エチオピアの遠隔教育 その後①

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エチオピア遠隔教育

昨日に続き、エチオピア里帰りでのことです。

バハルダールという地方都市で青年海外協力隊として活動する方に、「エチオピアの遠隔教育は上手く活用されているのか?」という点を伺ってみました。エチオピアの遠隔教育(School-Net)については何度かこのブログでも触れていますが、簡単にいうと、首都アジスアベバから教育テレビ的な動画を各地の中学・高校へ配信するもの。全国500以上の学校の教室にプラズマディスプレイが設置されて、それで生徒は見ています。主要教科(当初は6科目でした)がカバーされており、実験道具などがない田舎の学校でも、画面を通じて実験の様子を見ることが出来たりするので、教材の充実度や教員の質など都市部と地方部の格差をなくすことが出来、2003年に導入されました。詳しくはこちらをご覧ください。

さて、その隊員の方の回答はというと、

ほとんど使われていないと思います

とのこと。

その方が知る限りでは、故障が原因で現在は使われておらず、時にPCとつないでパワーポイント等を見せるスクリーンとしてプラズマディスプレイが使われている程度という。うーむ、非常に残念な結果に・・・。故障の原因は、エチオピアの不安定な電源供給にあるようで、電圧の変動によって電源系が故障するパターンが多いと思われるとのこと。納得。誰もが懸念するストーリーが実際に起きていたとは…。

さらに、遠隔教育とは別のプロジェクトでは、援助機関が学校内ネットワーク構築を支援し、PC、ハブ、ルータなどの機器を用いて校内LANを構築しインターネットも整えたものの、プロジェクト期間(=インターネット費用もプロジェクトがカバー)が終了すると、学校がインターネット費用を払えないということでネット環境がなくなったり、機器が故障して使えなくなったりということも起きていると話してくれました。(勿論、中には学校がインターネット費用を払い続けている学校もあるけれど、)やはり、機器だけ供与してもダメってことを絵に書いたような話。

一方、故障した機器を修理するスキルがある教師がいないのか?と思いきや、必ずしもそうとも言えないよう。スキルがあっても、わざわざ残業して直したところで自分の給料は変わらないので、敢えてやろうという姿勢もないともいえる。これは自分が協力隊として活動していたときにも感じた点で、「問題は変わらないなぁ」と感じた。機材だけでもダメ、予算面の問題、人材育成しても必ずしも持続性が担保できるとも限らない…、と結局、ICT4Dプロジェクトと言っても、ICTで解決出来ない点がネックになるのは普遍的な課題。ICT4Dプロジェクトというタイトルを被りつつも、どこまでそれ以外に食い込んだ支援をするのかが重要なのだと改めて感じました。

上記の貴重な話を聞かせてもらった翌日。自分はかつて協力隊時代の任地デッセイへ行きました。当時の配属先の学校では遠隔教育としてプラズマディスプレイが20~30台くらい導入されていたので、もし同じ状況だとしたら、とても残念だと心配しつつ、当時の配属先の学校へ行って見ました。故障中なのか、それとも活用されているのか・・・?(「エチオピアの遠隔教育 その後②」へ続く)

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コメント

  1. […] 昨日の続きです。 […]

  2. […] 当時、エチオピア政府が遠隔教育プロジェクトを実施したタイミングと重なり、そのプロジェクトを目の当たりにし、ICT4D分野に関心を持たのは、とても良い偶然でした。まあ、それはもう問題だらけのプロジェクトで、「なんでこうなるかな?」と端から見ていて、非常にもどかしい感じでした。 […]

  3. […] 当時、エチオピア政府が遠隔教育プロジェクトを実施したタイミングと重なり、そのプロジェクトを目の当たりにし、ICT4D分野に関心を持たのは、とても良い偶然でした。まあ、それは […]

  4. […] 青年協力隊で行ったことでした。IT科目の教師として地方の高校で2年間活動し、そこで遠隔教育導入を目の当たりにしたこと、今の奥さん(エチオピア人)と知りあったこと、またとて […]

  5. tomonarit より:

    2016年に中国HUAWEI社がDestop Cloudというソリューションを導入してSchoolnetの改善を図っている。

    https://e.huawei.com/en/case-studies/global/2016/201611180957

  6. […] 例えば、私が良く事例に使っているエチオピアの遠隔教育で考えてみます。2003年頃に開始されたSchoolNetと呼ばれるプロジェクトで、簡単にいうと、首都アジスアベバから教育テレビ的な […]

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