警察は銃、民衆はスマホという武器で戦う

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2020年5月、アメリカのミネアポリスで、黒人であるGeorge Floyd氏が、白人警察に押さえつけられた上で首元を膝で9分にわたり圧迫され死亡する、という痛ましい事件が起きました。Floyd氏の現場で撮影された映像も見ましたが、私でもかなりの怒りを覚えるひどさでした。

その事件に関する暴動が全米各地で起きています。その生中継をCNNで見ていて、ふと違和感を持ったので、そのことについて書いてみようと思います。キーワードは武器としての「スマホ」です。

まず、この写真をご覧ください。これはCNN本社前で群集と警察が睨み合っている写真です。

CNN本社前(引用:CNN)

そして次の写真は群集側をアップにした写真です。

CNN本社前(引用:CNN)

群集の中には、罵声を浴びせる人たち、物を投げる人たちがいました。そして、私が感じた違和感は、もう一つのグループ、スマホを持った人たちでした。彼らはこんな緊迫感の中、携帯を掲げて写真・動画を撮影しています。

ずいぶん撮影してる人多いなぁと最初は思って見ていたのですが、だんだん気がついてきました。彼らはスマホを持って戦っているんだと。

もちろんスマホに武器機能はありません。しかし、彼らはただ写真を撮っているのではなく、警察が不当な動きをする証拠を残そうと、スマホという武器を構えて警察を牽制しているんだと感じました。

今回のFloyd氏の事件にせよ、その前に起きたジョギング中の黒人男性が射殺された件にせよ、容疑者の逮捕につながったのは、警察の捜査力でもなければ自首でもなく、スマホでの証拠撮影でした。動かぬ証拠があれば、揉み消すことが難しいためです。

警察も下手にデモ隊を攻撃をすると、「武器を持たない市民に対して攻撃を加えた」と動画が拡散されてしまい、かつ個人が特定されてしまうため、乱暴な動きが取りにくくなっています。まさにスマホという武器を手に権力と戦うという形になっています。

思い返すと、「アラブの春」もスマホ動画がきっかけでした。20代の人はあまり記憶にないかもしれませんが、アラブの春とは、2011年頃に中東・北アフリカ地域(つまりアラブ)で、独裁政権が民衆によってバタバタと倒された事件のことです。

この事件のきっかけになったのは、政府の圧政に反抗して焼身自殺をした若者の動画でした。この動画がFacebookでアラブ中に広まったことで、民衆の怒りが爆発し、国を超えた反政府運動に発展しました。独裁国家のうちいくつかはインターネット規制等で対抗したものの、最終的にはエジプト、チュニジア、リビア、イエメンなどで政権が変わることになりました。

スマホという武器の力、つまり動画が持つ力と、インターネットという拡散力、これらが権力を越えた力を持ち始めているんだなと改めて感じた今回の事件でした。

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