これは私がずっと考え続けているテーマである。インターネットなどの技術革新により作られる仕事と奪われる仕事、どっちが多いのか。
この疑問は特に現在の、ITを使って途上国開発、という仕事を選んでから度々考えるようになった。
・ITによって非常に革新的な進歩が発生しうるし(遠隔教育やモバイルサービスなど)、経済に与える影響も大きい。
ということは自信を持って言えるのだが、
・IT化によってこれまであった仕事が奪われている。本当にIT化することが望ましいのか。
という疑問が常に頭の隅にあるというのが今の私。
ITをはじめとする技術革新がベンチャー企業・SNS企業など多くの雇用を生んできたことは事実ではあるものの、多くの仕事を奪ってきたのも事実である。わかりやすい例だと、機械化によって工場作業員の雇用が不要になり、ETCの導入により料金徴収者の仕事が不要になったことなどが挙げられる。(これらの例は、日本では過去の話だが、途上国ではそうではない。)
そんな中、2つほど私を勇気づける(つまり正の影響の方が大きい)という意見があったので紹介したい。
1.ガートナー社の「スマート・マシンの光と影」
ITというよりはその先のスマート・マシン(次の有力テクノロジ)の影響についてではあるが、機械の支援により人間の仕事の質が向上するという理由で、大量失業などの悪影響よりも利点の方が大きいと主張している。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20131017/511781/?top_tl1
2.マッキンゼー「インターネットがもたらしたインパクト」
インターネットがこれまで経済発展や仕事創出、繁栄にどのようにインパクトを与えてきたかという記事。多くの中小ベンチャーを生み出したインターネットという技術によって、失われた仕事の2.6倍の新しい仕事を創っているとのこと。
http://www.mckinsey.com/insights/high_tech_telecoms_internet/internet_matters
コメント
以下、ちょっと煽りが入りますが:
減っていく「そこそこの」スキルの仕事
『機械の支援により人間の仕事の質が向上する』『中程度のスキルの就業者による定型的な業務が減少していること、またその有力な原因として、ITによる代替が考えられるという状況』についても触れられていました。
ITの「主人」になるかITの「被害者」になるか
『中程度およびやや高い賃金の職種=中程度のスキルの職種の中で、雇用が失われたのは製造関連=男性比率の高い職種であり、雇用が生み出されたのは医療・福祉関係=女性比率の高い職種となっている。』とのこと。
小飼弾の「仕組み」進化論
読み物としておもしろかったです。
技術はコンテンツに対して中立か?
配信技術や閲覧デバイスの環境はコンテンツに対し、無色透明なパイプでは決してあり得ない。環境(アーキテクチャー)の変化がユーザーに対しどのようなベクトルの力を無言のうちに与えるのかについての洞察を、身近な事例でマーケッターの視点から。
Ozakiさん
非常に興味深い情報提供ありがとうございます。経済価値の総量はともかく、仕事が偏ってきていることは事実なのでしょうね。
経営者という観点だと、もうマクロで見るしか選択肢はなく、個人としてもここを生き残る高い専門性を持つしかないんでしょうね。
遅ればせながら。自分もIT導入が人から仕事を奪っていると感じることが多いです。今まで人でやっていたことがITにとって変わられてしまうのは避けられないですし。でも、これはITに限らない話だと思います。車や鉄道によって馬車や人力車がなくなったように。人力車の労働者は、きっと別の食い扶持を見つけたんじゃないでしょうか。
非常に参考になりました。IT苦手です。関連している私のサイトです。よかったら覗いてください。仕事の質を高めるhttp://shigotonoshitsu.com/