(UNICEFとITU)世界中の学校をデジタルに繋ぐGigaプロジェクト

教育・人間開発

※この記事はUNICEFとITUによる「Gigaプロジェクト」の話であり、文部科学省の「GIGAスクール構想」とは異なりますのでご注意を。

こんにちは、Kanotです。海外のICT4D記事などで時々見かけるUNICEFのとITUが実施しているGigaプロジェクトについてあまり調べたことがなかったので、一度整理しようと思って記事化してみます。(写真は全てGigaプロジェクトHPより引用しています。All photos are cited from Giga HP.)

Gigaプロジェクトって?

まず、Gigaプロジェクトとは、2019年にUNICEF(国連児童基金)とITU(国際電気通信連合)という二つの国連機関が立ち上げた、世界中の学校をデジタルに繋ごうという、Universal connectivityに関するプロジェクトです。

その目指すところは、HPの言葉を引用すると、「Giga will bring the power of meaningful connectivity to fast track young people’s access to educational resources and opportunities.」となります。(筆者意訳:「Gigaは、若者の教育コンテンツと機会へのアクセスのを早急に実現するために、意味のあるコネクティビティの力をもたらすもの。」)

世界では36億人がまだインターネットへのアクセスがないため、その人たちは情報溢れるインターネットの世界から排除されている状況になっています。そのため、教育機会などが限られてしまっており、そこを繋ぐことが最大の目的のようです。

Gigaプロジェクトの対象国

現在では11か国を対象として、8.6万の学校にいる2580万人の生徒と教職員にインターネットを届けるべく活動しているようです。

その11か国は、アフリカ(ルワンダ、ケニア、ニジェール、シエラレオネ、ジンバブエ)、中央アジア(カザフスタン、キルギス、ウズベキスタン)、中米(エルサルバドル、ホンジュラス、OECS)とのことです。

この辺にアフリカのICTリーダーを目指しているルワンダが出てくるのはさすがですね。HPにもカガメ大統領のコメントが載っています。

プロジェクトの4つの柱

では、具体的に一体どのような内容のプロジェクトなのでしょうか。主なコンポーネントとして、以下の4つの柱があるとのことです。

  • Map
    (ベースライン調査的な役割として?)現在のインターネットコネクションに関するマッピングをするという活動です。これまですでに30か国、80万の学校のデータ調査済みとのことで、その結果はこちらのサイトで公開されています。かなり詳細な情報に見えますね。
  • Connect
    産業界と連携し、学校への安定した安全な通信インフラを整備する活動です。いわゆる、学校へのラストワンマイルのサポートですね。
  • Finance
    政府と連携し、持続的な国ごとのFinance and deliveryのモデルを作る活動とのこと。これは、事業実施に向けてどのように各国で資金を得ていくかという活動のようです。(つまり、現時点では誰がお金を出すかは確定していないと推測。)
  • Empower
    住民へのニーズアセスメントとデジタルソリューションを提供する活動です。Digital Public Goods Allianceと連携したプロジェクトとのこと。

このCOVIDの影響で、インターネットのない人たちの教育機会が著しく減少すると言うデジタルデバイドが顕在化してしまった状況を考えると、こう言ったプロジェクトがもう少し早く動いていれば・・と残念ですね。ここは前向きに、またこのような事態が起きた時に備えることが大事なことなんだろうと思います。

ブロックチェーンの活用

また、UNICEFのOffice of Innovationと聞くと、通な方は、ブロックチェーンの国際援助への活用を推進している組織というイメージのある方もいるのではないでしょうか。

私もそのように思い、調べてみると、上記の4つのコンポーネントに透明性、スマートコントラクト、そして仮想通貨の活用という観点で、ブロックチェーンを導入している(しようとしている)ようです。ソースはこちらのUNICEFのブログ記事です。

  • Map(Status: Beta)
    このMapデータは、ブロックチェーン上で収集、記録しているようです。それによって第三者による改ざんなどを防止することに効果があるとのこと。
  • Connect(Status: Alpha)
    各学校の通信状態などをモニタリングするために、スマートコントラクトを用いたリアルタイム管理を目指すとのこと。
  • Finance(Status: Alpha)
    各学校を繋ぐための資金の流れについて、透明性のある入札プロセスを実現するために、パブリックブロックチェーンに記録を残す計画とのこと。
  • Empower(Status: Alpha)
    まず組織向けには、アプリケーションの開発などに使える、コードをシェアしたり分散管理するためのプラットフォームやインフラを想定しているとのこと。個人としては、Digital Certificateのような形で、デジタル決済や身分証といった信頼形成のツールとして活用することを検討しているとのこと。

これらの技術について、どこまでブロックチェーン上にあることが本当に効率的なのかは議論があるところだと思いますが、まずはブロックチェーンの可能性を信じ、有言実行でプロトタイプを動かしていく姿勢はすごいなと感じるところです。

引き続きウォッチして、また面白い動きがありましたらシェアしたいと思います。

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コメント

  1. […] こんにちは、Kanotです。先日アップさせていただいたGigaプロジェクトを主導するUNICEFのOffice of InnovationのリーダーであるChris Fabianが面白いことをTweetしてたので、紹介してみます。 […]

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