ミシガン大学 外山健太郎教授 講演会を開催しました!

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こんにちは、Kanotです。今回は私の師匠(PhDアドバイザー)でもあるミシガン大学 情報学部の外山健太郎教授(Prof. Kentaro Toyama, School of Information, University of Michigan)を講師にお招きしたイベントを2024年2月22日に東京およびオンラインで開催しましたので、その報告を書かせていただきます。

外山教授はこのブログのテーマであるICT4Dの先駆者のお一人であり、ご著書「テクノロジーは貧困を救わない」は読まれたことがある方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。元Microsoftのエンジニアでありながら、インドのMicrosoft Research立ち上げに尽力した経験から、テクノロジー中心主義に警笛を鳴らす読み応えのある本になっています。

今回は、外山教授がちょうど日本にいるタイミングを見計らって計画したイベントで、国際開発学会「ICTと国際開発」研究部会、一般社団法人ICT for Development、そして金沢工業大学 狩野研究室の共催イベントとして開催されました。

タイトルは「ICTと国際開発 これまでのICTD分野の研究を振り返って」ということで、同分野のこれまでの議論の歴史や教訓について、幅広く取り上げていただきました。

プレゼンの中では「これまでのICT4D分野の研究の合意点」として以下の4つを挙げていました。

  • ICTが社会経済界開発のためになる可能性はある
  • ICTの影響はプラスにならない場合が多い
  • ICTの影響の多くは、人と組織に依存する
  • 効果があるICTのデザインはコンテキストによる

そしてその後に、外山教授の提唱する「増幅の法則(Theory of amplification)」や「生成AIによる影響」について事例とともにご説明いただきました。

質疑応答でも参加者から以下のような本質的な問いが投げかけられ、質疑応答含め非常に盛り上がった90分間でした。

  • 生成AIがマイノリティの迫害に繋がらないか
  • なぜテクノロジー(例:携帯電話)が貧困削減にうまく結びつかないのだろうか
  • ICT4Dの人類学や社会学との接点について
  • 開発課題の解決へのテクノロジー活用の助言
  • 人の育成が大事とのことだが、それを待っていては技術に取り残される。どうするべきか
  • ICT4Dなどの理論は本当に現場の役に立つのか
  • テクノロジードリブンで成功することはありえないのだろうか
  • どのような組織だとICTソリューションがうまく動くのだろうか
  • 読み書きのできない人へのICT4Dの可能性
  • ICTのI (Information)とC(Communication)のどちらが開発に効果を出してきたのだろうか

平日の昼間の開催であったにもかかわらず、東京の対面会場には20名強、Zoomには60名程度がご参加いただきました。

以下の写真はイベント終了後に対面参加者で撮った写真です(前列左から3人目が外山教授)。前列を中腰にしたことで、なんか可愛い感じの絵になってしまいました(笑)。

ご参加・ご協力いただいた皆様、ありがとうございました。特に、運営・メモ取りをお手伝いいただいたICT4D Labの竹内さん、岡崎さん、江草さん、高野さん、藤野さん、そして金沢工業大学の高田さんにはこの場を借りて厚く御礼申し上げます。

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