今回の震災を経て、ICT分野で何か日本の強みとしてアピールしていくことができるものはないのかと考えている。思いつきベースでのメモに近いが、いくつか挙げてみたい。
1.通信の多重化
今回の震災の際、私は東京のオフィスで勤務をしていたが、直後から固定電話はまったく不通になり、携帯電話もつながらなくなってしまった。しかし、インターネットと携帯電話の電波は生きていた(混んではいたが圏外ではなかった)。これは東北地方でも同様で、かなりの地域で電話は不通だが携帯インターネットはできた地域があったため、twitterなどで情報発信をすることができた。
この話を通信の専門家とした際に、通常の国であれば、あのレベルの津波が押し寄せて、停電状態になると完全に圏外になりネットワークは不通になるものらしいのだが、日本はそこをバッテリーなど多重化していたため、停電にはなったが携帯は使えるという状況になっていたとのことである。
こういった電源の多重化技術など、日本として他国に推進・紹介していことができるのではと思う。「あれだけの大災害で切れなかった通信」 として。
2.地理情報の重要性
これは先進国では既にほぼ満たされているとは思うが、GIS(地理情報システム)などの情報の重要性を非常に感じた。地震後おどろくべき速さでgoogleとパナソニックが作り上げた「GPSを用いた通れる道路情報システム」なども、地理情報のなせる業であるし、災害後のインフラ復旧作業のスピードにも影響が出てくるのではないか。
3.電力の制御技術
これは人から聞いた話ではあるが、今回の地震による東京の計画停電、これだけ細かくグループ分けをして輪番停電を実施できる国は他にはないのではとのことである。今後需要が増えていくであろうスマートグリッドなど、日本の技術としてアピールしていくことはできるのではないだろうか。
まぁ今回はスマートグリッドなどでデジタル化しすぎてしまうことの問題点も見えてきたわけだが。
4.バックアップの重要性
震災後の地方自治体の業務復旧やデータ保持について、おそらく各自治体のシステム状況で大きな違いが出たのではないかと推測される。例えば、クラウド化やデータセンター整備などをしてデータを県外に置いておく試みをしていた自治体などは、PCが壊れた被害はあっても大事な戸籍情報等々への被害は少なかったのではと思われる。
今回の震災を経て、データ保管・バックアップの大切さは世界中に訴えることができるのではと思う。
日本の復旧のためにも、転んでもただでは起きない、逆に日本の強みを証明することになるポイントを考えて行きたいと思う。
コメント
地方自治体の業務システムは、殆どが大手のものを利用し、データ保守も業者に委託しているため消失はバックアップ後の時間以外なかったのでは。
総務省も全国に戸籍情報、住民基本台帳データ等のバックアップを指示していたようです。
以前、長崎県の業務システムアドバイザーだった島村さんという人を地方自治体の業務システムの勉強会にお呼びし、地場IT企業支援も兼ねたオープンソースを活用したシステムを地元に発注した経験をお話頂きました。
地方自治体の大半が大手ベンダーに業務システムを発注している中、長崎県の事例は日本国内でも珍しいそうです。
>M Miyazakiさん
確かに、戸籍消失か、と言われていた自治体も、結局は復旧可能だったところが多かったようですね。村などの小さい自治体はどうだったんでしょうね。
長崎県がオープンソースですか。確かに珍しいですね。
とはいえ、オープンソースで自社開発と、ERPのような大手のパッケージ、どちらが安いのか微妙なところですね。多少高くても地産地消というか地元振興と割り切って投資したのであれば、素敵な自治体だと思います。