海外PhDに興味を持ったら最初にしてはいけないこと

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先日「海外でのPhD(博士号)に興味を持ったら最初にするべきこと」としてまとめたところ、反響が結構ありましたので、続編として、「もしあなたが海外PhDに興味があるなら、してはいけないこと」としてまとめてみます。100%私見です。前投稿をまだご覧になっていない方は、まずはこちらから読まれるとよいと思います。

年齢を理由に諦めてはいけない

日本人の一般的な感覚としては、博士過程の学生というのは20代中盤から後半をイメージすると思いますが、もしあなたがそれ以上の年齢でも、それを理由に諦める必要はないと思います。アメリカ以外はよく知らないのですが、30代や40代で仕事を辞めてPhD課程に所属している人はたくさんいます。まぁ人生100年時代なので、これまで積んできた実務経験をアップデートする(経験と理論を結び付けて付加価値を出す)いいタイミングなのかもしれません。(もちろん積み上げたキャリアが一旦途切れるリスクがあるのはその通りです。)

ちなみに、私がPhD留学を始めたのは35歳。そして今私と同じLab・ゼミに所属しているPhD生の年齢構成は、40代中盤1名、40代前半1名、30代後半2名、30代前半2名、20代2名、といった感じですので、本当に幅広い年齢層です。ちなみにこのうち30代後半以上の4名の国籍は、日本(私)・アメリカ・インド・スーダンですので、特に国籍に関係する話でもなさそうです。

性別を理由に諦めてはいけない

これは言わずもがなですが、性別を理由に留学を諦める必要はないと思います。女性のPhD生も沢山(うちの大学院だとおそらく半数くらい)います。LGBTの方も沢山いて、むしろ当事者としてマイノリティの研究に強みを持っていたりします。結婚のタイミング等を気にされる方もいるかもしれませんが、PhD課程の途中で結婚するというのはザラです。(出産については次項で書きます。)むしろ結婚していた方が鬱になる可能性が低くなり、卒業年数も短くなるという研究結果もあるくらいです。(ソースは忘れましたので、見つけたら貼ります。)

出産、子育てを理由に諦めてはいけない

少なくともアメリカでは、家族連れ・子連れでのPhD課程在籍は、ふつーです。現在私は大学の世帯寮のようなところに住んでいますが、周りは世界中からやってきた家族連れのPhD生たちが大半です。やはり20代〜40代のうち5年以上をかけることになるので、当然出産や子育てというライフイベントと重なりますが、みなうまくやりくりをしています。

私のPhD同期の女性は昨年結婚して出産のために母国に帰っており、リモートで研究を続けています。他にもママさんPhD生は沢山いて、旦那さんが家で子育てまたは修士コースなどに通ってるケースも多いです。

基本的にPhD生は多忙ですが、時間は極めてフレキシブルなので、子育てとの相性は(社会人生活と比べると)悪くないと思います。私も6時には仕事を切り上げて毎日夕飯は家族で食べて、その後に家で研究をしています。

一つ問題があるとすれば、保育園の費用が高いということでしょうか。小学校(アメリカでは日本で言う年長から)になると、公立校は無料になるので、負担は少ないですが、それまでは(待機児童問題はないですが)長時間保育園に入れる場合は、お金的にはそこそこかかると思います。

お金を理由に諦めてはいけない

この点は、前回の投稿でも書きましたが、アメリカでは(欧州も?)PhD生は大学に雇われる形で仕事をしながら研究することが比較的多く、授業料は免除になり、月2,500〜3,000ドル程度の給料がもらえるケースがよくあります。もちろん日本より物価の高いアメリカですので、この給料だと単身者でトントン、家族連れだと赤字です。保育園に入れるとさらに厳しくはなります。

しかし、腹を括って私費で学士・修士留学をしている人たち(年間1千万円程度の自己負担?)と比較すれば、授業料免除かつ雇用される(生活補助がもらえる)という時点で、圧倒的に良い待遇だと言えると思います。

研究経験不足を理由に諦めてはいけない

アメリカのPhDは研究経験は必須でないことが多いです(もちろんあるに越したことはありませんが)。ですので、研究経験だけを理由に諦めるのはもったいないと思います。詳しくは前回の記事で書いたので、そちらを参照していただければと思います。

十分な実務経験がある人は、未経験分野でチャレンジすべきではない

ここは判断が難しいところですが、学卒や2−3年程度の実務経験後にPhDに来るのであれば、未経験分野にチャレンジするのもありだと思いますが、5年以上の実務経験があるのであれば、それを生かせる分野を選ぶべきだと思います。

ここは修士号と大きく違うところだと思います。修士号は専門分野を深める効果ももちろんありますが、専門分野の幅を広げることにも大いに役立つと思いますので、これまでの実務と違う修士号を取ることでキャリアの幅を広められると思います。

一方のPhDは、基本的に専門分野を徹底的に深めることになるので、幅を広げるのには適さず、これまでの実務経験をより深めて理論と結び付け、新しいものを研究していくという形が適しているのではと思います。(そしてその分野が好きだと確信してないと精神的にきついと思います。)

合格前に会社を辞めてはいけない

これは声を大にして言いたいですが、合格通知をもらう前に会社を辞めることを伝えてはいけません。アメリカのPhDの場合、前述の通り大学側がPhD生を雇うケースが多い(つまり一人PhD生を取ると年間500〜800万円程度を大学または教授が負担することになる)ため、むやみに人数を採ることはしません。

そのため、受験に当たっては、全落ち(複数応募して一つも受からないこと)も想定しておかなければなりません。知り合いで全落ちした人も複数人いますし、私も実は6校出願して受かったのは一つだけで、全落ちの恐怖で本当に胃が痛い日々でした。ですので、出願時には、全落ちした場合のセーフティーネットもきちんと計算に入れた上で対応した方が良いと思います。

卒業後の就職については、まだ卒業してないので私がどうなるかわかりませんが(-_-;)、うちの学部ではPhD取得後の就職率は100%と言っていました。私の結果次第では、この投稿を大幅に書き直しているかもしれません(-_-;)

なぜこの記事を書いているか

さて、ここまで読んで、「何でこいつはこんな記事書いてるのだろう?」と思うかもしれません。理由はシンプルで、もっと日本人に海外PhDに来て欲しい(寂しい)からです。なので、若干楽観的なトーンで煽るような内容になってます(笑)。

周りを見渡すと、アメリカ人はもとより中国人・インド人・台湾人・韓国人などアジアからも沢山来ている中、日本人は本当に数えるほどです。おそらくミシガン大学に現在留学している日本人PhD生は、私の知る限りでは、たったの4人です(多分中国人の1/100以下?)。グローバル化の時代ですので、日本がもう一旗あげるためにも、ぜひもっと来て欲しいなぁと心から思うわけです。

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