先日、NHKスペシャルで、↓の番組をやっていた。
「ネットが”革命”を起こした~中東・若者たちの攻防~」
最近のエジプト・チュニジアの革命についての特集である。
ネット革命のツールとなったfacebook、その背景にある貧困・格差、続く混乱などについて番組が組まれていた。
その中で行くつか興味を持ったところがあったのでコメントしたいと思う。
この革命はfacebookを通じて若者が蜂起して起きた革命であるが、エジプト政府がネットを遮断するという動きをしたにも関わらず封じ込めることができなかった理由として、アノニマスというハッカー集団の存在があったらしい。
この団体は国籍不詳のハッカー集団で、エジプト政府のシステムにハッキングなどを行い、ネット遮断を解除させざるを得ない状況に追い込んだとのことである。
そして、現在このハッカー集団はイエメンやバーレーン、アルジェリアなどを新しいターゲットにしており、ネット抑制などの動きを牽制しているとのこと。
このことは、これまで各国の指導者たちが国営メディアを活用して自国民を洗脳してきたのと同様に、ネットを使って遠隔地から(特にITリテラシーの低い)人々を洗脳し、混乱を起こすことができるということを示唆していると思う。
現在は中東であるが、東部・西部・南部アフリカなどもそれぞれの地域内では文化的・歴史的・政治的背景が近いこともあり、貧困に関する不満も多く、外部から煽るような形で混乱を扇動することができてしまうのではないか。
普段、情報統制などを受けていればいるほど、こういったネットを使った情報に高揚感を覚えてしまう危険性もあり、確信犯に狙われないことを祈るのみである。
ICTと開発という点で支援をしたいと考えている我々としても、技術だけでなくネットの情報の取り扱いについてもしっかり教えていかないと、ただ使えるだけの人を増やす危険性というものを感じた(それは詐欺が頻発している日本国内も同様。)。
また、この”革命”がこれまでの革命と最も異なる点としては、主導者はとある若者のネットユーザであり、政権を奪取したいとかいう欲ではなく、今の政権を打倒したいという”思い”だけで動いているということだと思う。
それにより、政権を倒したはいいものの、キューバのカストロのような指導者がいるわけではないため、各政党がここぞとばかりに名乗りをあげたり、国民の賃上げデモなどが新たに始まったりしてしまい、混乱が続いている。
火はつけるものの責任は取らない”革命”がネットを通じて起きてしまっている。
もちろん独裁政権による貧困・格差は問題だが、これもこれで問題だなと考えさせられた。
これを読んで興味を持った方、再放送も終わってしまったようだが、NHKオンデマンドで有料で見ることは可能。
ちなみに今週放送予定のNHKスペシャルが、日本が太平洋戦争に突入するに至った”国民の熱狂”を取り上げるらしく、おそらくこの時の日本と今のエジプトとかは心理的に近い状況だったんじゃないかと推測し、見てみようかなと思ってる。
コメント
FaceBookの各国別ユーザ数など解析したWebサイトがあります。SocialBakers
FaceBookの出自を考慮すると英国/米国のユーザー数が多いのは当然ですが、インドネシア、フィリピン、インドでのユーザ数が多い割に対人口比が少ない(伸びしろが多いのとあわせ、インターネットユーザの半数以上がFaceBookアカウントを持っていると推測される)のにびっくりさせられます。
男女別ユーザー比から見ても女性の方が圧倒的に少ないということもなく(詐称の可能性はある)、年齢層は18-40歳くらいが多いことがわかります。企業の広報媒体としてのFaceBookは、かなり有望なのかもしれませんね。
ただ、マーケティング戦略上では、従来のバラまき型ではなく、一時期主流となったOne-to-Oneでもターゲティング型でもなく、クチコミ(Word-of-Mouth-marketing)タイプがマッチするのでしょうね。
信頼や注目・評判を金銭的価値に変換する装置がまた一つ増えた、と考えています。
[…] デマの拡散: 最初に述べたメリット3.Communityの裏返しだが、Facebookに情報リテラシーが低いユーザが増えることで、デマ情が拡散する可能性が高くなると考えられる。何が信頼に値する情報なのか?ということは、これだけネットや情報についての議論がなされている日本でも課題となっている点(放射能の話に象徴されるように)。言論の自由が促進されるというメリットの裏には、インチキ情報に踊らされる危険性が高くなるというリスクもある。(このようなリスクについては、以前knotが関連する投稿をしています→「NHKスペシャル「ネットが革命を起こした」を見て」) […]