イノベーション for Developmentバブルはバブルじゃない?

3. その他

ども、Tomonaritです。先日、イノベーション for Developmentバブルについてという投稿をしましたが、最近公表されたJICAの民間連携事業の公募結果を見て、改めて、この盛り上がを実感しました。

2018年度第二回中小企業・SDGsビジネス支援事業:89件の採択を決定

以下のようなICT4D分野の事業が採択されています(カッコ内は国名、提案企業名です)。

  • 「ブロックチェーン技術とAI診断・モバイル診療サービスを活用したP2Pマイクロ保険事業案件化調査」(ルワンダ、楽天株式会社)

ルワンダ住民に対し、ブロックチェーン技術の活用やAI診断・モバイル診療サービスとの連携等を通じたP2Pマイクロ保険(同じ属性を持つ集団で掛け金を拠出し、医療費等が発生した場合に拠出金から支給)の提供を行い、医療サービスへのアクセス向上を目指すもの。

  • 「オンライン教育を通じたAI人材の育成及びオフショアリングでの活用のための案件化調査」(ルワンダ、フューチャー株式会社)

ルワンダの若者等に対し、AI活用に関する人材育成をオンライン教育システムを通じて行うと共に、育成した人材をアウトソース拠点で雇用等することで、ルワンダでのICT産業活性化に貢献し、さらには日本のICT人材の不足にも対応するもの。

  • IoTによる畜産農家生産性向上のための案件化調査(ブラジル、住友商事株式会社&株式会社ファームノートホールディングス)

畜産農家による、牛群管理ソフトウェア及び発情検知デバイスの利用により生産性の向上を目指すもの。

  • ICTによる効率的な道路維持管理案件化調査(タイ、首都高速道路株式会社&首都高技術株式会社&朝日航洋株式会社)

我が国の首都圏道路管理者等がタイ国高速道路公社及びタマサート大学と共同開発したインフラ維持管理システムの利用により、来るべきインフラ老朽化に備え、ハード・ソフト面からの運用効率化を目指すもの。

  • 社会保障制度運営のためのICTシステム普及・実証・ビジネス化事業(カンボジア、株式会社日立製作所)

ユニバーサルヘルスカバレッジ(UHC)達成に向けて社会保障制度整備を進めるカンボジア国政府に対し、パイロット版ICTシステムの導入及び保守・運用指導を行い、現地政府職員の社会保障制度運営能力の向上及び技術の有用性の理解促進を図るもの。

  • 次世代型モビリティ(ドローン)を活用した高付加価値農作物輸出促進のための普及・実証・ビジネス化事業(ルワンダ、トヨタ自動車株式会社&楽天株式会社)

悪路により農場から幹線道路への物流アクセスが困難な農家に対し、ドローンを活用することでアクセスの改善を行い、さらには地上走行型ドローンで収集したデータをもとに営農・出荷管理を支援することで、輸出市場が求める安定した質と量の供給を行い、高付加価値農作物の輸出促進を目指すもの。

上記は大企業が対象となる枠ものです。一方、下記は中小企業の枠です。

  • IoT双方向通信型プリペイドガスメーター導入基礎調査(インドネシア)(株式会社ヘリオス・ホールディングス)
  • 防災情報提供サービス事業にかかる基礎調査(インドネシア)(アールシーソリューション株式会社)
  • スマートフォンを活用した道路の路面性状(IRI等)の記録技術導入に係る案件化調査(メキシコ)(バンプレコーダー株式会社)
  • ドローンを活用した効率的・低コストな道路点検システム構築のためのソフトウェア導入案件化調査(ガーナ)(株式会社CLUE)
  • 基礎教育における初学者向けプログラミング教育に関する案件化調査(ケニア)(キャスタリア株式会社)
  • eラーニングを活用した子供たちの数学の学力達成度強化のための案件化調査(エジプト)(株式会社すららネット)

以上、こんな感じでした。アフリカ案件という切り口では、Africa Quest.com「農業からテック領域まで!JICA、中小企業・SDGsビジネス支援事業でアフリカ17案件採択!」に詳しく掲載されています。

