こんにちは、Kanotです。モバイルネットワークも5Gの時代に入ってきており、より高速なネットワークが広まり始めていますが、今日のテーマは3G in キューバです。
(注:タイトルに「因果関係」とありますが、軽量経済学的な話は一切ありません)
キューバという国、皆さんどの程度ご存知でしょうか?カストロやゲバラなどの英雄?カリブ海に浮かぶ島?反米で社会主義な国?旧車がたくさん走っている国?などでしょうか。
キューバはとても不思議な魅力が溢れる国で(と個人的に思っていて)、チェ・ゲバラの生き様が好きな私としては、一度行ってみたい国の上位に常にある国であり、その個性から、ICT4D Labのスタディグループでも、キューバがテーマになった回は、とても盛り上がりました。
さて、そろそろ本題に入りましょう。このキューバですが、アメリカとの関係がよくないこともあってか、ITに関しては決して進んでいるとは言えない状況です。
2009年にインターネットの利用は解禁されたものの、ITUの2019年の統計によると、個人でのインターネット利用率は67%程度で、携帯電話の普及率も人口100人あたり53回線程度です。ブロードバンドにいたっては、固定回線が1.6%、モバイル回線が16%程度と周辺国と比べても非常に低い水準です。この数字から推測するに、インターネットの利用は徐々に広がってはきているが、高速通信とは言えない環境ということが言えると思います。
そんなキューバですが、政府の医療システム、食糧不足、停電、政府による抑制に対するデモが、ここ数十年で最大の規模で起きているという記事を目にしました。特にパンデミックにより観光客が激減したことによる経済的ダメージや感染対策などに関する医療への不満がきっかけに、#SOSCubaというハッシュタグを旗印に大きなうねりを生んでいるようです。
その記事によると、この大規模なデモを可能にしたものが、2018年に始まったばかりのモバイル3Gネットワークであったとのことでした。そして、キューバではSNSに当然政府の規制が入っているのですが、その中でも比較的暗号化が強いと言われているTelegramなどを通じて情報のやりとりがなされているとのことです。
また、こういったオンラインプラットフォームを活用した反政府運動となると、キューバ国内だけではなく、キューバから亡命した現政権に反対する人たちなどの海外勢も、こういった反政府運動の側面支援をしていると思われます。
ところで、3Gというと一昔の技術であり、2Gとそんなに違うんだっけ?と思った方もいるかもしれません。
これは私個人の感覚値になりますが、3Gへのアクセスができることになって大きく変わる点としては、動画の共有・閲覧に耐えうるスピードになるということではないかと思っています。今回のケースでも、キューバ政府が反対勢力を押さえつけている動画やデモの動画などがキューバ国内でも拡散されているようで、3G回線によってこういったコンテンツにアクセスできることになったことにより、デモの拡大に繋がっているようです。
そして、3G・SNS・反政府といったキーワードが並ぶこの話を聞いていると思い出すのが「アラブの春」ですね。2010年頃にFacebookに反政府を掲げる若者が焼身自殺した動画が拡散されたことに端を発した民主化運動です。
そして、「アラブの春」のみならず、最近のアメリカのジョージ・フロイド事件なども、住民がスマホを持って警察や政府と戦っていくという構図があり、本ブログでも以前に記事にしました。
キューバが中国などのように監視を強めてこれを押さえ込むことができるのか、はたまたアラブの国のようにクーデターを通じた政権交代のような動きになっていくのかはわかりません。
また、今回の記事の終わりに、付け加えておきたい点が2つあります。
一つは、勘違いしがちな点ですが、因果関係として、3Gが導入されたことでこういったデモが起きたのではないということです。もともと一部の住民に政府に対する不満があり、それが3Gによって拡散できる環境になったためにこのような規模に発展しただけだと思います。つまり、あくまでテクノロジーはもともとあった住民の思いを拡大・拡散する役目であったということです。
そしてもう一つは、こういった記事に政治的プロパガンダが含まれる可能性です。今回引用したQUARTZはリベラルなイメージ(NewsPicksが買収しています)のメディアですが、キューバの記事に関しては、社会主義の政府を転覆させたい政治的な意図が含まれる可能性(逆も然り)も大いにあると思っております。ですので、こういった記事のどこまで正しいものなのかは注意が必要だと思います。
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