コロナ禍のモバイルデータからの行動分析@コンゴ

アフリカ
要約

1984年以来国勢調査がなされていないコンゴ民主共和国で、携帯電話の利用データ等を活用してCOVID-19に伴う人口移動分析を行った。官民連携してモバイルデータ活用を五段階に分けて検討をし、人口移動のダッシュボードを作成することでCOVID-19対策に貢献した。

こんにちは、Kanot(狩野)です。今回は、携帯電話のデータが、COVID-19の人口移動予測などに活用されているというコンゴ民主共和国(以下コンゴ民)の事例を紹介したいと思います。(元記事はGSMAの記事「Using mobile big data to help inform the fight against COVID-19 in the Democratic Republic of Congo」です。画像も当サイトから引用しています。)

コンゴ民では、1984年以来国際調査がなされていないそうで、政府のデータなども信頼できるものがなく、COVID対策を練る際などにも手を焼いていたそうです。そこで、携帯電話会社やローカルIT企業などと欧米ドナー(米、EU、スウェーデン)などが組んで、携帯電話のデータを活用した、COVID関連の人口移動分析を行ったそうです。

具体的には、以下の図のように、5つのフェーズに分けて、携帯電話データの活用を検討していったようです。

  • Phase 0:既存のデータと携帯電話の登録データから人工マッピング
  • Phase 1:携帯電話の利用データから人の移動を分析
  • Phase 2:さらに公衆衛生データを足すことで、疫学的モデリング
  • Phase 3:さらにインフラデータを足すことで、物流やインフラ情報も含めたモデリング
  • Phase 4:さらにモバイル送金やパケット利用データを足すことで、経済活動状況を含めたモデリング

なるほど、携帯電話データの活用と一口にいっても、ただの登録情報のマッピングから、ユーザの利用動向まで含めた経済モデルまで、利用できるデータに合わせて幅広く活用可能なんですね

そして、これらのデータを集結して作ったダッシュボードが下図のような、人の移動のモデルだそうで、COVID対策として活用されたとのこと。(補足:このダッシュボード、記事によるとこちらのサイトにあるそうなのですが、どうしても見つからず・・。誰か見つけたら教えてください。)

先日の人工衛星を活用した貧困地域推定モデルの例(リンクは後述)でもそうですが、このように人工衛星や携帯電話の利用データなど、一見関係なさそうなデータから人の移動や感染状況を推定するなどの動きは非常に興味深いですね

そして、さらに人的に興味深いのが、この辺りの発想が、誰(国?援助業界?民間企業?NPO?)の発案で、どのように具体化され、採用されていったのかというプロセスです。従来の国際協力のモデルと比べると関係者もテクノロジーも複雑なので、これすべての絵を描ける人はいないはずで、こういったプロセスの成り立ちを分析をすることも、今後の国際協力を考える上で大事なことなんじゃないかなと思います。

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