AIによるスライド作成が普及して以来、はじめて国際学会@ネパールに参加しました。2026年5月の話です。(余談ですが、会場で会った韓国人研究者、なんと当ブログを翻訳して読んでくれていたとのこと。嬉しいですね!)
この学会では、とても多くの人がAIを使ってスライドを作っていたと感じましたし、私もClaudeにドラフトしてもらいました。そして、それらのAIスライドに共通して思ったことがあります。

みんな字が小さすぎるー。視力検査かよー。
改めて、スライド作成の基本に立ち戻るべきと感じました。例えば、昔から言われている以下のようなポイントです。
- 本文の文字はフォント24以上
- 情報を詰め込みすぎず、口頭で補完する
しかし、実際に生成してもらったスライド本文のフォントサイズは17-18でした。なぜ賢いはずのAIが、このような基本を守れないのでしょうか?その理由と対策を考えてみました。
時間がない人向けに、先に私の結論を言うと「AIはあなたのプレゼン力量がわからないので、どこまで情報を削っていいのかわからない。なので、良かれと思って情報多めにドラフトしがちで文字が小さくなる。ちゃんとプロンプトで指示を出そう。」です。
スライドデザインのBefore & After
まず、イメージを持ちやすくするために、生成AIによるドラフトと実際に私が使ったバージョンを載せておきます。プロンプトは「添付の論文を20分でプレゼンするスライドを作って」です。上がAIドラフトで下が本番スライドです。これは主にフォントサイズだけ修正した例です。デザインは十分かっこいいですが、上だと参加者は読めないと思います。


AIと論文の相性の良さ
まず、私がスライドを作ったときに感じたことは、非常にシンプルなプロンプトで生成されたスライドにもかかわらず、初見の完成度は非常に高かったということです。「もう本番これでいいじゃん」と思ったほどです。
まずこの理由として、AIと論文の相性の良さがあると感じました。論文というのは一般的に、Introdiction → Literature Review → Research Question → Methodology → Result → Discussion → Conclusion といったロジカルな構成で書かれていることが多く、AIも理解・構成しやすいのだと思います。
そのため、ざっくりしたプロンプトでも、かなりの精度のドラフトが出きてます。しかし、そのドラフトには問題が複数あることを、他の人のプレゼンを見ながら感じました。
AIはどのようなスライドを作るのか?
皆さんにとって良いプレゼンスライドとはどんなスライドでしょうか?ジョブズほどではないにせよ、スライドには少な目の情報で、口頭で詳細を語るのは良いプレゼン。スライドの文章をただ読むだけのプレゼンは悪いプレゼン、ではないでしょうか。
実際に「どのようなフォントサイズでスライドを作りますか?」と生成AIであるClaudeに聞いてみたところ、興味深い回答が得られました。
- 本文フォントは24pt以上がよいと考えている
- しかし、論文など情報が多いものを入力として作ると、なるべく多くの情報をスライドに載せようとする
- その結果、本文フォントは18ptくらいになることも多い
こうして作られたドラフトから「どこまで情報を削れるか」はプレゼンターの力量次第なのですが、そこをAIが把握・判断するのは難しいため、まずは情報を網羅したスライドを作るのだろうと推測されます。
このアプローチ自体は正しいものだと感じます。というのも、AIはプレゼンターのプレゼン能力を知りません。どのくらい情報を削って語れるかということも知りません。そうすると、このようにやや情報多めのスライドを作る方が親切なのだろうと判断することは合理的です。
そして罠の一つは、デザインのレベルが高いかつ、余白などはしっかり作られているため、一見問題があるように見えにくいことです。
そしてもう一つの罠は、パソコンで見ると、非常に見やすいスライドに見えてしまうということです。(Zoomプレゼンとかならこの資料でもよいのかもしれません。)
本来は、これをもとに、自分の論文理解度やプレゼン力量に合わせて調整していく必要がありますが、多くのプレゼンターはここで満足し、読みずらいスライドを本番で使ってしまっていると感じました。
AIが優秀がゆえの思考停止
優秀なはずの研究者たちが、見づらいスライドを本番で使ってしまうのはなぜなのでしょう?これは私がスライドを作ってもらった時に感じたのですが、
- ドラフトのレベルが非常に高い
- 情報がうまく網羅されている
- パソコンで見るときれいにデザインされているように見える
- あまり準備の時間がない
これらの状況から、多くの人はここで思考停止して採用、となってしまうのかなと思いました。相手が優秀が故の思考停止、まさにAIあるあるな事例ですね。おそらくこういうスライドを学生が持ってきたら、彼らはきっとダメ出しするのでしょう。
会場におけるIT環境の問題
これはいわずもがなですね。すべての会場で大スクリーンが用意されているとは限りません。小さめのスクリーンという想定で準備をしておく方が無難です。
今回の会場がネパールの大学で大画面の教室が多くなかったこともあり、視力検査かと思うような発表が複数ありました。
会場のインフラが悪いと言ってしまえばそれまでですが、基本的にはどんな会場でも対応できるようなスライドを作っておくのがプレゼンター側の責任だと思っています。
じゃあどうするべきなのか?
これはもう明快で、以下の3点です。
- プロンプトに最低の文字の大きさを指定する
- パソコン画面での見やすさと、スクリーンでの見やすさは違うことを忘れない
- AIはあなたのプレゼン力量はわからないので、力量に合わせて情報を削る手間を怠らない
基本的にはこれだけで多くの問題は解決するのではと思います。さらにできるなら、「自分の力量」をプロンプトに入れることでしょうか。例えば最低でも以下のように少し具体的な情報を与えたプロンプトを利用することです。
添付の論文をもとに20分間のプレゼンをするので、スライドをドラフトしてください。
・形式はPPTxで出力
・本文のフォントサイズは24以上
・口頭で補足するので、極力文章は避け、短い文章や単語による箇条書き中心に作成する
もしくは、自分が過去に使った自信あるスライドを入力の一つとして入れて、「スライドのデザイン、フォントサイズ、情報量は添付のスライドに合わせてください」と指示すれば、その情報量(つまりあなたのプレゼン力量)に合わせたスライドを作成してくれると思います
まとめ
偉そうに色々書きましたが、私も初見では気付かなかったことが多く、発表が2日目であったために、他のプレゼンターのスライドを見ながら修正を入れることができました。
いやぁ、AIに過信してはだめだが陥りやすい罠だなと思いました。
皆さんのスライド作成のご参考になればと思います。



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