こんにちは。Kanotです。2024年の5月に久々に国際学会で研究発表することになりました。IFIP WG9.4というICT4D (ICT for Development:デジタル技術と国際開発)系の学会で、今回は南アフリカのケープタウンで開催されます。
どなたか参加される予定の方いらっしゃいましたら、ぜひご一報ください。ご飯でも食べましょう。
発表テーマは「Lessons Learned from EdTech Integration during the COVID-19 Pandemic: Socio-technical Case Analyses of Bhutan and Nepal」です。日本語に訳すと「コロナ禍のEdTech活用の教訓:ブータンとネパールにおける社会技術的ケース分析」という感じでしょうか。
さて、この発表論文については、もう少し完成度高まってから紹介するとして、今日は「ICT4D系の学会ってどんなものがあるの?」という疑問について、私の知る限りの情報ですが、行ったことがあるものを中心に紹介していきたいと思います。
ICTD
ICT4D系の研究者が集う2大学会のうちの一つです。米国でICT4D分野のPhDを考えるなら、一番人脈が築ける学会です。私がミシガン大学に留学できたのもこの学会に2013年に参加して多くの研究者と出会えたことが大きかったです。
この学会はICTDという名前が付いてますが、アメリカではICT4DのことをICTD(ICT and Development)と呼ぶ大学が多いです(例:ミシガン大学、ワシントン大学)。厳密にはICTDとICT4Dは技術が主体か開発が主体かということでニュアンスが少し異なるのですが、ここでは類義語として紹介しておきます。
このICTD学会ですが、正式名称は「The International Conference on Information & Communication Technologies and Development (ICTD)」で、過去12回開催されています。
- ICTD 2022:アメリカ(シアトル)(論文集)
- ICTD 2020:エクアドル(グアヤキル)(論文集)
- ICTD 2019:インド(アーメダバード)(論文集)
- ICTD 2017:パキスタン(ラホール)(論文集)
- ICTD 2016:アメリカ(アナーバー)(論文集)
- ICTD 2015:シンガポール(論文集)
- ICTD 2013:南アフリカ(ケープタウン)(論文集)
- ICTD 2012:アメリカ(アトランタ)(論文集)
- ICTD 2010:イギリス(ロンドン)(論文集)
- ICTD 2009:カタール(ドーハ)(論文集)
- ICTD 2007:インド(バンガロール)(論文集)
- ICTD 2006:アメリカ(バークレー)(論文集)
最新は2022年のワシントン大学だったようです。1−2年に一回開催されてきているので、そろそろ次回の発表がありそうですね。
特にアメリカ系のICT4D学者たちが集う場で、ミシガン大学の外山健太郎教授も発起人の一人になっています。私も2012年の南アフリカ、2016年のアメリカ、2019年インド、2020年エクアドルと過去4回参会・発表しています。
社会科学寄りの発表が多い印象はありますが、コンピュータ、データサイエンス、文化人類学など幅広い分野の人たちが集まっています。
IFIP WG9.4
ICT4D系の研究者が集う2大学会のもう一つです。欧州でICT4D分野のPhDを考えるなら、一番人脈が築ける場だと思います。
この学会は「IFIP WG9.4」と記号のような名前ですが、まずIFIPとは「International Federation for Information Processing」の略で、ユネスコが主導して組織された情報処理国際連合のことを意味します。その配下に様々なワーキンググループ(WG)があるのですが、WG9が「ICT and Society」をテーマにしていて、さらにその下のWG9.4が「The Implications of Information and Digital Technologies for Development」となっていて、ここでICT4D系の研究発表がなされています。
欧州のICT4D研究者が中心に運営している印象で、皆さんご存知のRichard Heeks教授も運営委員に名を連ねています。ICTDと同じで幅広い分野から参加している印象です。
過去17回開催されているようで、うち過去5回のリンクをリストに挙げておきます。この18回学会で私が初参加して発表します、というのが本ブログの冒頭部分の紹介です。
- 18th IFIP WG9.4 (2024):南アフリカ(ケープタウン)
- 17th IFIP WG9.4 (2022):ペルー(リマ)(論文集)
- 16th IFIP WG9.4 (2020):イギリス(マンチェスター)(論文集)
- 15th IFIP WG9.4 (2019):タンザニア(ダルエスサラーム)(論文集)
- 14th IFIP WG9.4 (2017):インドネシア(ジョグジャカルタ)(論文集)
ACM COMPASS
この学会はICTDと共同開催されることも多いのですが、ICT4D分野の中でやや技術寄りな研究に特化した学会になっています。ですので、コンピュータ科学の研究者でICT4Dやりたいなら、この学会がフィットするかもしれません。
ACM(Association for Computing Machinery)というコンピュータ系のジャーナル会社の名を冠した学会です。
- 2024 ACM COMPASS:インド(デリー)
- 2023 ACM COMPASS:南アフリカ(ケープタウン)
- 2022 ACM COMPASS:アメリカ(シアトル)※ICTDと共同開催
- 2021 ACM COMPASS:バーチャル
CHI
CHI(カイ)は、Human Computer Interaction(HCI)分野の国際学会で、毎年何千人と集まる巨大な学会なのですが、この中のサブグループとして、HCI4D(HCI for Development)と呼ばれる分野があり、ここにICT4D系の研究者が論文を投稿しています。
このCHIに論文を通すこと自体の価値が上で挙げた学会のどれよりも高いことから、ICT4DとHCIを研究する人たちはこの学会を目指して研究を進めています。私が学んだミシガン大学のSchool of Informationの研究者たちは、ジャーナルに投稿するよりもCHIに採択されることの方が価値が高いと考えていたと思います。
2024年はハワイで行われるようですね。
ICT4D Conference
名前的には一番ICT4Dにピッタリなのですが、どうやらアカデミアというよりは実務家・市民社会などが中心となる学会のようです。2024年はガーナで開催されるとのことです。
以上、ICT4D系の学会情報をまとめてみました。いいデータベースになりそうなので、随時アップデートしていこうと思います。読んでいただき、ありがとうございました。
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