日本企業のICT4D分野進出

このブログを通じて知り合いになった方から、KDDIが新興国市場向けの採用を行っているとの話を聞いたのでご紹介。

以下、KDDIのWebサイト(http://www.kddi-saiyo.com/recruit/information.html)から。

□グローバル(新興国開拓)コース ※
※KDDIでは、今後の持続的成長をはかるため、海外事業を積極的に展開しています。
 特に新興国では、インターネットの普及などで立ち遅れている国が多いため、
 ICT (情報通信技術)環境の整備を通して、これらの国民の生活水準を向上させること、
 新たな市場を開拓し利益を得ることの両立を目指しています。
 このような背景をふまえ、「グローバル(新興国開拓)コース」は
 新興国市場を自ら開拓したい方、新興国で働きたいという強い想いを持った方、
 国際経験豊かな方(海外留学、国際交流活動、国際ボランティア等)、
 外国語に堪能な方を積極的に採用するコースです。(国籍は問いません)
 「グローバル(新興国開拓)コース」で採用された方は、グローバル関連部門に優先的に配置します。

ズバリICT4D分野の採用。
この分野に特化した就職先は、(特に日本では)探すのが大変と思っていますが、こういった枠が各企業にこれから出来てくると面白い。以前、このブログでも紹介しましたが、KDDIはバングラディッシュのBracNetへの出資や、アメリカの貧困層向け携帯電話会社への出資など、ICT4D分野へ積極的に進出している様子。今、自分が新卒なら是非ともエントリーしてみたい職です。

ただ、どこの企業でも利益追求が命題なわけで、KDDIみたいな通信会社にせよ、途上国開発に関わる商社にせよ、途上国での製品製造に関わるアパレルにせよ、働いている人は必ず「利益」か「人助けか」の選択を迫られると思う。採用する企業の方も、「ビジネス」に軸足を置く人を採用しないと、ミスマッチがおきてしまう。「人助け」に軸足を置く人は、NGOや援助機関などに身をおいて、そこから企業とコラボレーションする方が良いんだろうと思う。まぁ、なんにせよ、こういったICT4D分野の採用が行われるようになったことは、大きな変化ですね。

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ビジネス

コメント

  1. Ozaki Yuji より:

    KDDIさんの場合、単なる語学だけではなく、人脈を含めて当該国の人間を知っている人を求めているのかもしれませんね。トラブルの事前防止や、何かトラブルが発生しても、当該国内で有効な手順や手段で解決することが可能となりそうです。
    このことは、国際協力機関にも間接的に裨益するのではないでしょうか。

    例として、日本の国際援助機関(JICA)が協力したカウンターパート機関が成長し、民間企業とのビジネスに踏み出すケースを考えます。
    カウンターパート機関は日本に対して恩義や感謝を忘れず、JICAが設立に協力してくれたことを分かりやすく明記します。世界最大の援助機関であるJICAの看板は、カウンターパート機関の信頼性を強く押し上げることもできます。
    JICAが援助した機関が成長し、さらには日本企業との協業が可能になることは、非常によいODAのモデルケースともいえます。
    だだし、日本以外でのビジネスはうまく行かない事も多く、相応のリスクが発生します。
    ビジネスに日本・日系企業が関係してくる場合、何らかのトラブルが発生した時に、その矛先が日本語でJICAに向かってくる可能性が存在します。矛を持った相手が日本国民(納税者)の立場で発言する場合、税金を原資として運営されているJICAは、たとえ筋違いあっても、その矛を避けることは無理でしょう。たとえ現地在住の日本人が善意でバックアップしてくれたとしても、丸投げされたリスクは無償では受け止めきれません。

    しかし、現地の事情や援助機関のスキームを知る人が企業側からビジネスに関わると、そのようなリスクを事前防止したり、被害を低減できるでしょう。
    現時点では、そのような人が意思決定に影響を及ぼす事ができる日本企業さんは、まだ少ないのかなー、と。

