第5章:地方創生 x IT人材育成のモデル形成

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宮崎市におけるバングラデシュのIT人材を活用する産官学連携モデルである「宮崎-バングラデシュ・モデル」の形成にあたっては、「産(企業)・官(地方自治体)・学(大学)」のそれぞれ源流とする大きく3つの流れがあり、それがJICAと繋がっていくことで、宮崎の地方創生とバングラデシュのIT産業・人材育成の双方を同時に追求する産官学連携モデルが形成されて行く。

源流その1:案件化調査とバングラデシュ人IT人材の採用

まず、宮崎-バングラデシュ・モデルの源流の一つ目は、JICAの案件化調査を通じた(株)教育情報サービス(以下、KJS)とバングラデシュの出会いと、そこで起きた荻野社長の思いつきによるバングラデシュ人エンジニアの2人採用であった。

案件化調査が採択され、その調査としてバングラデシュを初めて訪れた荻野社長は、「とくにかくすごい熱量を感じた。日本人が無くしてしまった人と人との関係や、空港を出た瞬間に目に入る大勢の人たちも印象的だった。私が小さい頃の、道端に物乞いがいたり近所から醤油や味噌を借りたり、鶏を絞めて皆で食べたりとか、そういった時代を思い出す感じと、計り知れない熱量を感じ、ここは好きだなぁと思った」と述べている。ただし、食べ物は口に合わなかったようで、滞在中は腹を下していたとのこと。

調査の中でカウンターパート機関となるBCCに協議に行った際、BCCのイスラム長官からは「我々はITEE資格導入を進めているが、その資格取得後の出口が重要であると我々は考えている」との発言があった。出口というのは具体的には就職のことであり、これを日本に対する雇用への期待と荻野社長は理解した。

A person shaking another person's hand

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荻野社長とBCCイスラム長官

そして荻野社長がダッカで街を眺めていると、道で群れている若者たちが目に入った。一方の宮崎では繁華街を歩いていてもあまり人と接しないような印象もあり、「こういう人たちが宮崎に入ったら、様々な観点で宮崎にも刺激になるんじゃないか」と感じていた。また、これまで出会ったバングラデシュ人ITエンジニアを見ていて、「この人たちの性格は、実は宮崎の風土に合うんじゃないかという思いを持っており、こういう人と一緒に仕事をしたいな」という思いも強くしていた。

そのような思いを持ちつつ、日本でビジネスを継続していた2015年中頃、KJSで開発メンバーが足りなくなった際に、案件化調査の現地パートナーであり、バングラデシュにて日本向けのオフショア開発を進めた最初の企業であった株式会社BJITにダッカでのシステム開発を依頼し、バングラデシュ人と一緒に働く機会を得た。この際には、バングラデシュ人エンジニアに宮崎にも一度来てもらい市長表敬もするなど、宮崎市側もバングラデシュ人材がITに強いというイメージを持ち始めていた。その後も、今度はBJITから2名を宮崎に派遣してもらう形でKJSにて働いてもらったところ、人間関係含めて非常に良好であった。

こういった経験が積み重なった結果の2016年5月のバングラデシュ出張時、今後の宮崎-バングラデシュ・モデルのきっかけの一つとなる発言が荻野社長から出る。「バングラデシュ人エンジニアを連れて帰りたい!うちのエンジニアとして採用したい!」。そして、急遽バングラデシュ人ITエンジニアの面接をすることになり、BJITの推薦を受けた二人のITエンジニアを面接した。うち1名を採用する予定であったが、どちらか一人には決めきれず、結局二人とも採用するという決断をする。

こうして、バングラデシュ人を二人採用して帰国した荻野社長と、そのニュースを聞きつけた宮崎市や宮崎大学が議論を重ねるうちに、これは宮崎の事業の一つになりうるのではという話をしたことが、その後生まれる宮崎-バングラデシュ・モデルの源流の一つとなる。ちなみに、この時採用されたエンジニア2名は、一人は配偶者も呼び寄せて宮崎に滞在してKJSに勤務を続け、もう一人は現在東京の会社に転職したものの、いまでも日本でITエンジニアとして活躍している。

源流その2:宮崎市の抱えるIT人材不足という課題

宮崎-バングラデシュ・モデルの形成に通じる二つ目の流れは、宮崎市がIT企業の誘致と人材の流出に頭を悩ませていて、地方創生のための一手を探していたことが挙げられる。この頃の宮崎市では、リーマンショック以降に悪化していた雇用情勢の改善のために、コールセンターを中心とした業務集約型のアウトソーシングの受注を推進しており、東京を中心とする都市部のIT企業が宮崎に地方拠点を作ることの誘致に力を入れていた。この誘致には成功しており、宮崎市の中心部にあった空きビルに数十人から百人規模の拠点ができるなど、雇用改善に一定の成果が出ていた。しかし、雇用数は増えた一方で労働集約のモデルの地方展開であったため、所得や技能レベルとしては低いものが大半であった。

そのため、宮崎市としてはIT企業からの受注内容として、より上流工程のもの、より付加価値の高い業務にシフトしていく必要性を感じていた。しかし、その中で課題として見えてきたのは・・・・

続きをご覧になりたい方は、ぜひ書籍でご覧ください。(印税は著者には入らず、JICA事業に使われます。)

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源流その3:日本語教育を通じた民間・大学連携

JICAを巻き込んだ地方創生へのアプローチ

ダッカ襲撃テロ事件

前に進むために

宮崎ーバングラデシュ・モデル形成のクリスマス

モデルの実施に向けた取り組みと教訓


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