますが、地に足がついてない議論がどんどん盛り上がっているような気もします。

  2. 「SGDs達成には〇〇が必要!」==> 「バクチ」に一票。真っ当な方法じゃどうやっても無理だから。

    『途上国の人々(企業)が自らイノベーションを起こせるようになることを目指すべき』なのはその通りですが、現状では、援助機関に途上国政府機関、となると、ステークホルダーが消費者になりたがるばかりで話にならん(結局、購買と値切りの話にしかならない)と悲観的に考えています。
    IT関係に限定するならば、先進国の民間企業が捉える「toCのマーケット」に途上国の人たちが組み込まれることで、マトモな競争に参加できるならそれでいいのかも知れないなあ、とぼんやり考えてもいます。
    製造業には当てはめてはダメなのでしょうけど。

    ガートナーが2018年8月16日に公表した、2018年のハイプサイクル。トレンドなので、典型的な多数決で決まるものです。
    https://www.gartner.com/smarterwithgartner/5-trends-emerge-in-gartner-hype-cycle-for-emerging-technologies-2018/
    人工知能やブロックチェーンへの期待は既にピークアウトしており、ビッグデータに至っては単語そのものが陳腐化するらしいですよ(苦笑)。Proof of Conceptとかアーリーアダプターの事例が公表されるにつけ、「なんだか結構難しいのね」という慎重な姿勢が目立つようになるんでしょう。昨年(2017年)のハイプサイクルと比べても面白いです。

    TomonaritさんやKanotさんは努力や行動や考えることをヤメない人たちなので、ホンモノの人たちに吸い寄せられ、またホンモノの人たちも近づいてきて、本人を取り巻く環境自体がホンモノになっていくのでしょう。
    そうなると、俗に言う「意識高い系*」な人たち(パチモンな人たち)からは、「なんだかコワイ感じがする」と遠慮されるようになります。でも、そういう意識(だけ)高い人たちが多数派として日経を鵜呑みにして「トレンド」を形成し、そしてそれらを次々と消費していくんでしょうね…。

    * https://ja.wikipedia.org/wiki/意識高い系

    1. Ozakiさん、面白いコメントをありがとうございます。「toCのマーケット」に途上国の人たちが組み込まれること…。確かにそれだけでも今までは大きな違いですね。それで、生活が便利になるなら、良いのかも。『途上国の人々(企業)が自らイノベーションを起こせるようになることを目指すべき』というのは、求めすぎかも。
      でも一方で、それはほおっておいても民間企業がやることなのだから、敢えて援助が後押ししなくても良いんじゃない?と思う訳です。
      ここ最近のODAは、「民間投資の呼び水になる」と言った方向性を示していますが、勝ち馬に乗りたい感も感じます。ほおっておいても気概のある民間企業は、呼び水はなくてもどんどんやっていく訳で(私は友人の鮫島さんがやっているandu ametとか見て、ホントにそう思う)、そういった勝ち馬にODA「も」使ってもらって、ODAの効果をアピールする的な。逆に「呼び水」がないと途上国に出ていけない企業は、そもそも出ていけないし、そういう企業をODAが支援するとは思えない。(海外投融資とか円借款とかデカい案件ではなく、中小企業海外展開支援的な規模感のものを想定しての意見です)
      だったら、今まで通り人材育成とかに特化してリソースつぎ込んだ方が適材適所な気がするのです・・・、と、元のブログに書いたことに戻ってきてしまいましたw

  3. 「10年後のフツー」を今仕掛けるのがイノベーションならば、人間には「自分が何を求めているのかを正確に定義する能力」や「記述通りにプログラムや仕組みを作られても大丈夫な仕様を作成する能力」が求められるようになっていると感じています。
    「IT利活用」を謳うなら、まずは(コンピュータシステムの特性や制約を考慮して解決するために)問題や課題を分解、抽象化するための知識や考え方が必要になるはずです。「コンピューテーショナルシンキング」なんていう名前も付いており、論理思考に属する能力ですね。
    ※ITパスポートとか基本情報技術者の学習過程でも、論理思考や業務仕組みの理解に多くを割いているのが先進的というか、理解されづらいというか。

    興味深いことに「ITで付加価値向上」と宣う人たちほど、こういう前段階の論理思考的な作業をサボりがち。ま、付加価値にされちゃった時点で、IT単品では請求書が書けないわけですが…。
    ——–
    企業の海外進出の理由としてよく挙げられる「人件費の安い海外でコスト減」という図式も最近では盤石ではなくなってきたのかな、と。大量生産の廉価商品を作っている製造業でも、日本国内回帰する動きがポツポツと見えてきて興味深いです。しかも国内回帰しても新たに雇用は産んでない(苦笑)。

    山形カシオが腕時計の自動組立ラインを稼働させたニュース。主に海外向けの製品を日本国内で製造して『生産効率3倍、生産コストは海外並みの2分の1以下』って強烈。なお、今まで組み立てに携わっていた従業員は高価格帯製品の生産に振り向けるとのこと。
    https://www.casio.co.jp/release/2018/0809_standard/

    ソニーのラズパイ自動生産ライン。『エンタープライズレベルの品質・管理を維持しながら中国製並のコストパフォーマンスを実現している』そうで。需要が多い日本向けの製品なので、エンドの流通コストまで考えると日本国内で作った方が楽なんでしょうね。Xperiaの生産ラインを使い回しているそうで。
    https://www.rs-online.com/designspark/sonymanufacturesraspberrypi

    1. Ozakiさん:
      「興味深いことに「ITで付加価値向上」と宣う人たちほど、こういう前段階の論理思考的な作業をサボりがち。」というのは、これまでのICT4D研究でも言われていることですね。同感です。
      また、ちょうど先週のKICの授業で学生さん達から現場の生の声を聴いて、ICT利活用に限らず、開発プロジェクト全般的にも言えるのかもしれないと思い、10月26日の投稿を書いてみました。

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