    • tomonarit より:

      Ozakiさん
      ICT4Dの分野では、「現地の事情や援助機関のスキームを知り企業側からビジネスに関わる人材」と、「ICTビジネスを知り途上国開発に援助機関側から関わる人材」の両方の人材が必要ですが、どちらの人材もまだ少ないのだと自分も思います。
      実際、アフリカなどの途上国にいると現地事情には詳しくなっても最新技術には疎くならざるを得ないし、かといって日本で技術的スキルを磨いていては途上国事情に疎くなる。組織の中で途上国勤務のステイタスを上げたり、人事ローテーションを工夫したり、ということをうまく出来る組織がICT4D分野を開拓できるのだと思います。KDDIはそういう組織なのかもしれませんね。

  2. よはし より:

    この投稿を読んで思い出しましたが、2005年のWSISチュニジアの展示会で説明員をやっていた時、私の勤める会社のブースの前がKDDIのブースでした。その時の写真を拡大してみたら、「Broadband Wireless LAN System in Rural and Remote Areas」と「Broadband Keitai as Personal ??? and Gateway」というタイトルで、携帯電話や電柱(アンテナ?)&機材が展示されてました(あと1つ展示がありましたが拡大してもタイトル文字を判別できず)。新興国開拓コースで新卒採用していくということは、この辺の商売が出てきたということでしょうかね。
    KDDIは国際電話をやっていた会社が母体に入っているので、グローバル人材採用というのは違和感ないですが、ICT4Dを前面に出しているのは面白いですね。

    • tomonarit より:

      よはしさん
      ICT4Dを前面に出している点は斬新ですよね。自分、2年前にロンドンの就職フェアでNTTヨーロッパという企業の面接を受けました。この会社はアフリカも対象にしているということでしたが、「途上国でのビジネスがやりたい」といったら、まだまだ市場がないと言われてしまいました。そのことを思うと、KDDIの今回の募集は斬新だなぁと感じます。もしくは、それだけこの2年間で新興国市場が盛り上がってきたということなんでしょうね。

  3. Takeshi より:

    このコースにエントリーしました。 非常に面白そうです。 KDDIにエントリーしてからグラミンやbracに関わっている人が周りにたくさんいることを知って、なんか運命を感じてしまいました。 バングラディシュやどこかでICT4Dのモデルケースを作って、日本経済を盛り上げれるように頑張りたいです。  

    • tomonarit より:

      Takeshiさん
      こんにちは。このコース、とても魅力的ですよね。
      また、同じ志をもった人達とのネットワークも出来てよいですね。
      是非とも日本発のICT4Dグッドプラクティスを作り出して下さい。

  4. Nazuki より:

    こんにちは、ご無沙汰しております。
    以前にもコメントさせていただいたtomonaritさんたちの後輩のNazukiです。
    日本企業はBopビジネスへの進出が遅れていると言われているなかで、KDDIのICT4Dへの参入は大変興味深いですね!
    実は卒論で日本企業、BopビジネスとCSR、ICT市場を関連付けて書いているのですが、気になることがたくさんあり、
    なかなか的を絞れず、今日もHeeksにアドバイスをもらい少しずつどうにか前進(?)しています^^;
    こちらのブログはいつもとても参考になります。

    • tomonarit より:

      Nazukiさん
      こんにちは。コメントありがとうございます。そろそろ修士論文で忙しくなってくる時期でしょうか。今思い返すと懐かしいです。これからマンチェスターにも、超短い夏がやってきますね。BOPビジネス、CSR、ICT市場とホットなテーマですね。その後の就職活動でも役立つのではないでしょうか。大変だと思いますが、頑張って下さい!
      そういえば、Heeksは日本に来たときに単独でパチンコに行き、「遊び方がわからなかった」と言ってました。次回、日本に来たときには指導しますと宜しくお伝え下さい(笑)

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