1月28日の日経新聞(夕刊)を見ていたら、2つの記事が目に留まった。「アップル4期連続減益」と書かれた記事の横に「食べられる器 家で作る」という記事があった。“3Dプリンター米粉を使用”って文字が囲みになっていた。記事を読んでみると、3D プリンターで米粉を固めて、器を作る装置「キッチン3Dプリンター」を慶應義塾大学が開発しているという。紙皿や紙コップの代わりに、食べられる器が出てくる日も近いか。
これを開発している慶應義塾大学の田中浩也准教授は、以前このブログでも紹介したFabLabの日本における第一人者です。面白いことやっているんだなぁ。
もう1つの記事は、「「自助具」広く知って 製法などネットで共有」というもの。自分もはじめて知った「自助具」とは、障害がある人に便利な生活用具のことで、例えば、木材を爪切りに貼り付け指先に力の入らない人でも簡単に使える台付き爪切り、みたいなもの。
大量生産されている商品もあれば、各自が特注したり自作したりしているものも。「テクノエイド協会」という団体が、そんな自助具の特注品、その生産者(工房)、販売元、そして製作方法までをデータベースにしてWebで公開しているという記事でした。
想像するに障害の種類や度合は人それぞれだし、体系とか癖とかも異なるので、本当に自分にマッチした自助具をゲットするには、既製品から探すよりも特注したり自作したりするのが良い方法と思える。こういうデータベースが公開されて、しかも製作方法もオープンになっているというは、特注・自作へのハードルをすごく下げてくれるのだろう。
そして、この記事を読んでFabLabの活動を想い出した。FabLabから誕生した製品として有名なものに「FabFi」アンテナがある。FabFiについてのWikipediaの説明を紹介すると以下のとおり。
“FabFiとは都市規模での無線メッシュネットワークを構築するオープンソース・システムである。このシステムは中央のプロバイダから町や都市に渡り無線インターネットを共有するための安価なフレームワークである。当システムは元はジャラーラーバードのファブラボによりアフガニスタンの同地の一部に高速インターネット回線を提供するため開発され、ホップ数が大きくても高パフォーマンスを維持できるよう設計されている。”
FabFiは、作り方がWebで公開されており、設計や必要なプログラムなどもすべてオープンになっている。そして、各自が改良を加えれば、その改良方法もアップされて共有されている。そんなWebサイトがfabfi.fabfolk.comだ。
このようにモノつくりがオープン化されて、3Dプリンターなどを活用して誰でも簡単にモノづくりが出来るようになっているソーシャル・ファブ(モノづくり2.0)の動きと、先ほどの自助具のデータベースの記事がリンクした。自助具のような特注品のニーズが高い製品(逆に言えば、大量生産には向かない製品)は、これから自分で作るのが流行になっていくのかもしれない。そして、「特注品のニーズが高い製品(逆に言えば、大量生産には向かない製品)」ってのは途上国市場にも結構あるんじゃないかと思う。
【追記】
コメントでatuchanさんに教えて貰った3Dプリンターでビザを作るという映像がYoutubeにあったので、これも載せます。キッチン3Dプリンターでピザを作る研究開発にNASAが投資しているっていうのも非常に興味深いですね。
コメント
NASAは3Dプリンターでピザを作る会社に投資しました。 スタートレックのreplicatorの時代は本当にすぐそこに来ているのかもしれません。アルティザナル産業は今の時代だからこそ、見直されると思います。その点ものづくりを大切にしてきた日本の出番ともいえるのではないでしょうか?
面白い情報をありがとうございます!ピザを作る3Dプリンターの映像を思わず追記しちゃいました。
「ものづくり2.0」時代に日本のお家芸がどこまで発揮できるか?可能性は十分ありそうですね。
[…] と。ちなみに、NASAが投資して、3Dフードプリンターでピザを作っているのは、過去に本ブログでも紹介したことがありました。そして、審査員から「すでに、人工肉ってのはあるよね」 […]
[…] と。ちなみに、NASAが投資して、3Dフードプリンターでピザを作っているのは、過去に本ブログでも紹介したことがありました。そして、審査員から「すでに、人工肉ってのはあるよね」 […]
[…] みなさん、Fablab(ファブラボ)ってご存知ですか?3Dプリンタなどを活用した「デジタルものづくり(デジタル・ファブリケーション)」を行う場所のことです。開発途上国などでも、素材さえあれば輸入に頼らず義足が作れるなど、応用範囲が広く、様々な活用方法が期待されており、このブログでも何度となく取り上げています。(記事1、記事2、記事3) […]