ども、Tomonaritです。先日、日経新聞が主催の「TICAD7プレビュー シンポジウム アフリカビジネスの新戦略」というセミナーを見てきました。といっても、全てのプログラムを見たわけではなく、「スタートアップセッション」だけ拝聴してきました。
自分自身の備忘録として、印象に残ったポイントを以下、記載します(私見の入った解釈です。発言の意図と私の解釈が間違っている可能性もあります)。
まずは、寺久保氏の講演内容から。
アフリカので大きな変化3つ
- 信用経済:これまで信用を示す術のなかった人たちが、モバイルマネーの支払いや送金の記録などで、信用を得られる術を手に入れた。それにより、融資を受けるなどが可能になった。
- 個のエンパワーメント:インターネットで情報を得たり発信したり、個人が出来ることが増えた。例えば、教科書がない学生は、YouTubeで学習用コンテンツを見て、それを教科書代わりに勉強している。
- インフラの代わりとなる分散化:政府が十分な社会インフラを整備出来ない中で、民間企業がインフラとなるサービスを展開し始めている。無電化地域でのオフグリッド電力共有サービス等(M-KOPAやWASSHA等)。例えば、ケニアのMPostは、正確な住所の管理が浸透していないアフリカで、携帯電話を使って、郵便を個人に届けるためのサービスを展開。
→ どれも納得感あるなあ。
次に、ケニアでオフグリッド電力販売を展開するM-KOPAのCEOと、同じくケニアでMPostという郵便が個人にちゃんと届くサービスを展開するTaz TechnologiesのCEOのパネルディスカッションから。
M-KOPAのCEO(カナダ人の方)の発言から:
- 俺はリスクが取れる環境に生まれたのでリスクを取る(←かっこいいなあ)
- アフリカにはローカルVCが必要
- 援助機関にはリスクマネーを期待
Taz TechnologiesのCEOの発言から:
- まだどことは言えないが日本の大手企業ともやっていくことになっている
- 日本はEコマースの物流に最先端の技術を持っているので協業期待
最後に、「日系企業×アフリカスタートアップのオープンイノベーション」というテーマで、ヤマハ発動機、三菱商事、WASSHAの方々のパネルディスカッションから。うまくまとめられないので、もう殴り書きのメモをほぼそのまま乗っけちゃいます。カッコQ:は質問。矢印後は私のコメント。ちなみに「SU」はスタートアップの略です。
ヤマハ発動機の方の発言から:
- 船外機@52カ国。でも新規事業はあまり出来て来てなかった
- この2年でアフリカを新規事業市場と位置付け取組始めた
- 東アフリカを中心に、モビリティを活用した事業をベンチャーとも連携しつつやってる。来月にはカンパラでサービスを開始予定。物流、宅配など。ウガンダからはじめてケニア、タンザニア、エチオピアなどへ展開したい
- 西アフリカでは、日本企業からすると東よりも難しい。市場の発展はスピード感ある。東はハンズオン。西はベンチャーに出資して協業可能性を探っていく。
(Q:なぜアフリカでサービスを始めるのか?)
- 世の中の流れとしてメーカーでも、サービスに取り組む必要がある
- モノを作るにも部品が届かないとできない。物流の重要性は良く理解している
- SUを活用する理由は、「人材が社内にいないから」(← いないもんなのかな?人事が気づいてないだけなのかな?)
- 現地には優秀な人材がたくさんいる。課題を解決したがっている
- 各国の事業を見ていると、きちんと現地化出来ている事業は上手くいっている
- なので、現地の人たちとやっていくことが重要(← 賛成)
(Q:他社(SU)と自社の役割の線引きはいかに?)
- きちっと決めてスタートしているわけではない。まだまだパイロットの段階
- ある程度仮説は持ちつつも、やりながら自社の役割を考えて行く。どうすれば現地SUと自社とWin-Winになるのかを模索
(Q:パートナー選びのコツは?)
- ビジョンの共有が重要。何のためにやっているのか?が同じでないと
- あとは勿論、経営者の能力
(Q:現地SUと連携して感じている手ごたえは?)
- スピード感が早い。毎年5倍スケールするのを見て、自社の遅さに気づく。自社の見る目も変わる
(Q:他社と組むことのデメリットは?)
- マネジメント層とのやり取りでは文化的な違いはあまり感じないが、従業員がすぐ辞めちゃう等、ギャップはある。
(Q:社内的な巻き込みは?)
