Frontline SMS

「国際開発ジャーナル」という雑誌に“人がつなぐBOPビジネス”という連載があり、日本総研の槌谷詩野氏が毎回BOPビジネスについての記事を寄せている。2011年1月号の同連載では、ICTとBOPビジネスが取り上げられていた。そのなかで、事例としてFrontline SMSを開発したケン・バンクス氏の話があげられていたので紹介したい。

Frontline SMSとは、携帯メッセージのSMSを利用したグループ管理のシステムである。SMSは携帯なので、インターネットが普及していないような地域でも利用出来るため、NGO等が利用している。また、このFrontline SMSは、オープンソースソフトウェアとして公開されており、以下のような色々な分野でカスタマイズして活用されている。

  • Frontline SMS:Credit モバイルバンキングとの連携でBOP層からの支払いを容易に実現するためのマイクロファイナンス機関や企業向けのシステム
  • Frontline SMS:Legal 人権や法律関連の情報提供を行うためのシステム
  • Frontline SMS:Medic 医療サービスを提供するためのシステム(Mobile Medicと改名されてる)
  • Frontline SMS:Learn 携帯メッセージ(SMS)を利用した教育機会提供のためのシステム

もともとFrontline SMSの開発者がスピンアウトして、上記のような色々なシステムを開発している経緯があり、システム開発はアメリカ出身メンバー中心に行われている。しかしながら、今後は、アフリカのIT技術者達が独自に開発を行っていけるような取り組みを目指しているという。こういった点は、正にオープンソースのメリットと言える。

一方、オープンソースプロジェクトでは気になるのは資金面であるが、資金は財団や社会的投資家、研究機関などが寄付・投資をしている。懸念されるサステイナビリティだけれど、価値あるプロジェクトには資金がついてくるのだろう。特に、アメリカのような国だと日本とちがって、社会的投資家やビルゲイツの財団のような、資金を出してくれるアクターが多そうだ。

十分な資金を得て、こういった活動が継続されれば、アフリカのインターネットのない田舎でも使えるシステムを、アメリカ人投資家による資金援助でアメリカ人IT技術者の助けを借りつつ、アフリカのIT技術者が開発する。そんな形の途上国・先進国の共同ソフトウェア開発が実現されるようになる。

日本でもそういった取り組みをしている大学とかないのなか?とふと思う。そいうった取り組みに参加することで、異なる文化を持つメンバーと共同作業が出来る経験は、非常に貴重なものだろう。グローバル人材とかいう人材が望まれているとしたら、Webを通じた途上国とのオープンソースプロジェクトを大学等が実施してみたら面白いんじゃないだろうか。

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