あけましておめでとうございます。2025年初記事です。今年はもう少しブログの更新頻度を上げたいです。皆さんに役に立つ情報を届けたいという点に加えて、やはり記事化することで自分の頭の整理になるので、自分のためにもぜひ続けたいと思います。
さて、2024年9月に以下のような自作の自動化ツール「Google Scholarで最新論文を検索し、Chat GPTで要約し、毎日メールで通知する」の記事を書きました。反響もあり、実際に作ってみたという人も複数いらっしゃいました。ありがとうございます!
このツールを公開してから100日経ったのですが、私は今も使っており、毎日メールを受信しています。一方、使ってみて感じる課題もあり、振り返りも兼ねてシェアしたいと思います。
どんなメールが送られてくるの?
一例として、記事執筆をしている2025年1月2日に届いたメールを以下に貼り付けます。キーワードでヒットした論文3件に関する著者等の情報、リンク、要約(ChatGPTで生成)が送られてきます。
以下は指定したキーワード(ict development OR digital development OR ICT4D)に関する最新の論文の要約です:
タイトル: South African Foresight for STI (SAForSTI): Background, Rationales
著者・雑誌: M Cele, O Saritas, A Sokolov - … Development in South Africa - books.google.com
リンク: https://books.google.com/books?hl=en&lr=&id=KDY7EQAAQBAJ&oi=fnd&pg=PA57&dq=ict+development+OR+digital+development+OR+ICT4D&ots=wDud490Sem&sig=R9OK0tWLNR4X9IcBWj4wbg9ALLM
要約: - 南アフリカの科学技術イノベーション(STI)に関するSAForSTI(South African Foresight for STI)プロジェクトの背景と目的に焦点を当てた研究が行われている。
- SAForSTIは南アフリカの科学技術とイノベーションの未来を考えるための枠組みとして設計されており、情報通信技術の開発やデジタル開発、ICT4Dに関する視点も含まれている。
- 研究では、南アフリカの社会経済的状況や地政学的要因などを考慮し、STIポリシーの方向性や重要性について論じられている。
タイトル: BUSINESS LEADERSHIP OF IT COMPANIES: IMPACT ON EMPLOYMENT AND SOCIO-ECONOMIC DEVELOPMENT OF THE COUNTRY
著者・雑誌: D Poroshyn, A Koy, B Khan, O Pakhnenko - … relations in the digital …, 2024 - ser.net.ua
リンク: https://ser.net.ua/index.php/SER/article/view/581
要約: - タイトル:IT企業のビジネスリーダーシップ:雇用と国の社会経済発展への影響
- IT企業のビジネスリーダーシップの重要性が強調される。
- ビジネスリーダーシップが雇用の創出に及ぼす影響が探究された。
- IT企業のリーダーシップが国の社会経済的発展に与える影響に焦点が当てられた。
- 研究は、IT企業のビジネスリーダーシップが雇用機会を増やし、国の経済を発展させる重要な役割を果たす可能性があることを示唆している。
- IT企業のリーダーシップによる影響は、単なる雇用の創出に留まらず、国の社会的側面にも影響を及ぼすことが示唆されている。
タイトル: Can ICT investment promote green development? new insights from highly polluting listed enterprises in China
著者・雑誌: Y Wang, Q Li - PLOS ONE, 2024 - journals.plos.org
リンク: https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0316337
要約: - この研究は、中国の高汚染企業におけるICT(情報通信技術)投資が緑の発展を促進するかどうかを探るものである。
- 欠落していたICTと緑の発展の関連性を補完する目的で行われた分析により、ICTが緑の発展にポジティブな影響を与える可能性が示唆された。
- 研究は、ICT投資が企業の環境管理性能を向上させ、排出物の削減効果をもたらすことが示された。
- 特に、ICT投資が企業の環境コストおよび汚染物排出量を削減する効果が見られた。
- これらの結果は、ICT投資が緑の発展や持続可能な発展に向けた努力をサポートする可能性があることを示唆している。
受け取ってみての使い勝手としては、メール本文だけで概要は見れますし、リンククリックすると論文にも飛べるので、非常に便利だなと感じてます。
コスト(維持費)はどのくらいかかっているのか?
前記事で詳しくは書いていますが、Chat GPTをコード内で利用するためにはAPI Keyというものを取得する必要があります。これが有料で、チャージした金額に対する従量課金制となっています。ここにどのくらいかかるのかが正直読めなくて、ややヒヤヒヤしながら運用を開始したのを覚えています。
結果、100日使ってみて、かかったコストはわすか22セントでした。念のためと思って構築時に$20入れたのですが、$19.78残っています。この記事を見た後にこの仕組みを入れるという方、チャージするべき金額は数ドルあれば十分一年くらいは持ちそうです。
他にコストは一切かからないので、非常に格安ですね。
送られてくる論文の精度は?
毎日3件の最新論文が送られてくるのですが、この精度はキーワード次第(前記事で紹介したコードの6行目)で、かなり試行錯誤しました。キーワードが広すぎると(例:Development)、自分の興味と関係ないものまで引っ掛かり、絞りすぎると(例:ICT4D)毎日同じ論文が送られてきます。色々と試した結果、今は「ict development OR digital development OR ICT4D」というキーワードで3つを繋げることでいい具合に新しい論文が届くようになっています。
送られてくる論文の品質は?
読む価値の高い良質な論文が送られてくるか、という点については、ここに一番の課題を感じています。というのも、ここはGoogle Scholarの良いところでもあるのですが、非常に広い範囲の論文が検索でヒットします。これにより、以下のメリット・デメリットがあります。
メリット
- 普段自力では見つけられないようなジャーナルやプレプリントなどがヒットするため、意外な論文と出会える
- 検索範囲が広いので、毎日のように新しい論文を見つけてくれる
デメリット
- きちんと査読を経ているのかよくわからないジャーナルも多い(おそらくハゲタカ系もヒットしてしまう)
- 学位論文なども多い
このように、ヒットするものは多く、毎日のように違う論文が送られてくるのは面白いのですが、品質に関しては毎回気にしながら確認する必要があります。
そのため、学際的な研究をしていて、フォローすべきジャーナルが把握しきれないような人にはとてもいいシステムと思います。一方、特定学術分野の研究をしていてトップジャーナルなどが明確になっている場合は、そのジャーナルのAlertシステムなどを使って最新論文を得る方がよいのかもしれません。
ちなみに私は併用していて、フォローしたいジャーナル数本のAlertに加えて、このシステムを使ったメール受信で情報を得るようにしています。
もしどなたか、Google Scholarでヒットする論文を絞るような方法(例:Imapct Factorの下限を設定するなど)をご存知の方いらっしゃいましたら、教えてください。
まとめ
構築から100日使ってみての感想としては、論文の品質が気になるという点を除いては、非常に満足をしています。これからも微調整はしつつ、メール受信を続けてようと思っています。情報過多の時代ですので、この記事が皆さんの情報収集の効率化に役に立つことを願っております。
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