FACTFULNESSとD4D(Data for Development)

アカデミック

どもTomonaritです。最近、面白い本を読んだので紹介です。その本は、

FACTFULNESS ー10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣ー」。

この本の著者ハンス・ロスリング氏については、自分もあまり知らなかったのですが、この方が生み出した、Gapmaiderというツール(以下の丸が動くグラフ)は見たことがありました。

この本は、「みんな世の中のことをわかってないよ~」というメッセージを発しています。特に、いわゆる先進国の人たちの持つ、途上国のイメージは結構間違っている!ということを、データに基づいてとくとくと説いています。端的には、以下のようなクイズに対し、あてずっぽの確立(=3択なので約33%)よりも低い正解率しか出せない人々が大半というのです(以下の質問の通し番号が飛んでいるのは、私が面白いと思うクイズだけ抜粋しているから)。

  • 質問1: 現在、低所得国に暮らす女子の何割が、初等教育を修了するでしょう?

A:20% B:40% C:60%

  • 質問3: 世界の人口のうち、極度の貧困にある人の割合は、過去20年でどう変わったでしょう?

A:約2倍になった B: かわらない C: 半分になった

  • 質問4: 世界の平均寿命は現在およそ何歳でしょう?

A:50歳 B: 60歳 C:70歳

  • 質問6: 国連の予測によると、2100年にはいまより人口が40億人増えるとされています。人口が増える最も大きな理由は何でしょう?

A:子供(15歳未満)が増えるから
B:大人(15歳以上74歳未満)が増えるから
C:後期高齢者(75歳以上)が増えるから

  • 質問7: 自然災害で毎年亡くなる人の数は、過去100年でどう変化したでしょう?

A:約2倍になった B:かわらない C:半分以下になった

  • 質問9: 世界中の1歳児の中で、なんらかの病気に対して予防接種を受けている子供はどのくらいいるでしょう?

A:20% B: 50% C: 80%

  • 質問10: 世界中の30歳男性は、平均10年間の学校教育を受けています。同じ年の女性は何年間学校教育を受けているでしょう?

A:9年 B:6年 C:3年

  • 質問12: いくらかでも電気が使える人は、世界にどのくらいいるでしょう?

A:20% B: 50% C: 80%

例えば、質問4の世界の寿命について言えば、なんとなく自分も「アフリカの貧しい人たちは、30代で亡くなっている人も結構いる」的なイメージがありました。実際、青年海外協力隊でエチオピアに住んでいた頃、近所の若い友人がちょっと下痢とか風邪みたいな感じで体調を崩したら、そのまま亡くなってしまったのを目の当たりにしたことも印象に残ってます。でも、隊員だったのはもう15年前の話ですが。でも、実際は、上記のグラフで見ると2018年のエチオピアの平均寿命は、66.4歳でした。自分も知っているようで知らぬ間に、「エチオピアは貧しい、寿命も短い」と勝手なイメージを抱いていたのだと痛感しました。

ここまで読んでくれた方々、上記のクイズの全ての答えが知りたくなりますよね?

そんな方は、こちらのサイト「ファクトフルネス」チンパンジークイズ」でトライしてみて下さい(誰が作ったか知らないけど、良くできる!)。

また、この本では、「途上国・先進国」とか「アフリカ」とか、かなり大雑把なくくりで議論をすることが間違っている点も強調されています。途上国という代わりに、1日2ドル以下の生活、8ドル以下の生活、32ドル以下の生活、32ドル以上の生活、というように、4つの生活レベルに分けて議論するべき、と主張しています。なるほど。自分もかねてから「途上国」とか「アフリカ」って大雑把すぎると思いつつも、つい自然に使っちゃってましたが、改めたいと思いました。

最後に、ICT4D的な観点からも。

データそのものは色んな形で公開されているものの、こいうデータに基づく分析を行って、示唆に富んだメッセージを出せるというのは、本当にすごいと思います。これって、データがあれば誰もが自然に出来ることではなく、データをどう活用するか?というスキルですね。

ちょい前からD4D(Data for Development)という用語も使われるようになってますが、高いレベルでそれを実現するには、それ相応のスキルが必要。

同様にICTも、ICTそのものは誰でも活用できる環境が整ってきつつあっても、それを有効活用出来るか否かは、また別のスキルを必要とするのだろうと思います。それは、プログラミング教育なのか、リベラル・アーツなのか、はたまたやる気と根性なのか?

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アカデミックブックレビュー

コメント

  1. ひらみ より:

    私はハンス・ロスリング教授のことをTEDトークで知って、大好きなんです~!このgapminderツールもよく登場してました。
    私たちは先入観や思い込みで考えてしまうというのは、トークの中でもよく出てきており、それが書かれてる本なんだろうなぁと思って、話題書だけど、通り過ぎてました・・・
    公衆衛生分野において世界中に貢献され、素晴らしい研究者のひとりだと思います☺昨年(かな?)亡くなったのが本当に惜しいです。

    • tomonarit より:

      ひらみさん:
      コメントをうっかり見逃しており、スゴイ遅いレスですいません・・・!
      ハンス・ロスリン教授のTEDトークもとても良いですよね。この本もおススメです!
      この投稿を改めて読んでみて、こういう示唆に富んだことを発信できるように、自分も勉強しよう!と思いました。

  2. […] FACTFULNESSとD4D(Data for Development)どもTomonaritです。最近、面白い本を読んだので紹介です。その本は、「FACTFULNESS ー10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣ー」。 […]

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