“Development 2.0” (勉強会終了)

Tomonariの案内の通り、昨日Prof. Richard HeeksがJICAにて公開勉強会を行いました。

TV会議での海外事務所からの参加に加え、民間企業や、大学等、JICA以外の方のご参加が多かったことは、”ICT4D”の注目度が幅広い分野で注目されているという事でしょうか。40名超のご参加ありがとうございました。

当日は、HeeksのDeveloment 2.0の内容に沿ってプレゼンが行われました。前半、ICT技術の発展と変遷に伴う、ICTならではの国際開発へのインパクトについて、いくつかのICT4Dプロジェクト(※)の事例に触れながら説明が実施され、後半はそれらプロジェクトの実施プロセスやステークホルダー、プロジェクト内容等を3つの概念化されたモデルに分類して説明されました。終了後ICT4Dにおける政府の役割、民間の役割等についての質疑応答が行われました。

ご参加されている方の興味や職業によって、プレゼンテーションの受け取り方は異なってくるとは思うものの、”ICT4Dのプロジェクトにおいては、これまでの受益者に対する見方が変わってくる” というところが個人的には一番響きました、ペーパーから引用すると、”from seeing them as victims to seeing them first as consumers, then producers, then innovators” というところです(them は貧しい人たちを指します)。

更にHeeksのほかのコンセプトを以って説明すると、information chainというコンセプトがあります。
とても短くいうと、「”情報”は、それに(1)アクセスでき、(2)その中身を見極め、(3)適切に応用し、(4)最終的にアクションがおこせるレベルに達しなければそれは単なる”データ”でしかなく、意味がない」ということが書かれています。1つ前のTomonariのポストでも”得た情報を知識化する能力や情報の真偽を見極める能力も必要”とあります。

これをよくある事例にあてはめるならば、、、貧しかった漁師が(1)携帯でマーケット情報を入手し、(2)自分の商品の価値を把握し、(3)適切な価格設定をし、(4)販売する、つまり、一方的に何かを与えられる受益者だった立場の人が、テクノロジーによってモチベーションと能動的なアクションをおこす機会を得た、といういいかたができるのだと思います。

※言及あった 他のICT4Dプロジェクト についてもおいおいこのBlogで触れていきたいと思います。

(end)

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3. その他

コメント

  1. Hiroko より:

    Tomonariさん、Makiさん、ご無沙汰しています。
    今年の6月頃にインターンや就職のことでいろいろご相談しましたHirokoです。その後、コース(MIS)を無事終了し、今まだManchesterでいろいろ模索をしています。。
    (インターン、結局見つけることができず、今は転職を考えていますが、なかなか難しく、このままだと一度日本で復職してまた考えることになりそうです。)

    コメントさせていただいたのは、先日、Centre for Development Infomatics主催のイベント、 UK Launch of 2010 UN Information Economy Report: ICTs, Enterprises and Poverty Alleviation に参加し、Makiさんの投稿の中で、個人的に響いた言葉を見て、私もこのイベントでのHeeksが同じ言葉を使って発言していた点に少し考えさせられました。当日は、UN Information Economic Reportの概要説明後、パネルディスカッションがあり、パネラーの1人、Dr George Manuが、Reportに対して、Poverty alleviation(reduction)ではなく、Wealth creationという言葉を使ってほしいと主張していたのも、Heeksと似たような点を主張しているのではないかと感じました。

    日本に戻った際は、元の仕事に戻る可能性が高いですが、今後もICT4D分野に近づいて行ける職種を模索していきたいと思っており、今後も引き続きコンタクトさせていただけると嬉しいです。
    では、

    • tomonarit より:

      Hirokoさん、こんちには。
      Heeksに日本で会ったときに、Hirokoさんのことも話してましたよ。
      「Poverty alleviation(reduction)ではなく、Wealth creation」ですか。確かに、“貧困”ってものの定義も先進国が勝手に作って、それで、貧困をなくそうとか言っているのを冷静に考えると、途上国の人から見たら「オイオイ、ちょっと待て・・・」という気持ちかも。Wealth creationって方が遥かに響きが良いですね。
      話は飛びますが、ICT4Dってニッチな市場なので(特に日本の援助では)、なかなかド真中の職を見つけるのが大変かもしれないですが、最近はBOPビジネスやアフリカ熱が沸騰し始めた感があるので、逆に民間のIT企業のほうが、エキサイティングなことが出来る可能性もあるんじゃないかと自分は思いますよ。
      もし日本に帰国されるのでしたら、IDPM同窓会でもやりましょう。では。

  2. Maki より:

    Hirokoさん、ご無沙汰してます、お元気そうでなによりです。確かにPoverty alleviationしてもらうのではなく、自分でWealth creationするほうがポジティブかつ能動的な感じでいいですよね。

    ICT4Dですが、たしかにICTそのものだけの案件というのはおそらく現状は少ないのだと思います。ICT×農業、ICT×教育、ICT×電力、、という案件が殆どですね。
    これって日本のITベンダーの仕事みたいだなと感じてしまいました。お客さんの業務を理解してそこに最適な提案をするという作業は、相手が日本の大企業であろうとも途上国の農家であっても「最適な提案」はしなくちゃいけないですしねえ。

    ではご帰国されましたら是非お知らせくださいね。

  3. Hiroko より:

    Tomonariさん、Makiさん
    コメントありがとうございました。
    その後、返信が遅くなってしまいごめんなさい。
    就活でその後動きが出てきて、少しこちらでの民間日系IT企業をあたってみたところ、来週、インタビューの話をいただくことができました。
    その会社はクライアントとして、必ずしもDevelopmentとは限らないのですがいくつかCharity系団体を顧客として持っていて、民間からつながりをもつという意味ではお二人あがおっしゃっている形で携わることができる可能性のあるのではと思っています。
    今回のオフ会は残念ながらまだイギリスなので参加できないですが、帰国の際はぜひご連絡させてください!
    インタビューうまくいくかわからないですが、やれるだけやってきます。

    • tomonarit より:

      イギリスで働くチャンスが見えてきて良かったですね。
      自分もイギリスで働いて、もう少し英語がしゃべれるようになりたかったです。イギリスで働くってのは魅力的ですね。これからは、民間企業による途上国への進出が促進されてく時代だと思いますし、色々とメリットはありそうですね。それでは、インタビュー頑張って下さい!

  4. […] 消費者)として見直しており上手く行かない。一方で裨益者自らが情報を作り出すようなプロジェクトは裨益者をプロディーサーとして扱っており、上手くいく可能性が高いと思います。 […]

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