「ブロックチェーン×マイクロファイナンス」期待と懸念

ども、Tomonaritです。ある方に勧められて「ブロックチェーン・レボリューション  〜ビットコインを支える技術はどのようにビジネスと経済、そして世界を変えるのか〜」という本を読んでいます。とても分かり易くて面白い。そしてワクワク感があります。

割とビジネスよりの本ですがその中で、途上国開発におけるブロックチェーンに関する章もありました。そして、トピックの1つとしてブロックチェーンをマイクロファイナンスの改善にどう活用出来るのか?というポイントが書かれていたので、ちょっと考えてみました。

本ではブロックチェーンを活用して改善出来る例として、以下4つがあげられています。

  1. 送金手数料が安い:ブロックチェーンを用いた決済手段である仮想通貨は最初から小額決済を念頭に作られているため、小額の支払いでも安い手数料でやりとりできる。
  2. 透明性の確保:お金がどこにどう使われたかが明確だし、あとからその記録もたどることが出来る。
  3. 立場の弱い人を保護出来る(ピンポイントでお金を渡したい人に渡せる):例えば、スマートコントラクトを使えば、女性しかアクセス出来ない資金口座を作ることも可能。男性が勝手にお金を引き出して酒やギャンブルに使うことを避けられる。
  4. 資金源や運用先が世界中に広がる:ブロックチェーンならインターネット上で複数の貸し手を比較して利率や評判に基づいて最適な取引相手を選べる。

以上4点。基本的には「いいね」と思っていますが、以下、敢えて懸念点を書いて見ます。

1番目について:とても明確且つ現実的なメリット。

2番目について:確かにその通りと思う一方で、お金の使用用途を誰がどう見るのか?という点がピンとこない。例えば、プラベート型のブロックチェーンを想定すると、記録を見れるのが限られた人だけだった場合、結局その限られた人を信用できるかの問題では?と思うわけです。さらに、誰でも見れるといっても、ユーザーである借り手(例えば、ガーナの田舎のおばちゃん)がそんなことが出来るのか?(スキルの問題、チェックしてやろうと思うモチベーションの問題)

3番目について:「この商店でしか使えません」とか「この商品しか購入出来ません」とか「学校にしか支払えません」というところまでスマートコントラクトで指定していれば、出来るのかな。逆に、そこまで出来ない場合は、旦那さんが奥さんに「おい、金引き出してこい!金よこせ!」と言ってお金を取られてしまうリスクをどう回避するかを考えないといけない。

4番目について:マイクロファイナンス機関の目的はお金を貸すだけでなく、お金を貸す・回収するという理由で集会とかを開いて、そこで借り手の人達に生活改善や小規模ビジネスについての情報提供・啓発活動をすることだと自分は理解しています。となると、選択肢が世界中に増えても仕方ない。また、借り手にネットでどこの貸し手が良いかを比較・吟味するだけの能力とモチベーションがあるのか?(つい自分はアフリカの田舎を想像してしまうのですが、中南米とかだと、金を借りるだけのマイクロファイナンスもあり、また、借り手の能力も高いのかも…。そういえば本では中南米の事例にも触れていたなぁ。とも思ったりしますが)

いずれも技術的には実現可能であるし、これまでは容易に出来なかったことがブロックチェーンで出来るようになるという点はとても良いこと。その可能性を否定するものではないです。一方で、実際に導入する際には色々と対策を練らなければならない点もある、という話。

ブロックチェーンはインターネットに匹敵する程のインパクトを及ぼす技術である、という主張もあり、調べれば調べるほど、その可能性の大きを感じます。個をエンパワーすると期待されたインターネットは、GAFAのような大企業の中央集権化に落ち着いてしましたが、ブロックチェーンはそれを打破して分散化を実現させられるんじゃないか、という期待感が膨らんでいきます。本を読んでて自分もかなりブロックチェーンの可能性に魅了されつつあったので、少し冷静になる意味でも敢えて上記のような視点を考えてみました。

勿論、「いや、あなた間違ってますよ。こうすれば簡単に出来ますよ〜!」というコメントも大歓迎です!

“「ブロックチェーン×マイクロファイナンス」期待と懸念” への6件の返信

  1. 面白いですね。ブロックチェーンは10年くらいしたらメールとかWebくらいにポピュラーなプラットフォームになるかもしれませんね。思い出したんですが、インターネット黎明期にもこういったユートピア論が盛り上がって、私もそれに心躍らせた一人でした。でも数十年後にはディストピアとは言わないまでも、結局は通常の世界と同じようなダーティーな世界がもう一つできちゃったみたいな・・・それを考えるとブロックチェーンも気をつけないと同じ轍を踏む可能性が高いのかな?と冷めた目で見てしまいます。歳かな・・・

    1. ブロックチェーンがインターネットを変えるテクノロジーになって行くと自分も期待しています。良い方向に変わるのか、それともダークサイドに行ってしまうのか?は、これからの政府、企業、研究機関、市民社会などがどう対処していくか次第ですね。今は自由に希望を語れる一番たのしい時期かも。

  2. 懸念点4番目が最も重要かつ課題だと思う。
    ブロックチェーンによる利点は理解できるけれども、コスト抑えられ、ビジネス拡大し、借り手にとって使い勝手が良くなる、借りやすくなる環境が良いとは一概に言えない。
    コメントされてる通り、金融リテラシーを高める/広める活動やビジネスサポートは必須。
    現状は責任感のない貸し手が少なくないように見える。
    マイクロファイナンスの本来の目的を認識しブレずにビジネスする事を前提として、ブロックチェーンの利点を活かし、低金利融資の提供やビジネス支援などに力を注げるようなビジネスモデルを確立できるのであれば、”マイクロファイナンス&ブロックチェーン”大いに期待。

  3. コメントありがとうございます!
    顧客から比較されれば、競争が起こってマイクロファイナンス機関の質の向上、駄目な機関の淘汰にも繋がるので、こういう仕組み自体はあったら良いですが、同時に啓発活動や教育が必要ですね。

    是非、他のポストにも今後コメント下さい!

  4. 僕個人は新しい技術大好き人間ですが、ブロックチェーンのような分散型データベースの採用が有効なケースって実は凄く限られているのではないか、と考えてます。

    改善出来る例1~4のどれもブロックチェーンでなくても実装は十分可能なものなのが少し気になります。
    改善の余地はあれど実現していないのには、技術的制約以外の理由がある可能性のほうが高そうです。

    1. ブロックチェーンの活用については、「それ、ブロックチェーンじゃなくても出来るよね」という点はその通りですね。有名なWFPのBuilding Blocksにしても、ブロックチェーンでなくても出来るというのは、WFP自身がそう認めていました。以下の記事は面白いです。

      http://gendai.ismedia.jp/articles/-/55569

      やろうと思えば他のやり方でも出来るので、根本的にはそういうマインドセットみたいなものが最重要であると自分も思います。
      一方で、中央集権から分散化というブロックチェーンの理念の浸透という意味では、ブロックチェーンを使う意味もあるのだろうと感じます。
      それでも何でもかんでもブロックチェーンで、というのは間違っていると思うので、これから適切な用途が厳選されていくのかと思います。今はまだ適切な用途が何かを手探りしている段階なのだと思います。

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