Design-Reality Gapsは「あるある話」

ども、Tomonaritです。ICT4Dの話ではないですが、自分への戒めも込めて・・・。

今年も神戸情報大学院大学でICT4Dの講義をやらせてもらっています。2013年から続けて早いもので6年目。今年は例年よりも自分の自授を履修している学生さんが少ないので、密なコミュニケーションが出来て楽しいです。

アフリカ、中東、東南アジアからの留学生と話していると、生の声を聞くことが出来るのがとても刺激になります。

毎年、15コマある講義の前半で、「ICT4Dプロジェクトは失敗する可能性あが高い」ということを話しています。そして、その失敗の理由として、Design-Reality Gaps(プロジェクト計画時の想定と現実とのギャップ)があるという話をしています。マンチェスター大学Heeks教授の受け売りですが。要するにプロジェクト計画時の調査が甘いということ。今年もそんな話をしたら、学生さん達から生の声を聞くことが出来ました。

  • 東南アジアから留学生Aさんの話

「私の村に井戸と浄水施設を建設する開発プロジェクトがありました。もともと、私の村の水は塩分濃度が高く飲料水には向かないので、村人は遠隔地まで水くみに行く生活でした。そこで、援助機関が浄水施設を作ってくれ、村の水が飲めるようにはなりました。でも、その施設は水を浄化するためにジェネレータを使うため、その燃料費や故障時の修理費として、一定の使用料を村人は払う必要がありました。しかしながら、その使用料を払う村人はあまりおらず、結局、その施設は使われていません。そこまで高い使用料ではないのですが、水くみに行けば良いのでお金を払ってまで村の水を飲まなくても良い、というのが本音なのだと思います。」

  • アフリカからの留学生Bさんの話

「私の国はアナログ放送からデジタル放送へ移行する段階で、援助機関の支援が入りました。でも、デジタル放送を受信するためにはセットトップボックス(テレビに付ける受信機)が必要で、それがあまり市場に出回っておらず、また、その販売値段も高いのです。なのであまりデジタル化は進んでいません。個人的には、インターネット・テレビの方がこれからは普及するのではないか、という思いもあります。まぁ、それでも、年配者など通常のテレビを見る層が多いのは確かですが。また、あのプロジェクトはどういう評価をされているのだろうか?という点も気になっています。」

  • 中東からの留学生Cさんの話

「難民キャンプに住んだことがある友達は、『援助の物資やお金の多くは、仲介者に抜き取られ、難民本人に届くのはほんの一部に過ぎない』、と良く言っています。援助関係者の給料・待遇の良さに対する不満もね(苦笑)」

ちょうど今週、こんな感じの話を聞くことが出来ました。きっと、途上国の現場にいる留学生にとっては、Design-Reality Gapsは「あるある話」なのだろうと感じました。

そして、15年前にエチオピアの遠隔教育プロジェクトの課題を現場で見て、「どうしてもっと上手く出来ないのか?改善の余地だらけじゃん、もったいない」と思い、国際協力業界&ICT4D分野に進もうと思った頃を思い出しました。運よく講師という立場で留学生と接することが出来るので、「どう改善するのか?」を学術的なセオリーだけでなく、もっと上手に自分の言葉で語れるようになりたいと改めて思いました。

“Design-Reality Gapsは「あるある話」” への1件の返信

  1. 『Design-Reality Gaps』はあるある話ですよね。『プロジェクト計画時の調査が甘い』というよりも、設計時のモデリングの難しさというか、何かをつくり上げるためのモデリングではなく、(所定のあるいは恣意的にうまくまとめるための)評価のためのモデリングが主体になっちまっている、という現実ではないでしょうか。原資が税金ゆえの説明責任に寄りかかりすぎているというか。
    世銀やJICAを含む援助期間を、「プロジェクト実施機関」ではなく「人材や機材を含めた国際協力向け公共調達実施に対して資金も出せる総合援助機関」と割り切れば、納得がいくことが多いです。プロセスに対するマイクロマネジメントに終始してしまう人たちが多いことや、成果に対する貢献をマネジメントする意識の低さ(責任と締め切りをせっつくマネジメントは極めて厳格ですが…)を含めて。

    なお、投稿文中にある『援助の物資やお金の多くは、仲介者に抜き取られ、難民本人に届くのはほんの一部に過ぎない』の「仲介者」は、よく語られる「援助資金を横取り・横流しして私腹を肥す腐敗した政治や既得権益保持者」だけではなく、「各種コンサルタントの人件費や機材調達費用が経費として予算に含まれている」ことを指すと理解することもできますね。とはいえ、そこにあるのは経費であって投資じゃないし、(省庁派遣以外の)専門家やらコンサルやコンサル会社は霞を食って生きてくわけにもいかんですからねぇ。
    そう考えてみると、成果物が目に見え、かつコンサルを含めた関係者が事業を最後まで見届けることができる機会があるインフラや箱モノは強いと感じます。今では中国の得意技になっているかな。
    人材育成のようなソフト系は直接の成果って見えづらい、というか成果を理解するための前提知識条件の壁が高いですしね。

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