アジアとの架け橋を目指す沖縄のIT戦略

皆さんは沖縄県が県を上げて取り組んでいることのひとつにITを中核にすえた地域振興といったことがあるのはご存知だろうか?
先日沖縄に行く機会があり、沖縄県のITに関する取り組みについて話を聞く・見学したので報告したい。

沖縄では県の取り組みとしてIT特区を作り、税制面等の優遇措置を行うことで県外からの誘致を行っている。具体的には、うるま市にIT津梁パークというエリアを作り、ここに大小様々なIT関係の企業を大量に誘致し、ITの一大エリアを作ってしまおうという計画があり、少しずつ建物ができてきている。イメージ的には目指せシリコンバレーといったところか。

ただ、現状は本土から進出する企業の目的は安い人件費を目的としたコールセンター設置などが大半で、クリエイティブな部分は東京なりに置いているという企業が多い。

そこで沖縄県では企業が海外に発注するオフショアに対してニアショアという言葉を使い、「言葉も通じて人件費の安い沖縄でシステム開発しませんか?」と宣伝している。

しかし、このやり方だとアジア諸国とライバルという関係になってしまい、コスト競争でアジア諸国に勝てるわけはなく、厳しい戦いになってしまう。

もうひとつの取り組みとしては、アジアと本土をつなぐハブとしての沖縄を目指すということである。例えばアジアの企業がオフショア開発を受注できるようにアジア人材を沖縄で教育したりといったことも考えているようである。沖縄県の行っているIT人材育成研修とかのメニューにも目指すところとしてプロジェクト・マネージャと並んでブリッジSEというのも入っており、やはりハブというのを意識しているようである。これは地の利を生かしていて面白い取り組みだなと感じた。

今回の訪問を通して考えたこととしては、本土からの誘致等については、景気後退などもあり積極投資をするIT企業が多いとは思えず、沖縄の思いと温度差があるように感じる。もうこの際、本土からの進出誘致はそこそこに、日本や中国・韓国への進出を目指すIT企業(例えばインドの大企業とか)に規制の少ない沖縄に来てもらい、国際色豊かなエリアにするといった手であれば大規模誘致も見込めるのではないだろうか(沖縄からだと東京よりも台湾・上海・韓国などの方が近い)。というかそうなったら沖縄という場所が本土のどことも異なる面白い価値を持った場所になると思う。

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コメント

  1. Kanot Kanot より:

    追記ですが、たまたま9月20日の朝日新聞朝刊についている「Globe」に、沖縄の統計が特集されてますね。
    情報通信産業特区の欄に税制優遇等の話が出ています。実績としては情報通信関連企業の進出が4倍になったとか。。
    一方で、「政府の沖縄の経済振興策を評価しますか?」というアンケートでは、「評価する」と回答したのは3割を切ってますね。。

  2. tomonarit より:

    全然知りませんでした。沖縄がITに力を入れていたとは。
    確かに東京からの企業誘致は、コスト面でアジア諸国に勝てなさそうですね。新興国や途上国から企業を呼ぶほうが可能性があって、面白ろそう。インドやロシアのIT企業が災害対策向け(自国内データセンターのバックアップ)として沖縄のデータセンターを利用したりする可能性はないのかぁ。インフラが整っている日本にバックアップがあるってことは、新興国や途上国のIT企業にとって、ある種の「売り」になるような気もするが、コスト面がどうなのか?が気になるところ。
    このトピックを読んで沖縄行きたくなりました。

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