これまで本ブログでも何度か取り上げてきた世界銀行が2016年1月に発行した「世界開発報告(WDR)2016:デジタル化がもたらす恩恵」について、6月9日に東京の世界銀行オフィスにて世界銀行・JICA研究所共催でセミナーが行われるとのことで、情報共有します。途上国開発において「デジタル」というキーワードがどのように影響してきているのか、興味ある方は参加をご検討ください。
詳細、申し込みはこちらから。
http://jica-ri.jica.go.jp/ja/announce/post_297.html
<参考>過去の本ブログでの取り上げ(古い順)
- 世界銀行がITを2016年の主要テーマに(2016/1/17)
- 世界銀行がITを2016年の主要テーマに(その2)(2016/1/21)
- WDR2016から気になる情報まとめ —世界銀行がITを2016年の主要テーマに(その3)—(2016/4/3)
コメント
お知らせありがとうございます。
職場からも近いんで申し込みました。どんな話になるのかな、と。
公開済みの当日に使われる資料を読むと、全体的に割と楽天的な印象を受けました。
気になったのは、マネジリアル(BtoC)とソーシャル(GtoG)の領域をいいとこどりして混ぜているように見える点です。一般的に戦略コンサルがBtoC領域に疎いとはいえ、マーケティング方針や戦略がぜんぜん違うものをゴッチャに扱うことには寒気がします。
そんな中で、「Digital development strategies need to be broader than ICT strategies」ページの先頭項目で「Understand the importance of analog complements」にきちんと言及されてるのには大きく希望が持てます。
「ICTの利活用は、既存の仕組みのアラや矛盾がガンガン可視化されてしまう危険を孕む」とか、「意図しなくてもアラを可視化しまくるとPDCAサイクルから追放される」とか、「発注者がファジーだと現場がアホみたいにビジーになる(というか死ぬ)」とか、なんてことは書いてませんけどね(笑)。
>Ozakiさん
おっしゃる通り、資料もアップされてましたね。会津さんも話をしたようで、参加したかったなと思っていたところです。客観的になればなるほど楽天的になる気はしますね。個別プロジェクトでの問題点は多くあると思いますが、そのポテンシャルに関しては誰も文句は言えないでしょうし。
Kanotさん <= 参加してきました。
デジタル技術のポテンシャル(利益や恩恵をもたらす可能性)は存在するんだけど享受できてない層が出るという問題にしても、analog complementsの重要性にしても、ビジネスやマーケティングの世界では既に半ば常識ネタ。しかし、それらをエビデンス付きで、かつインパクトまで絡めて実証説明しようとすると大変なのだな、というのが正直な感想です。
資料の楽天的さとはウラハラに、やや悲観的な何か(やり残した感満載)を感じました。気のせいかなー。
その一方で、多摩大学の会津先生の話では、フィジカルとデジタルのモビリティ、という概念はすごく理解しやすく面白いものがありました(この勢いで他者に説明できる人ってなかなかいないですよね。学生さんがうらやましーい)。
早稲田大学の戸堂先生の話では、具体的なエビデンスを蓄積されている様子が伺え、大変に興味深かったです。コミュニティ開発とインフラ開発、デジタル開発は相互補完的な役割である、という点には激しく同意できました(デジタルは後発であるが故にメンドクサイこともあるんですが…)。
一般に、実務者の関心は、どのようにすればうまくいくのか(HOW)に偏っています。対して、研究者の関心は、世の中で起こっている現象を説明する理論の検証や構築(WHY)にあります。エンピリカル(empirical)を目指して両者を接続するには、研究者には良質のエビデンス提供とその蓄積、実務者には自らが有するデータを分析することが要求されるんでしょうね。
なお、私がこの種のセミナーに参加する目的の一つは、参加者を観察し、そのテーマと今後付き合っていけるのかどうか判断することにあります(M3+F1の組み合わせが目立つ場所は意図的に忌避している)。今のところ、この分野に懸念はしていません(笑)。
会津先生はいいですよね。私も以前一度打ち合わせしたことがありますが、おそらくプレゼンはすごくお上手なんだろうなという印象です。実務家のHOW、研究者のWHYはとても納得です。ただ、最近の開発系の研修者はインパクト評価に少々よっている印象も持っています。