- 興味を持たない人は変わらない。なのでほっておいて、勝手にやっていく(← 好感が持てるなぁ)
(Q:最後に一言)
- 「こんなことをヤマハが?」という領域をやっていきたい。ヘルスケア、農業、など。
- それがゆくゆくは自社にとっての新しい事業になっていくと考える
- 自分自身でやっていく感がないと、現地SUとは一緒にやっていけない
三菱商事の方の発言から:
- 日本企業だけでアフリカを攻めるのは難しいので、ドバイ、トルコ、フランス、シンガポールのオラム社など第三国企業と連携して攻めている
- NEoT Offgrid Africa社に出資
- 政府だけでインフラ整備が出来ない地域で、民間企業が代替となるサービスを展開している
- 既存ODAやPPPのようなスキームと、SUの新ビジネスのバランスが必要(SUだけでも無理)(← 今のSUブームに対してとても冷静なコメントですね)
(Q: SUと連携をはじめたきっかけは?)
- アフリカ23か国に契約農家を持つシンガポールのオラム社との出会いがきっかけ。アフリカにも商品経済というマーケットがあることがオラムとの出会いでわかった。
- 何年か前にインドネシアで起きていた変化(マスの市場の誕生)が、今、アフリカでも起きている
- インフラがない地域で、インフラを提供するSUが出てきた
- SU選びは自社とケミストリーが合うかどうか
(Q:現地SUと連携して感じている手ごたえ)
- 我々だけでは見えてなかったことが見えてきた
- アフリカ複数国で展開することが短期間で出来る
- アフリカで起こっていることはインドなど他国でも起きている
- 社会的ニーズを埋めるための事業をやっているSUの事業は他地域でもニーズある
(Q:他社(SU)と組むことのデメリットは?)
- 途上国ビジネスでは税金の問題が多い
- 税金をしっかりとれる企業が少ないだけに、外資からはしっかり取ろうとしてくる
- SUブームがどうなっていくのか?電気がない人に電気を届けることが出来るようなったらどうなる?アフリカでは製品を製造する第二次産業が発展しておらず、すべて輸入。食料も輸入。このため、このSUブームが進んでも、東南アジアのようには発展しないだろう(← なるほど)
(Q:社内的な巻き込みは?)
- 世界的にビジネスは東から西へ。今は東南アジアからインド位まで。
- アフリカに足を踏み入れる人間を意図的に増やそうとやってきた
- TICAD7のモメンタムを活かしながら社内へのアピールをやっていきたい
(Q:最後に一言)
- アフリカにはまだまだ日本企業が足りないと思う
- 社会課題が多いだけあって、ビジネスチャンスも多い
WASSHA CEOの秋田氏の発言から:
- 2013年創業の東大発ベンチャー
- 15時間だけつかえるLEDランタン。お金があるときだけ電気を使える。
- アフリカは過去5年間、電化が殆ど進んでいない。広すぎる。人が散らばりすぎている
- タンザニアからウガンダへ展開予定
- これから店舗を活用したEコマース事業にも発展させたい
(Q:日本企業から出資を受けたりしているが、日本企業とアフリカで連携するメリットは?)
- 丸紅と連携しているメリットは、現地拠点を沢山もっており、現地情報、人脈を持っている
- 日本人11名、タンザニア人120名という会社で他国展開をしていくにはリソースが必要。丸紅はリソースを持っている
- 点での活動を面にしていくことが、丸紅との連携によって、スピーディに出来ている
(Q:現地企業との連携のメリットは?)
- 現地のことを良く理解している。外国人という色眼鏡で見られるので、現地企業のプレゼンスは重要
- インド企業とも連携しているが、優秀な人材が多い、意思決定早い。自分たちも学べる
- ケニアのSUとアプリ開発をやっているが、「重いと誰もダウンロードしないので、5MB以下で作らないとダメ」みたいな、現地ならではのノウハウをもっている(← こういうの大事だよなぁ)
(Q:他国展開のハードルは?)
- 規制。丸紅は規制関係の情報をすでに持っている
(他社(日系大企業)と組むことのメリット・デメリットは?)
- 計画数値の正確さや計画の精緻さが違う
- 目的があっての連携。連携はあくまで手段。合わない相手とは組まない(←納 得)
(Q:日本側の巻き込みをどうやっている?)
- アフリカに関心を持っている層は徐々に増えている
- 関心のない人に関心をもってもらう活動をするよりは、関心を持っている人と組んでいく(← これまた納得)
- とはいえ、今後はもっとアピールしていくこともやっていこうと思う(← 上記を和らげる大人なコメント)
(Q:最後に一言)
- 日本企業は失敗しないようにする傾向が強いが、小さい失敗を早くする姿勢が必要。もっと軽い気持ちで。
以上、こんな感じのイベントでした。
流行りの「オープンイノベーション」というキーワードだけど、よくよく聞いてみると根本的なところは、「馬の合う者同士が組んでいる」ということなのかな。
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