思えば、2017年6月に、このJICAの民間連携事業で、ICT4D関連案件がいくつあるかを調べてみたことがありました。

JICAの民間連携スキームからICT4Dプロジェクトをピックアップしてみた

これまで、1回の公募でここまでICT4D案件が採択されてはいなかったことからも、やはり最近のSTI(Science, Technology & Innovation)for Developmentの波は大したもんだと感じています。さらに、8月末のTICAD7を見据えてか、「テクノロジー@ルワンダ」という流れも。

前回の投稿で、Frontier Technology LivestreamingというDFIDのプログラムを紹介しましたが、JICAも負けじとぶっこんできたなぁ、と感じます。

そして、これがバブル(一過性のブーム)なのか?という点について、もしかしたらバブルじゃなく、自然な変化かもしれないとも思い始めました。15年位前からICT4D分野をウオッチングして来た自分のようなオッサンからすると、大きな変化だと感じるものの、「昔は、途上国ではICTは使えないと思われてたんだってね・・・。信じらんない、ワロタ」と言うような時代がそう遠くない未来に来るのでは?

一方で、テクノロジーの普及が必ずしも貧困の解決になるとは限らない、という見方もあるので、上記のような事業の成功と、貧困削減的な意味での途上国開発は、必ずしも正の相関関係ではないのかもしれませんが・・・。

それでも、期待せずにはいられない。

コメント

  1. Ozaki Yuji より:

    「IT/ICTの利活用」が見えやすくなりましたね。途上国を含めて低レイヤー(インフラ)周りがよくなってきたので、通信線から引かなくてもできるコトが増えてきたのでしょう。

    民間連携の事業では、企業さんが自社のサービスやソリューション、機材を持ち込むようなやり方なので、事業の中で「機材やサービスの公共調達」やらなくていいですから…仕掛かりも早くなりますね。「事業のその後」についても、近年では「税金投入したんだからそのネタがソノママ事業化しないなんて許さへんで!」なんてビジネス環境無視みたいなことをJICAも強烈に主張しなくなったと聞きますし。

    なお、大きな資金が動く円借款なんかでは、公共調達に関わる作業(責任の帰趨に無茶苦茶敏感な人たちと一緒に国際調達向けの仕様書作成したりする)にリソース投入しますしね。

  2. Toshi より:

    私はやっぱり一種のバブルだと思います。ざっと見て気になるのは規制などのハードルの高さから日本で出来ないような事業のテストフィールドとして利用したいという面がミエミエなところです。
    でもICT4D的には途上国でうまく行っても、先進国でうまくいくかは全く別物というのは常識なわけで、そのあたりの見込みの安直な企業が数年後、大量に撤退するのは今から見えてる気がします。
    事業を独自に継続できるだけの人材育成コンポーネントを含む事業がこのうちどれだけあるのかも甚だ怪しいところですし、やっぱりバブルに終わるのでは?

  3. Ozaki Yuji より:

    『持続可能な開発目標の達成に資する情報通信技術利活用事例に関する情報収集・確認調査業務(平成30年2月)』という報告書では「多死の容認(イノベーションの3%ルール)」という言葉で表現されていましたね。
    上記報告書で書かれているようなプロトタイピングやProof of Conceptの手法は多々あります。
    民間連携などの提案型事業では、既存の機材やソリューション(多くは自社が保有していて限界費用が抑えられるもの)を、解決可能そうな問題に当てはめる形式であるため、ストーリーが作りやすいのかな、と。

    分野で言えば、水資源・防災、資源・エネルギー、都市・地域開発あたりでは、調達可能な機材やソリューションがICTを既にフツーの要素として取り込んでいるため、必然的にICT利活用状態になってそうです。
    一方、教育、保険医療、農業、水産分野あたりでは、調達可能な機材やソリューションが存在しないか、存在してもICTがオプショナル要素に留まっており、ICTに関わる部分が別調達(走り出してから考える)となり、予算と調達時間の制約をモロに受けて展開が難しいんじゃないかなあ、と。

    なお、「バブル」で言えば、e-Japan戦略→九州・沖縄サミット→WSIS→環境問題への流行シフト、という時期にJICAの中の空気を吸っていた立場からすると、今の方が全然健康的だと思います(笑)。
    猫も杓子もIT→今は環境だ!、という流行シフトはすごかったです…予算規模も人の話す言葉も全然変わっちゃいましたからね…。

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