ども、Tomonaritです。下記の投稿でRichard Heeks教授が2018年に書いたICT4Dの教科書「Information Communication Technology for Development」を日本語翻訳してみたいという野望から1年以上が経過し、「やるやる詐欺」的なICT4D翻訳プロジェクトですが、とうとう本格始動しました〜!イェーイ、パチパチパチ!!
ICT4D Labの強力なメンバーと共に「どうせやるなら、出版を目指してガチな翻訳をしよう!」という目標を掲げて始動しはじめました。折角なのでPeachTech部を見習って、進捗やぶつかる困難をブログにも記録しておこうと思います。
まず手始めに「始動した」ってどういうことか?を書いてみます。メンバーの中で「やろう!」という運気が高まったものの「翻訳しても、このクオリティじゃ出版出来ないとか、そもそも版権を持っている英国の出版社がOKするのか?」とか「クオリティチェックをするにも日本語が分からないHeeks教授はチェックしようがないよねぇ・・・」とか、「英国出版社やHeeks教授は、プロの翻訳家を絡めないとダメって言うんじゃない?」と言った不安要素や疑問が結構出てきました。
そこで、英国出版社へ支払うロイヤルティの話なども含めてHeeks教授にメールで相談してみました。すると、「翻訳費用はどうするのか?」との質問が。どうやら我々が訳者になるのではなく、我々が訳者を雇って翻訳すると思われた様子。そこで、「ICT4D分野に詳しくないプロの翻訳者よりも、我々の方が適任だと考えている」、「マンチェスター大学ICT4D卒業生などが中心になってICT4D Labメンバーで翻訳する」と言う旨を伝えました。ここで「素人じゃダメ」って言われたらどうしよう・・・と言う不安と共に。
「素人じゃダメ」と言う回答がくるのではないかとハラハラしていたのですが、Heeks教授からの返事には「英国出版社とやりとりして前向きな回答を得ました。まずは本のフライヤー、目次、第1章を翻訳して、日本の出版社にアプローチしてみて、出版してくれるところを見つけたら、英国出版社と打ち合わせする」と書かれており、英国出版社とのやりとりも共有してくれました。そして、英国出版社も日本の出版社を少しなら紹介可能と言うポジティブな反応!
懸念だった「プロの翻訳者ではない我々が翻訳しても問題ないか?」と言う点については、Heeks教授から英国出版社へのメールに「彼らはこの分野について、とても知見を有している(very knowledgeable)」と書かれており、かなり嬉しかったです。
と言うことで、現在、第1章を鋭意翻訳中。折角なので本の「はじめに」からちょっと良い話的な部分を以下抜粋します。
「なぜ、ICT4D?」と問う必要がある。途上国の貧困層へのICT利活用を優先すべき理由は何か?については、道徳的な議論がある。多くの情報科学の専門家は、世界の裕福な企業や個人のニーズに応えるために人生を費やしている。銀行強盗のウィリー・サットンの言葉を借りれば、「お金はそこにあるから」だ。しかし、すでに生産性を上げている企業から、さらに生産性の微々たる向上を絞り出したり、忙しい都会暮らしの人々のために、わずか数分の時間短縮を目指すようなことは、地球上の巨大な問題解決のために新たなテクノロジーを活用することに比べると倫理的な重要性は見劣りする。
(Heeks.R., 2008. ICT4D2.0:the next phase of applying ICT for international development, IEEE Computer, 41(6),26-33)
(中略)
また、シンプルにどちらがワクワクするか考えてみよう。アフリカやアジアのコミュニティのためにシステムを設計することと、先進国のグローバル企業のために同じことをすることを比較してみれば、前者の方が単純に興味深く、より豊かで満足度が高くカラフルな体験であるはずだ。
しかしながら、いざやってみると細かいところで疑問が多発しています。「です・ます」調にするのか「だ・である」調にするのか?、Global NorthとGlobal Southってどう訳すか?、developmentの訳は国際開発、社会経済開発、発展、開発、どれ〜・・・?みたいな。
とは言え、Heeks教授や英国出版社も巻き込み始めたので、前に進むしかないと言う思いで進めていきます。最近流行りの猪突猛進〜!(すでに古いか・・・)。今後は翻訳プロジェクトメンバーによる投稿(苦労話?)も載せていきます。乞うご期待!
コメント
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[…] 以前、「ICT4D教科書翻訳プロジェクト【001】」に書いたように著者のHeeks教授からは了解を得ており、Heeks教授から紹介してもらった英国の版権会社からも了解を得ています。日本で版権 […]
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