e-Agriculture@エチオピア

ICT4D分野のプロジェクトでどんなものがあるのか?と漠然とネットサーフィンしていたら、面白いサイトを見つけた。Akvo.orgというオランダのNGOのサイトだ。いくつかの分野の開発プロジェクトがリスト化されていて、Kivaみたいに気に入ったプロジェクトに誰でも寄付が出来る仕組みになっている(Kivaは正確には寄付じゃなくて融資ですが)。NGOや援助機関が一括で資金を出しているプロジェクトもあれば、個人が何人かで少しづつ資金を出しているプロジェクトもある。面白いのは、重点分野にICTが入っていた点。ICT関連プロジェクトだけでも結構な数が掲載されていて、(規模はあまり大きくないものの)各国でこんなプロジェクトが行われているのか〜 と知ることができ面白い。

その中でエチオピアの農業分野でICTを活用するといプロジェクトを発見。農作物生産の効率向上や収入アップのために、地域の農協組合的な組織(Farmer Marketing Organisations)に対して、ICTを活用したマーケット情報の提供や農作物の買い手との関係構築のための仕組みを作り上げるというもの。オランダのNGOが資金提供。2013年のプロジェクト終了までに、Information Deskの設立やWebサイト構築など、いかにもなコンポーネントが実施される計画。6つのNGOが実施機関となっていて、以前一緒に仕事をした知ってるエチオピアローカルNGOが2つ含まれていた。懐かしいなぁ

正直なのところこのプロジェクト、紹介文を読むと具体的にどんな情報をどういう形で提供するのかが不透明な印象。熟練農家のノウハウをデータベースにして共有するのか、雨量や気温などのデータをセンサーや携帯端末から集めて「見える化」して活用するのか、とりあえずSNSでの情報共有なのかなど、具体的なことは不明確なのですが、プロジェクト紹介文のなかにエチオピアのICT政策の情報が載っていた点に今後の可能性を感じました。エチオピア政府はICTインフラとして、遠隔教育用のSchoolNet(約500の学校に導入されてる)やWoredaNet(約600の中央省庁・地方政府に導入されている)と呼ばれる衛生を利用したTV会議システム(職員研修や遠隔裁判などにも実施)を導入しており、今後はknowledge Based Societyを目指すとか、ICTを貧困削減に活用するとか、結構ICTに重きを置いているのです。

ちなみに、WoredaNetは、2009年にUNECAの”Technology in Government in Africa Award“というのに選ばれてるし、2011年にも共通一次試験の登録システムが選ばれている。やるなぁ、エチオピア。携帯電話インフラもかなりよくなったし、ICT4Dプロジェクト成功の可能性は自分がいた頃(2003〜2007年)より、格段に上がっている気がする。

農業分野に話を戻すと、エチオピアでは2008年に商品取引所を開設したこともあり、オロミア州という州政府レベルでもマーケット情報の利活用にICTを活用する動きがあるなど、国としての「農業×ICT」とう取り組みがある様子。上記のプロジェクトもこの流れに乗って成功出来ると良いが上手くいくと良いなぁ。しかし、あのNGOの代表は、かなりのお調子者だった気がする。大丈夫かな・・・。
Akvo.orgのサイトでは、プロジェクトの進捗情報も随時アップされるようなので、今後の様子をウォッチしていこうと思います。最後に、農業分野でのICT活用の可能性について、ゲイツ財団の支援で調査がされていた資料を発見したので参考までに。“Exploring ICT’s Potential to Help Smallholder Farmers Ethiopia”.

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農業
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コメント

  1. せはた より:

    弊協会でも農協的な場所へ「e農業指導センター」みたいなのを作ろうとしているけど・・・コンテンツ部分が弱い気がします。

    この2週間強、エチオピアではプリペイド携帯電話のチャージシステムがほぼダウン!大変困っております。

    • tomonarit より:

      コメント、ありがと!「e農業指導センター」ですか。どんなサービスを展開するの?差支えなければ教えて欲しいです。
      特に気になっているのは、情報提供がどこまで効果が上げられるのか?という点。「この農法が良い」とか、「この肥料が良い」とか情報があっても、その農法を実施するための人手がないとか肥料買う金がないとか、「情報だけあっても・・・」ってなことも多々ある気がして、一体「情報提供」で出来ることって実際どれ位なんだろうかと思うわけです。でも勿論、情報提供については肯定派ですよ。

      >この2週間強、エチオピアではプリペイド携帯電話のチャージシステムがほぼダウン!大変困っております。
      まぁ、日本でもドコモやauが障害をおこしてる位だから、ETCの障害も致し方ない気が・・・。

  2. アベバ より:

    アグリ×ICTは、途上国、新興国に限らず今が旬のように感じています。

    一昔前のシステム化は、手作業でやっていた仕事を自動化すること。
    そのメリットはわかりやすく、投資対効果もはっきりしていました。
    ところが、手作業の自動化が一巡してしまった今、ICTに求められるのは「あるべき姿」の追求です。
    これは難しいですよね。今まで経験したことのない未来を設計し、開発し、結果を出さなくてはいけないわけですから。
    システム設計者が、どこまで現場に寄り添えるかが肝だと思います。
    先進国と呼ばれる日本であっても、コンセプトは良いが現場は使いこなせない。結果、廃れていってしまったというシステムを幾つも見てきました。

    途上国・新興国の農業も、これまで人力でやってきた農作業を機械化することで享受できるメリットは大きいでしょう。
    けれどICT活用を考えた場合、どうやって運用するのか?蓄積された情報をどう活用するのか?このイメトレがかなり大事だと思います。
    できるだけ具体的に。できるだけ現場目線で。できるだけ現実的な運用・活用方法を検討し、十分評価する・・・そういうプロセスがないと。

    あくまでも農業の本質は、豊年満作を追求すること。
    ICTが、地域の環境にマッチし、それを助ける道具として、うまく機能できたら素晴らしい。そうあって欲しいと願いますが、ICTは両刃の剣。例えば道路や橋や井戸のように、あれば絶対に役に立つという社会インフラとは違う。使いこなして初めて価値を生み出す道具だということを忘れちゃいけないですね。自分への戒めもこめて。

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