10月24日の朝日新聞に興味深い記事があったので紹介する。
内容は、日本IBMがクラウドコンピューティングをNPOに無償で提供するというものである。日本IBMとしては、CSRとしての活動に加えて利用したNPOの声を聞き、システム改善のアイディアとするとのこと。国際協力関係のNPOでは「ピースウィンズ・ジャパン」がこの支援対象となっているようで、ITの専門員を雇わずにちゃんとしてITシステムを使えるので助かっているといったコメントが載っていた。
この話、とても興味深い話で、気になる点がある。この日本のクラウドサービスを海外でどの程度満足に使うことができるかという点である。
クラウドサービスはサービス提供先の場所を気にせずに使うことができるのが利点であり、そういう意味では日本のクラウドサービスを世界中に提供することも可能であり、ビジネスとしての可能性は大きい。とはいうものの、実際は物理的な距離というのは実際は大きな問題だと思っており、途上国にとって、(意識はしないだろうが)日本のサーバにアクセスしてサービスを受けるというのは実用可能なレベルになっているのだろうかと前から考えていた。(日本IBMのクラウドサービスが日本のサーバのみで提供されているという前提を勝手に付けて書いています。)
私のイメージでは、途上国のインターネット状況を考えると、日本までアクセスするには遠すぎる(実用レベルのレスポンスを得るのは難しい)が、アクセシビリティ改善のためにデータまで途上国に置いてしまうのはセキュリティリスクが高すぎる。本格的なビジネス展開のためにはこの壁を乗り越える必要があると思う。
ではクラウド先駆者のGoogleなどはどうやっているのだろう?アメリカにあるサーバでGmailなどを提供しているのか、それとも世界各地にデータセンターを持っていて、物理的な距離が近くなるようにしているのか。もしそうだとしたらセキュリティは??
少し調べてみたところ、googleとしてデータセンターの数について公開はしていないようであるが、Royal Pingdomという会社が調べたところによると、世界中に賃貸等も含み36箇所あるらしい(地図はこちら)。さすがgoogle。あの膨大なデータのセキュリティ管理、データ同期などどうやって行っているのであろう。とんでもない規模・技術の結集であることは間違いない。
コメント
面白いですね、IT会社ならではのCSR.
サーバのメンテナンスが不要、とか、ソフトウェアの更新も不要、とか、一般的にクラウドが解決する問題点って、昔のICT4Dプロジェクトが抱えている問題と同じ。
途上国にいる人たちがそうしたICTの煩わしさを感じずにそのメリットだけ享受できたらいいのに、と思いつつ、ネットワークの問題がすぐ浮かびますよねぇ。
http://cloudcomputing.sys-con.com/node/1314310
こんな記事を発見しました。少しオーバーだけれども、まとめると、もはや、水や食べ物、そしてクラウドのようなサービスは、もはや社会インフラの一つ、のような言い方ですね。。
インターネットが社会インフラというのを通り越してクラウドがインフラですか。そうなのかもしれませんね。
インターネットというものを全く意識せずに育った世代が当たり前のようにクラウドを使うようになるという時代だと、また全く新しい概念が出てくるかもしれません。
常に技術ベースではなくサービスベースの発想をするように心がけねばという感じですね。
こんにちは、以前Richard Heeks 教授講演にお邪魔した
ものです。いつも拝見しております。
クラウドがインフラというのは、MAKIさん、Kanotさんも仰る通りですね!
門外漢で恐縮ですが、途上国の発展プロセスが、先進国の辿ってきた過程を最適技術(定義が難しそうですが。。)等でバイパスできれば、sustainable developmentの一助に
なるのかなと、
固定電話無しで携帯が普及した様に、テレビ無しで
格安スマートフォンでyoutube,TEDとか更には。。
かたやICT4D以外のレガシーインフラも大規模発電所無しでSOFC発電とか、ライフストローとかetc。。と
ところで、クラウドサービスのデリバリだと、akamaiという
会社が、その昔からworldwideなリバースプロキシとして
ビジネスをしていて昔協業した事があります。詳しくは分かりませんが、googleも一部ユーザだったように記憶しています。(不確かですが。。)
彼らもビジネスではありますが、彼らのEdge Platformで言うところのedgeに途上国が入って行くとデリバリは大きく改善します。
御存知かもしれませんが最近だと英の「Movirtu」がアフリカで複数の携帯電話番号とSMSを一つの携帯電話で共有するクラウドベースのサービスをしていますが、これのバックエンドも気になるところです。
ちなみに電話番号→メッセージアドレス→アプリケーションアカウント等々というデジタルアイデンティティを所有することをコスタリカでは基本的人権にする動きがあるようです。
KIVAへのアクセシビリティの様に、デジタルアイデンティティは何かプラスのキッカケを得るのに大切なものになってきているのかもしれないと、一市民として思っています。
すいません、徒然とまとまりなく。。
引き続き勉強させて頂きます。いつも有難う御座居ます。
梶谷さん
こんにちは。コメントありがとうございます。
テクノロジーによって、途上国が先進国のたどった道とは違う近道を通れる可能性は高いですよね。そういった意味でも、個人的に途上国の発展にICTの果たす役割には期待しています。
Movirtuやコスタリカの事例、興味深いですね。知らなかったことなので教えてもらえてありがたいです。
これからもブログ更新していきますので、是非またコメントお願いします。