マイクロファイナンスとMobile-banking

CGAPというサイトに、“How can microfinance take advantage of mobile banking?”というタイトルで、マイクロファイナンスを提供する組織が、どのように携帯電話を使ったバンキングシステムを利用しているかという話が載っていた。

ケニアのM-PESAに代表される携帯電話を使った送金システムは、銀行口座を持たない(持てない)貧困層の人々に送金サービスを利用する機会を与えている。一方、マイクロファイナンスは銀行からお金を借りれない貧困層が、融資というサービスを受けられる機会を与えている。このMobile-bankingとマイクロファイナンス、どちらも貧困層に銀行のようなサービスを提供しているという共有点があり、それ故、マイクロファイナンス機関がMobile-bankingを利用することで、そのサービス範囲を拡大したり、より便利にしたりすることが期待される。

しかしながら、Mobile-bankingサービス利用が拡大することで一番得をするのは、携帯通信会社やサービスに絡んでいる大手銀行。マイクロファイナンス機関が得する訳ではない。そんな状況のなか、各マイクロファイナンス機関は色々な取り組みを見せている。例えば、ケニアやフィリピンのように携帯での送金サービスが確立している国では、普通に携帯での送金サービスを、融資資金の回収に利用している。また、携帯通信会社と協力して独自のサービスを開発しているマイクロファイナンス機関もある。ケニアのEquity Bank(マイクロファイナンス機関)はSafaricom(携帯通信会社)と共同で、M-Keshoという貯金用口座サービスを始めている。銀行口座を持たない人達が携帯電話を利用して貯金出来るサービスだ。貯金文化を浸透させることで貧困層の生活改善をにらんでいる。さらには、独自にゼロからMobile-bankingサービスシステムを構築しようとしているマイクロファイナンス機関もある(マラウイのOpportunity Bankなど)。

ケニアやフィリピンのように既にMobile-bankingシステムが導入されている国では、色々な可能性がある一方で、Mobile-bankingシステムがない国(多くの途上国はこちらのグループ)では、マイクロファイナンス機関が独自にMobile-bankingシステムを構築しようとしているが、手間と費用がかかり過ぎて実現は困難だという。

マイクロファイナンスとMobile-banking。これから興味深いテーマだ。ちなみに、ケニアのM-Keshoによる貯金の習慣を広げようとするプロジェクト(ケニアは途上国でもっとも貯金する人々が多い国になる!?)は、ビルゲイツの財団やDFIDも協力している。日本企業もこういった新市場開拓の可能性や日本ODAもこのような技術協力の可能性があるのかもしれない。

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コメント

  1. […] This post was mentioned on Twitter by Living in Peace, tomonari takeuchi. tomonari takeuchi said: Mobile-bankingとマイクロファイナンス http://bit.ly/a88K54 […]

  2. […] これだけのアイデアがケニア国内から出てくるということにまず驚いた。ケニアのことはあまり知らないけれど、M-PESAやM-Keshoといったモバイルバンキングサービスが普及していることなどからケニアのICT普及具合は他のアフリカ諸国よりも抜きん出ているのだろう。実際、ICT Workというサイトでも、アフリカではケニアが最もICT政策に力を入れている国として挙げられていた。 […]

  3. […] これだけ携帯が普及してくると、それを活用したサービスも盛んになるのは理解出来る。ケニアのM-PESAやM-KESHOに代表されるモバイルバンキングが良い例だろう。IT News Africaというサイトに“Western Union, MTN partnership to benefit rural Africa”というニュースが掲載されていた。ケニアでサファリコムと共にモバイルバンキングサービスを展開しているWestern Unionが、他のアフリカ諸国でもモバイルバンキングサービスを開始するという。まずはウガンダで開始し、さらにチュニジアやリビアなどでのサービス提供も視野に入っているという。また、これからスマートフォンが普及しだすことを見込んで、スマートフォン用のサービス展開も考えているとのこと。 […]

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